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悪役令嬢は素敵なお仕事  作者: 奈月沙耶
第二話 中華乱世の悪役令嬢
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35.ヒロインの証明




 子游しゆうに頼んで見張っていたところ。清蓉せいように治療を頼みに集まる人たちの半分はサクラであることがわかった。

 仕事がなく道端に一日座り込んでいる者に、どこぞの工作員らしい男が銀子おかねをわたして清蓉のところへ行かせていたのを子游は何度も目撃した。

 だっさ。やらせで人気を捏造してたとは。


 でも本当に仙女サマを頼って助けられた人たちもいる。半分は本物で半分はやらせ。こういうのがいちばんタチが悪い。

 善人ごっこを宮中に上がるための手段としか考えていないのが見え見えなのに、怪我を治してもらって喜んでいる子どももいるだけに。

 善意のありかは難しい。私には関係ないけどね、自分が不愉快に思うかそうでないかの方が重要だわ。清蓉の姿を見るだけで不愉快。だから敵。問題なし。


 王后おうごうの召喚に応じて仙女サマが宮殿へ向かう日、いつもの白い衣で清蓉が大通りをしずしずと進んでいくのを私も見ていた。


 公子も手の者に清蓉を探らせ、ようとの接触を確認し、上奏もしたが一笑に付されたようだ。


 清蓉を止められない。この女は敵で、ヒロインだからこそ。今はここで見送る。ふつふつと煮えまくる敵意を今はひたすら温存する。

 とはいえ本当にここで何もしないのは〈悪役令嬢〉の名折れよね。


 そこで私は、そのへんで遊んでいた幼い子どもたちに果物を買い与え、あるミッションを言い渡した。

 子どもたちは喜んで果物をほおばり、果汁でべたべたになった手を振り回して仙女サマに駆け寄った。砂ぼこりで汚れた小さな手に流れた果汁がべとべとになって、仙女さま仙女さまとまとわりつくたび清蓉の白い衣が汚れる。


 くっくっく、嬉しいでしょう。アンタはちやほやされるのが好きだものね。公衆の面前で、幼い子どもを罵倒したりはしないでしょう? くっくっく。汚れた衣で宮中へ行ってせいぜい注目されるがいいわ。





 王后おうごうの御機嫌取りに成功した清蓉はえい公子に伺候するようになり、芝嫣しえん姉さまと熾烈な寵愛争いを繰り広げ……なかった。

 叡公子の元に日参してあれほど頑張っていた姉さまが、清蓉が侍るなり早々に公子を放り出してしまったのだ。さすがにこれは予想外だった。


「いいのですか!? 芝嫣姉さま。あんな得体の知れない女に負けたままで」

「本当よ。あの女は気持ちが悪い。叡公子までおかしくなってしまって。あんな人たちの近くにいたくないわ」

 ええー、姉さま、いつからそんな根性ナシに。


「いくらなんでもあんな出自の怪しい女がきさきになれるわけもないし。公子のお相手をしばらくお休みできると思えば悪くもないでしょう」

 その気持ちはとてもわかりますけど。それにしたって。


「叡公子は清蓉のどこを見初めたと」

 好物の干しイチジクを差し出しながら追及すると、芝嫣姉さまは気だるげに叡公子と清蓉のようすを語り始めた。

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