脱出です
小一時間ほどするとノムさんが戻ってきた。
ノームはシオンに身振り手振りで一生懸命説明をした。
「うん、わかんない」
シオンはノームの言いたいことを理解することが出来なかった。ノームはがっかりすると、今度は自分を指さしそのあとに出口を指さし、自分に付いてこい、というジェスチャーをした。
「分かった、付いてきてほしんだね」
そう言うと、ノームは何度も頷いた。
しかし、後を付いていこうにも目の前には鉄格子がしっかりと行く手を阻んでいた。
「うーん、これをどうしよっか。爆発させちゃ大きな音で気付かれちゃうし・・」
シオンが悩んでいるとノームは自分の胸をたたいた。
「え、ノムさんに任せていいの?」
そう言うと、ノームは大きく頷き、地面の中へ飛び込んでいった。
しばらくすると先ほどのノームが地面から顔を出し、よじ登ってきた。そのあとに続いてノームの仲間たちがぞろぞろと地面から出てきた。
「わぁ、すごい、これノムさんのお友達?」
シオンが言うとノームは頷いた。すべてのノームが地上に出そろうとノムは陣頭指揮を執り、皆を鉄格子に沿って一列に並ばせた。準備ができて合図を送るとノーム達は一斉に鉄格子を持ち上げようとした。小柄なノームの力は弱いが数が集まることで強い力となった。最初はピクリともしなかった鉄格子が徐々に持ち上がりはじめ、やがて人が下をくぐれるくらいまで持ち上がった。それを見るとノムは早く外へ出るようにとジェスチャーをした。
「みんな、ここから外へ出て」
シオンが囚われている女性達に向かって言った。しかし、女性達は怯えて外へ出ようとしなかった。脱走したのが分かった時の報復を恐れているのだろうか。
「早く、早く」
シオンは皆をせかした。しかしなかなか外へ出ようとしない。その時先ほどの少女が立ち上がった。
「私、お父さんを助けに行くっ」
そう言うとノーム達が持ち上げている鉄格子の下をくぐった。それを見た他の者たちも、「そうよね、私たちが助けにいかないと」、「ダメな男達に代わって私たちが頑張らないと」などと言って一人二人と外へ出始めた。最初の数人が出るともうそのあとはぞろぞろ続いた。
「ありがとね、お嬢ちゃん、助かったよ」
「そんなことないです。お姉さんが頑張っているのをみて、私も頑張らないとって思っただけです」
二人がそんな会話をしていると檻の中にいた女性たちが皆そとにでた。それを見たノムは合図を送り、鉄格子をおろさせた。
「それじゃノムさん、案内をお願いね」
シオンに促されノムは先頭に立った。そのあとをシオン、少女と続き、他の女性たちはその後ろに付いた。さらにその周囲をノームの集団が取り囲むようにして移動した。
「ちょっと暗いわね。明るくなーれ」
そう言うとシオンの周囲が明るく照らされた。ノムを先頭とした一行は右へ左へクネクネと通路を進んでいった。幸い山賊たちとは出会うことなく男性のいる空洞へとたどり着くことができた。
「あ、ペーターだ」
檻の中にいるペーターを見つけるとシオンは駆け寄った。シオンの姿をみたペーターは驚いた。女たちも檻に駆け寄ると旦那や恋人、息子などを見つけお互いに声を掛け合った。
「え、おまえかよ。また山賊どもが俺たちに危害を加えに来たのかと思ったぞ。あいつらときたらこっちが手出しできないのをいい事にやりたい放題やりやがって。おれもここにあざができちまったぜ」
ペーターは右腕にできたあざをシオンにみせた。
「まったく、ペーターは私がいないとダメなんだから。ちょっと待ってね。みんな、元気になーれ」
シオンが唱えると檻全体が優しい光でつつまれ、中にいる者たちの傷を癒した。あちこちから歓声が上がった。二人が鉄格子越しに話をしていると奥から声がした。
「おお、エリス無事だったか。よかった、父さん心配したぞ」
「あの子、お父さんと会えたんだ良かった」
シオンは少女が父親と再会できたことを知り、ほっとした。
「さて、そろそろここから出ましょう。ノムさんお願い」
そう言うと暗がりに控えていたノーム達がぞろぞろを出てきた。
「うわっ、何だこいつら」
「大丈夫、ノームのノムさんだよ。みんなを助け出してくれるんだから」
そう言っているとノーム達は先ほどと同じように鉄格子に並び、一斉に持ち上げた。鉄格子と地面とに隙間ができると男たちは我先にと外へでて、女性たちと抱き合った。ペーターもそろそろと外へ出ると、
「ありがとな、助かったよ」
と、照れながらシオンに言った。




