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悪役令嬢は素敵なお仕事  作者: 奈月沙耶
第二話 中華乱世の悪役令嬢
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45.女王爆誕!?

 目の前にあるのは玉座。ひじ掛けの龍の彫刻に手をかけ、わたしは、ストンとそこに腰を下ろした。

 その場にいた者たちは驚くばかりで、声をあげることもできず目を剥いてわたしを見ていた。


 ねえ、これってそんなにおかしなことなの? ずっと、ずっと思っていた。

〈女子の栄達〉がどうして国母になること限定なのか。女子は王后になれても王にはなれない。どうして。


 父上は、男子だから、女子だからと教育方法を分けたりしなかった。子豫しよたち姉妹は乗馬や武芸や兵法だって教えてもらった。そのうちにやりたいことを選べばいいと笑って。


 母親たちが次々と亡くなると責任感の強い淑華しゅくか姉上は、家政の勉強に重点を置くようになった。

 綺麗なもの、着飾ることが好きな芝嫣しえん姉さまは歌舞音曲のお稽古に身を入れるようになった。

 兄弟姉妹の中で唯一わずかばかりといえど気功の素質があった子豫は師匠について鍛錬したり救済園の手伝いをしたりと、そのまま伸び伸びと育つことになる。


 少なくとも父上は、子どもたちがやりたいことを否定したりしなかった。

 そんな父上こそが王になる資質と資格を持っていたにもかかわらず、二国に仕えて忠誠をつくし、臣下として生涯を終えた。


 子豫は父上の娘だ。王家と姓名を同じくする氏族に属し、〈女子の栄達〉を予言された娘だ。

 栄達を望むのなら、わたしは玉座を狙う。当然だ。なぜそれがいけないのか。


 しーんと静まり返った広間に、トン、と硬質な音が響く。わたしが床に剣先を打ち付けたのだ。

 ぐいっと胸をはり、顎を上げてわたしは壇下を俾倪へいげいする。

 わたしが王だ。文句あるか。




 ……なーんて、イキったところで三日天下でしたけどね。おっほほほ。二日天下じゃ格好がつかないし三日もって良かったこと。

 不衛生で、ここにいるだけで感染症にかかって命を落とすことになりそうな半地下の牢獄で、わたしはひたすら処刑のときを待っていた。


 あの後、市中に放り出された清蓉せいようえい公子は命からがら城壁の外へ出ることに成功したようで(しぶとさはさすがヒーロー、ヒロイン)、公子が放棄した防衛線を楽々突破して侵攻してきたよう軍と合流。

 清蓉に言われるがままに壅に援助を求めた叡公子は壅軍と共に都へ帰還。


 少数のわたしたち叛乱勢力はあっという間に鎮圧され、宮殿を壅軍に明け渡した。

 兵士に取り押さえられ、再会した叡公子はもはや人ではないような様子だった。憎悪を剥き出しに殺してやるとわめきたて、清蓉と壅の将兵に宥められていた。


 壅にしてみれば複雑なことだろう。さんざん煮え湯を飲まされてきたそう将軍の娘、その娘が謀叛を起こしてくれたおかげで楽々とここまで進軍できたのだ。

 わたしにしても、父上は壅に謀殺されたのだし、彼らだって仇敵ではあるのだが、やりきった感の方が大きく、どんな刑に処されるのだろうかとそっちの方が気になった。


 民を扇動暴徒化し貴人の屋敷を襲わせ、自身は宮中に押し入り天子夫婦を殺害(どさくさ紛れに罪が増えているがどうでもいいわ)、九鼎を陵辱し玉座を汚した大悪人だもの。極刑は当然だとして。


 それはそうと、牢番から聞きかじった情報によれば、この混乱の最中に叡公子は煒国王並びに天子として即位したそうな。同時に清蓉を立后りっこう、儀礼は先送りとなったものの(おそらく催されることなく終わるだろうけど)ふたりはめでたく亡国の王と王妃になったのである。


 再び故国を亡くそうとする清蓉の破滅思考を、わたしはちょっとだけ理解できる気がした。とにかく悲劇のヒロインになりたいタイプなのだろう。だめんずのお手本のような叡公子を見捨てなかったところからして。

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