表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

売れなかったホストの末路

 自分は夜の仕事をいくつか経験しています。まずはホストとしての体験談。

 ホストとして働いた店舗は二つ。大阪のミナミにありました。今でもあるのか調べていません。

 大阪市内の繁華街によってホストの系統も違い、

 ・キタ(曽根崎)はイケメンが売れる。歌舞伎町と同系統。

 ・京橋はオラオラ系が多かった。現在ではルックス寄り?

 ・ミナミはトークスキルが求められる。ルックスとセットだと最強だが、トークスキルのみで伸し上がった連続No.1ブ男もいた。


と、大阪市内だけでも多様性があって、思いのほか面白い視点がある。

 自分はどちらも大阪市ミナミの店舗で、最初はまさかのタウンワーク掲載から。二店舗目は飛び込み。理由はどちらも“金に困ったから”。


 一店舗目での話

 ホスト初体験、しかも時勢的に漫画「夜王」がドラマ化されて一時期流行した後で、ホストが再度流行した時期でもあった。実際、その店に行くといろんなキャストがいた。

 Jannne Da ArcのボーカルYasuを意識した佇まいで、トークも関西弁丸出しのギャップ差を武器にしたイケメン。

 自他共にブッサイクと認め、自認してトークとノリで場を盛り上げる先輩気質。

 童顔かつオラオラ系で攻める幹部補佐。

 物凄くおっとりした、女子力高そうな年下の先輩で幹部補佐の弟。

 凄く大人な雰囲気で場を固める代表。

 本当に色々、良くも悪くもいた。ただ不思議なのは、顔のみでお客の心を掴むキャストがいなかったところ。と言うより、トークスキル最重要視するところだった。

 これはワンチャン俺も行けるんじゃね!?と思っていたが当然ながら現実は甘からず。

 やはり顔言われます。どんだけゴテゴテのスジ盛して髪の毛立てまくっても顔面パーツは貶されまくります。その上にトークスキルが壊滅的だと目も当てられません。

 ただ、こういうのに限ってやたらとブス!とか言ってくる客は大体目も当てられないルックス、体型、性格。見事に三重苦揃っております本当にありがとうございました。

 ルックスも性格も良いお客はそんな事全く言いません。むしろお姉さんな感じがして物凄く恐縮します。


 そしてその人間関係であるが、まず良く一緒に行動するようになったのが、先輩気質の先輩。自分より半年年上。学年では一つ上なのでガチ年上でした。

 そこまでブスーて言われるほど悪い顔立ちしちょらんよな?とは思っていたけど、夜の世界での、客目線のルックスは非常に手厳しいようで。彼は目つきが鋭いだけだったのに何故か出目金なんて言われていました。

 それともう一人、Jannne Da ArcのYasuを意識した年下の先輩。コッテコテの関西弁が未だに耳の中で反芻できます。それ位顔より声に印象があった。見た目もバッチリ典型的なホスト。ただ、その見た目にしてコッテコテの関西弁がうけたんでしょうね。常にNo.3キープしていて一時期、No.1にまでなっていました。

 続いて幹部補佐。ゴリッゴリのオラオラ系。自分より二歳下だったかな?良くも悪くも彼のおかげで、年下であっても先輩には敬語、というスタイルが身に着きました。それにホストのくせに酔うと酒癖わりーんだこれがまた・・・

 次に幹部補佐の弟君。いわゆる“薄い顔”で一時期ホストで流行した“薄いメンズ”の走りのようなキャストだった。彼も入店したばかりの俺を気にかけてくれていた。根がかなり優しいからお客に言い寄られまくってすごくもめてたよな・・・


 それでこのホストクラブに入店した経緯。驚くことなかれ。

 求人掲載誌タウンワークで応募した流れでホストクラブに行きついたからである。

 元々、よく自分の声が低音バリトンで良い声質やからバーテンダーでもどうや?と友人や当時のバンドメンバーに良く勧められて、ちょうどバーの募集要項があったから面接に行くとそこはまさかのボーイズバーだったという。そもそもボーイズバー自体知らなかったし、まさかそこで面接してくれたオーナーからガチのホストを勧められるとは思わなかった。ちなみにそのボーイズバーでカウンターに立ったのは一度きりでした。それ以外全てはホストとして、です。


 この時に一日の飲酒量がえげつなくなり、最大でカロリ(チューハイ)を味バラバラで段ボールひと箱分、小瓶ビール1ケース、鏡月(焼酎)ボトルおそらく2本。途中で良くわからないノリで挟まれるテキーラをストレートで何杯か。

 今できる?うん、絶対にム・リ。


 当然そんな無理しまくりの生活に、自分にお客がつくこともなく、一日の最低保証給料も相当低いうえにヘアーセットを週6、スーツやら衣装を自前で揃えないといけないとなり、収入より支出が増大して病んでしまい、自身で人生初のバックレをやらかしたのであった。


 だが不思議な事に、ホスト界のイロハを教えてくれた先輩と、Jannne Da ArcYasuリスペクトの先輩と4年後再会し、また何か仕事出来たらいいねみたいにホッコリした会話をして現在に至る。ただ、その時再会してからまた会っていないので、今でも元気にしているだろうか。まあ、バイタリティ溢れる生き方とノリをしていたから、そこまで心配はないだろうが。


 ちなみにこの時掛け持ちをしていて、夜にホストをしつつ昼間はスーパーマーケットの肉コーナーの厨房で牛豚鳥を入れたトレイをひたすらラッピングしていた。夜仕事上がりに一旦帰宅して一時間仮眠してから出勤していたが、吐く息が余りにも酒臭いから肉発酵すんじゃね?と無駄に心配になりブレスケア10粒とウコン2本飲んで、マスク二重にするという徹底的な臭い対策で仕事に。当然二日酔いで頭がボケて肉そのものをラッピングしてしまうという珍事をやらかしたのであった。

 それが今から10年前の話。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ