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ミュージシャンとしての自分

 人の事ではなく今回は自分の事を少し。

 ロックバンドのジャンルで、男でキーボーディストと珍しい自分ですが、スタイルも変な方向だったようで。初めてバンドした時は、鍵盤だけでなくコーラスも担当。当時ボーカルがデスボイスが苦手との事で、自分が止む無く担当した。

 当時Dir en greyの影響を相当に受けており、王道から外すスタンスを良しとしていた。そんなものだから、当然ライブでウけるのはごくごくわずか。大体が聴いて固まっていた。

 24歳の時からは“鍵盤を振り回す”という暴挙に走り、そうなるとイヤでも目立つ。鍵盤を振り回すわ当時でも余りいないグロウルを多用するわ見た目も“真っ黒なヘビメタ”と言った具合だわで、V系好きが集まるネット掲示板でもやり玉に挙げられたことがある。まあ、目立ってナンボと思っていたし、その辺の考えは未だに変わっていない。

 肝心の鍵盤はと言うと、表現者っぽく言うなら、“極端な静と動、躁と鬱が混在した二面性”と言われたが、とどのつまり、全く落ち着きのないピアニスト。元々クラシックピアノの教室にも通っていた事があるが、クラシックの全てを決められたスタイルにぶっちゃけくそくらえ、という思想になって弾いているのはクラシックなのにクラシックの枠を大いに逸脱していた。

 鍵盤を殴り倒す、静かになったと思ったらそもそも音鳴ってるのかわからない、ライブ中に酸素欠乏起こして倒れるなんてザラ。


 何が言いたいのかと言うと、この時の自分は全く後先考えておらず、好みのサウンドも歌も退廃的。今の自分の音楽スタイルから考えると、自分でも全く想像出来ない。ドラムをしていた時期もあったが、一曲しただけで即倒れて演奏続行不能という体たらくぶり。リズム感ないながら雰囲気だけでDir en greyのカバーをしたから当然と言えば当然だが。

 今は人前に出て演奏をする、と言うよりも、人に良い歌を届けたい、という意識に変わり、まだ未公開ながら作り溜めた楽曲は30を超えている。修羅場な人生をある程度潜り抜けると、自分でも感じる程、楽曲に味が出始めた。老けるのは何も悪い事ばかりではない。


 鍵盤を振り回していた時期の話に戻るが、この時ショルダーキーボードという珍しい楽器を使っていた。自分が持っていた時期に、漫画の「けいおん」が大流行していて、主人公のバンドの鍵盤担当がアニメのエンディングロールでKORGのRK-100というレトロなシンセサイザーを持っていたのも記憶に新しい。本来、RK-100はショルダーキーボードの中でも最も重量があり、10kg以上の鍵盤を身長150cm台の小柄な女の子が軽々と持って演奏しているのはさすがに違和感を感じたが。

 そんな特殊な鍵盤の当時最新機種だったRolandのAX-Synthを、まず鍵盤としては有り得ない扱い方をしていた。ギターのネック然とした左手のスイッチが集まったコントローラーを逆手に持って斧のように振り回し、肝心の演奏でも弾き方がもはや鍵盤ではなく、ギターのブリッジミュート的なのを鍵盤の指跳ねだけで再現しようとするなどここでも変なのを拗らせる。ピアニストからしたら最早“邪道の塊”である。

 でも、大人しい曲を弾く時は一応王道に沿って弾いていた。ただ、激しく動いてるのに発される音がかなり静かと、見た目の動作と聴こえる音がまるで嚙み合っておらず、鍵盤にもゴーストノートがある!と豪語して鍵盤を押さえているのに音を鳴らさないという無意味に器用な事もしていた。


 そういう土壌もあってか、作曲も当初は相当に“捻くれて”いた。タイトルでも如実に表れていた事もあり、最たる例は「妄想赤外線」というタイトル。コード理論とかリズム理論、音楽の基礎的な事はほぼ無視、と言った具合なのに、何故かメロディとして成立しているらしい。まあ、自分の中には小説でも音楽でも、“王道と邪道”が混在しているから。

 曲の長さも当然“普通”が発揮される事無く、大体作る曲は5分超えが当たり前。最長では、完成した曲で7分30秒。未完成の曲で1曲12分と45分がある。頭の中で出来ていても音源化が一番難航するから、こればかりはどうしようもない。


 そんな音楽人生でもあったから、作曲に関しては、頭の中にメロディーが降りてくる、または突然耳の中で聞いた事がないけど何故か覚えられる歌が聞こえる、と言った現象が起きるとすぐに作曲ソフトを立ち上げて入力する。自分の創作活動は、音楽であっても小説であっても、頭の中に出現した、存在していないモノを再現する作業になっている。


 不思議な脳内現象が常に起こっているわけで、当然日常生活への支障は凄まじいものがあるが、歳が30を回って改めて向き直る事になっている。今後、どうなっていくのか想像も出来ないし、どうなるかもわからない。この文を書き上げてから10年後、どんな自分が読み返しているのかも密かに楽しみである。

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