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悪役令嬢は素敵なお仕事  作者: 奈月沙耶
第二話 中華乱世の悪役令嬢
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47.最後の矜持




 情報は思ったより早く、二日後にもたらされた。

「こっちに向かっていた橘花きつかさんと途中で会えたんです」

 淑華しゅくか姉上と一緒にこうへ行った侍女の橘花に話を聞けたのだと、子宇しうと一緒に来た子游しゆうが直接報告してくれた。


「残念ながら、淑華さまが亡くなったのは本当です。後を追うように蔡怜さいれいさんも流行り病で、と……。ですがお二人の遺体は引き渡されず橘花さんは弔えてもいないと。滞在していた駅館の役人に抗議しても話にならないのでそう家を頼ろうと戻ってきたみたいで。こっちはそれどころじゃないと伝えたんで、ご兄弟の方へ行ってみるということでした」

「そうね、それなら良かったわ……」

 何も良いことなんてない。

 衰弱したわたしは意識がもうろうとしていた。


子豫しよさま。オレたちと逃げましょう」

「馬鹿言わないで」

 それだけはしっかりと、ふたりの顔を見てわたしは告げた。

「おまえたちはもうわたしの侍女でも使用人でもないわ。もう面倒を見てあげる義理はないのだもの。早くふたりでどこかへ行ってちょうだい。わたしはひとりになりたいの」


「子豫さま」

 ぼろぼろ泣きじゃくりながら、わたしに忠実な子宇はその場で平伏した。子游も続く。

「お仕えできて、しあわせでした……っ」

 そういう柄じゃないのですけど。ふたりの無事を願ってわたしは黙って見送った。





 それからどれくらい経ったかわからない。

 突然牢から引きずり出され宮殿の正門前に連行された。

 都人や数人の挺臣らにえい公子に清蓉せいよう、それとようの将兵たち。


 ようやくわたしの刑が決まったようだ。いよいよ最期のときがきて、強ばった頬に笑みが浮かぶ。

 わたしよりも断罪する側の叡公子たちの方が余裕のない暗い顔つきをしている。

 彼らは都落ちするつもりなのだろう。その前にわたしを始末していこうというわけだ。


 広場に出されたときからわたしはそれに注目していた。

 そうなの、わたしはあれで殺されるわけだ。これまでの経験の中で最も過酷な刑かもしれない。


 女の身でありながら、という断罪文の文句が耳につく。

 まったく余計な記述だわ。最後まで、この世界のこういうところは気に入らないわ。

 苦く笑うわたしを、もっと苦々しげに見やる者たちと、不気味なものを見るように眉をひそめる人たちがいる。

 ごめんあそばせ、処刑シーンではわたしはいつもハイになってしまうんですの。


 わたしは毅然と顔を上げたまま、係官が滔々と読み上げる処刑宣告を聞き終えた。

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