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バンド オブ ルームシェア

 2012年に、一度バンドメンバーとルームシェアをした事があった。こう見えて自分はビジュアル系ロックバンドで活動していて、Ⅴ系歴は5年。今ではすっかり下火やけど、活動していた当時はビジュアル系全盛期とも言える時代で、無数のV系バンドが犇めいていた。

 初めてそのメンバーと出会ったのは、地元でバンド活動をしていた際に、新バンドを組むにあたって、ボーカルがmixiで呼び込んできたのが最初。ボーカルは面接と仰々しい事を言って指定場所がカラオケととんでもないミスマッチな事を言う始末。一緒にやってく仲間なら面接とか言うなよ、と内心突っ込んでいたが、当時、俗にいう陰キャラだった自分は特に窘める事も出来ずそのままメンバーと初対面。

 ギタリストは、赤をパーソナルカラーとしていて、非常に激しめのサウンドを好む。当時の好んでいたジャンルはデスメタルハードコアが占めていた。そして自他共に認めるドモリ口調。異様にキャラが立った存在。

 ベーシストは、自称オタクで元ツッパリ☆とか言っていた見た目マジメくん。ルックスはメンバー内で一番高評価だった。自称と言いつつ、オタク趣味はメンバー内で群を抜いていた。意外にも音楽歴なしでバンドスタートという超チャレンジャー。

 ドラマーは、本来はボーカルをしたかったが呼びかけたのがボーカルだった為希望ポジションは断念。メンバー内で誰も出来なかったのでやむを得ずドラムに落ち着く。性格的に一番おとなしい?ベーシストと地元が同じで後輩との事。

 で、この面々で初ライブに臨むも、よりによってライブ会場が田舎の自治会の夏祭り会場、更に機材全て持ち込み。PAなし。その状況を、話を決めて来たボーカルから全然知らされておらず。自分にとって人生初の野外ライブは音楽人生最大のトラウマのひとつになってしまった。

 これには新加入した面々も大激怒で、ボーカルを除いて、新メンバーらに相談があると言われてとある喫茶店に出向いて話を聞くと、一番何も言わず静観していたギタリストから、

「もう全員で抜けません?こんなのバンドやない」

 と、緊張感を持って言われる。ただ、本人も気にしていたので、ドモリ口調のせいで緊張感がまるでなかったとは言わないでおこう。

 これにベーシストもドラマーも即賛成。自分も元とも地元をテリトリーにして活動していたのもあり、ボーカルとは最初のメンバーだったので当初は抜けるのを渋ったが、そもそも畑違いな場所ばかりでライブしても意味がないから然るべきところに行こう、と言われ、自分も脱退を決意。


 メンバー全員でとあるライブの時にボーカル以外ボイコットを決行してやりました。後の事は知らん。その時決められていたライブの内容も全然教えてくれてなかったし、後になって金いるとか言われても知らないからね。


 そうこうして、ボーカルを除いてこのメンバーで再起する事に。

 ドラマーは兼ねてより希望していたボーカルに晴れて転属するも、メンバーの中で自分が一番ライブ経験が余りにもないと痛感し、そのメンバーで一度もライブする事なく自分が一度脱退。それから1年はサポート荒らしというよくわからない、ひたすら武者修行をする事になった。

 当初は地元唯一だったV系高校生バンドのサポートから始まり、次に高校生とは思えないジャパメタバンドの数回のサポート、一度だけ、ビートロックをするパンクチックなバンドのサポートなどをさせてもらい、改めて1年後に旧来のメンバーと再合流する事になった。

 ボーカルに転属したドラマーは自分が抜けた後に辞めてしまったらしく、ギタリストとベーシストのみとなっており、改めて3人で再起。

 ここでルームシェアに繋がる。ぶっちゃけると、音楽活動半分、趣味半分の生活様式となっていた。ベーシストのオタク趣味は凄まじいモノで、トヨタのウィッシュに乗っていたので下手したら痛車を作りかねない勢い。自分との共通点は物語の共感性?今まで接した事のないタイプの人間だったので、彼との関係は今思っても不思議である。

 ギタリストもオタク趣味レベルは負けていなかったが、こちらはこちらで凄まじい程のグロ趣味。自分との共通点はゴジラ好きである事。

 三人の共通の趣味はMinecraft。ギタリストから始まって、ベーシストが二カ月、Modのない時代で海の干拓作業をするというトンデモ作業をするぐらいはまり込んでいた。自分は操作性をイマイチ理解しておらず、最初の二カ月は土ほじり以外全くできておらず、石ですら殴り削っていた。


 それぞれの生活でのポジションも意外にもバランスがよかった。

 ベーシストが唯一の正社員だったので、賃貸の名義関係など主たる名目的な動きは彼が。ギタリストは料理がメンバー内で一番得意だったのでほぼ調理担当。自分はスーパーの食肉加工のパートをしていたので食料調達と経費払い名義。よく廃棄になったA3ランクの九州産黒毛和牛をこっそり貰って帰っていたので、カレーのグレードが意味わからなく上がっていた。加えて経費関係やインフラの知識は一番あったのでそっちの関係も担当。


 まあ、そんな生活は1年3カ月で終わった。ベーシストがまさかの結婚。オタク趣味が凄まじかった時は「彼女なんていらねー、てか出来るとも思えねー」とふざけて言っていたのが職場恋愛を経てメンバー内で真っ先に結婚。驚愕である。

 当然一緒に住むわけにもいかずシェアルームは解約。ベーシストはバンド活動引退の運びとなり、ギタリストと自分は続ける事になったが、二人住まいで当時住んでいた物件の維持は非常に厳しく、一度帰省して体制を立て直す事にした。


 でも、この頃何度も凄まじい修羅場があったけど、生活は一番楽しかったかな。ちなみにスーパーを務めつつホストをしていたのはこの時の話である。

 

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