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お使いです

設定を思いついたので書き始めてみました。

思いつくまま書いているので、文章が稚拙だったり、設定の矛盾とか、人称がおかしかったりとかは大目に見てください。

 春の温かい昼下がり、のどかな田舎道を一人の少女が歩いていた。

 黒のロングヘアーは腰のあたりまであり、明るい緑のワンピースを着て、つばの広いとんがり帽子をかぶり、茶色いショルダーバッグを下げていた。手には道端で積んだタンポポの花を持ち、その手を陽気に左右に振っていた。少女の名はシオン。魔法使い見習い(?)で、師匠のお使いをしているところだった。


「今日もいい天気でうれしいなぁ。お昼ご飯のパンもおいしかったなぁ。あ、鳥さんこんにちは。どちらへ行くの?」


 陽気に独り言を言いながら、元気よく歩いていた。

 丘を越えれば今日の目的地の町が見えてくるはずだった。丘を登り頂上付近まで来ると、木陰に人が座っているのが見えた。


「おや、あそこに誰かいるわ。何をしているのかしら?」


 丘を登り切り木陰まで来ると、わき腹を押さえた軽鎧を着た男の戦士がうずくまっていた。


「どうしたんだろう、おなかが痛いのかな?」


 シオンはそうつぶやくと男の元へと近づいた。


「こんにちは、どうしたんですか?何か悪いものでも食べましたか?」


 シオンは男に話しかけた。男はいぶかしげに見上げると、苦痛の表情を浮かべながら答えた。


「いや、これが、食あたりに、見えるか、お嬢ちゃん、、、。ゴ、ゴブリンに襲われたんだよ」


 男のわき腹には深い裂創があり、そこから血が滴り落ちていた。


「えっ、ゴゴブリンに襲われたのですか!それは大変ですね。」


「いや、ゴゴブリンじゃなくて、ゴブリンだ。それより、お嬢ちゃん、町まで行って助けを呼んできてくれないか、さすがにやばそうなんだ。」


 シアンは男の脇腹を眺めた。押さえている手は真っ赤にそまり、鮮血がしたたり落ちていた。


「あ、この傷ですね。これくらいなら、ツバをつけとけば治りますよ」


 シアンはにっこり笑顔で答えた。男は苦痛を堪えて言い返した。


「お嬢ちゃん、冗談はいいから、早く助けを呼んできてくれないか」


 男はすがるように頼んだ。丘の上からは周囲を見渡すことができたが、他に人影は確認できなかった。そんな男の様子もお構いなしに、シオンは傍らに座ると、


「では、行きますよ」


 と言い、右手の人差し指を立てた。ブツブツと何かをつぶやいたかと思うと、人差し指を口につけ、その指先をペロッと舐めた。するとどうだろう。指先がほんのりと緑色に輝きだした。その指をゆっくりと男の傷口に近づけた。光は暖かく優しい輝きを放っていた。シオンの指が傷口に近づくにつれ男の出血はだんだんと止まり、指先が傷口に触れた瞬間、一瞬まばゆい小さな閃光が走ったかと思うと、男の傷口は塞がっていた。


「はい、終わりました。これで大丈夫ですね」


 シオンはにっこり微笑み立ち上がると、


「それではお大事に」


 と言い、再び町への道を歩き始めた。

 男は茫然とした。ついさっきまで激痛が走っていたわき腹は傷口がぴったりと塞がり、出血も止まり、痛みもまったく感じなくなっていた。


「いったい何が起こったんだ。傷が治っている」


 われに戻ると、男は立ち上がろうとした。しかし、傷は塞がったものの、出血で失った血液が多く、ふらつきが強く、まともに立ち上がることができなかった。


「しかたない、また誰かが通りかかるまで待つとするか」


 そう言うと、今度は安堵の表情で木に寄り掛かった。

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