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悪役令嬢は素敵なお仕事  作者: 奈月沙耶
第二話 中華乱世の悪役令嬢
63/84

30.キターーーーーー!!




 蔡怜さいれい淑華しゅくか姉上の出奔が発覚すると、宮中は大騒ぎになった。

 えい公子はショックで寝込んでしまい、老齢の天子は頭に血が昇ったのかやっぱり寝込み、怒り心頭の王后おうごうは目を血走らせてふたりの捜索を命じ、無能なくせに権勢は欲しがる廷臣らはライバルを蹴落とそうとここぞとばかりに父上を弾劾した。

 能無しどもが寄ってたかって声だけは大きくし、父上がその場にいないのをいいことにピーチクパーチク騒いでいるのが目に浮かぶ。


 が、ここで粛々と登場した公子が、盛虎せいこ将軍(だっさい称号もらってたな、忘れていた)の功績と、今回子女が犯した罪は同列に語るべきではなく、また、よう軍に国境を侵される危険がある今、罷免するのは適切ではない、とらしくもなく滔々と説くと、奴らは沈黙したという。


 婚約者に逃げられた叡公子本人は、まめまめしく通ってくる芝嫣しえん姉さまと語り合うことで心の整理ができたと早々に立ち直り(さすがヒーロー)、その姿を見て王后も平常心を取り戻すと、後宮の主らしく画策を始めた。


 侍衛に許嫁を奪われたなど公にできることではなく、当然この騒ぎを内々におさめたい。

 そもそもそう淑華を推したのは「棕家の女子が天子を選ぶべし」という予言と、王太子候補の一番手であった叡公子が彼女を気に入り、円滑に事が運びそうだったからだ。


 しかしよくよく考えれば、棕家には他にも娘がいて、そのうちの誰が天命の主かは特定されていない。

 王太子であり次期天子である叡公子がまたまた棕家の娘を気に入ったというのなら、長女だろうと次女だろうと「棕家の女子」には違いないのだから、すげ替えればいいだけの話だ、と。


 この世界では、重臣の女子や王族であろうと、女性は名もなき庶民と同じ。広く名前を知られることはあまりない。

 多くの人々は王太子になった公子が将軍家の娘と婚約したそうだ、という認識しかないのだし、淑華姉上の存在はなかったことにして、最初から芝嫣姉さまがお相手だったように体裁を整えればそれでいいのだ。


 そんなこんなでめでたく(?)今度は芝嫣姉さまが王太子の婚約者におさまった。〈悪役令嬢〉をドロップアウトした淑華姉上の代わりに繰り上がった形で、私たちが三姉妹である意味をまた考えてしまう。


 私はといえば、家の差配の負担が一気に増え、将軍府の屋敷と救済園を往復する毎日だった。

子豫しよさま! 聞きましたか?」

「おはよう、子游しゆう。聞いてないわ、なんの話?」

 子游は辺境からついて来た救済園の使用人の一人だ。少年だからこその機敏さと機転の良さが重宝するので、目をかけ私が名前をつけた。今もなにやら情報を知らせにきたようだ。


「なんでも、噂の仙女さまが都に来たそうですよ!」

「? 噂の仙女さま?」

「あれ、オレ話してませんでしたっけ? 子豫さま忙しそうだったからなー。ちょっと前から評判になってたんすよ。最初はようから来た連中が言ってて。ケガを治してもらったとか、病気が治ったとか。なんでも、かんの王族の生き残りで? 壅に隠れ住んでるときに大地の女神様? から神力をもらったんだとか。それでケガ人や病人を助けて方々を転々として、まで来たとか。助けてもらった人たちが仙女さまって呼んで盛り上がってるんですよ。……って、子豫さま? なに震えてるんすか、具合が悪いので?」

「いえ、大丈夫……」


 これはちょっと、武者震いがしただけで。

 だって、だって。


 聖女キターーーーーー!!

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