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悪役令嬢は素敵なお仕事  作者: 奈月沙耶
第二話 中華乱世の悪役令嬢
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27.どうすんだ

「姉上、本当なんですか? 蔡怜さいれいと恋仲なのですか?」

「わたくし、わた……」

「無理に話さなくていいです。頷いてくれれば」

 淑華しゅくか姉上はぐしゃぐしゃの泣き顔のままこくんと頷いた。小さな女の子みたいでクールビューティが台無しだ。


えい公子はご存じなのですか?」

 眉根を寄せて姉上は、どちらとも返事ができないようだった。

 私は、袖で口元を隠してそっぽを向いている芝嫣しえん姉さまに目を向けた。

「芝嫣姉さまはどうやって知ったので?」

素錦そきんよ」

 姉さまは横を向いたまま憎々しげに蔡怜の妹の名を吐き捨てた。


「さっき宮中で公子たちとご一緒したとき、いつもみたいにあいつもくっついて来たのよ。しかも隙あらば叡公子とふたりきりになろうとして。いい加減うっとうしいからガツンと言ってやったのよ。そしたら素錦のやつ、姉が何をしているのか知りもしないでって、思わせぶりなことを言うから、ひっぱたいて白状させたの。まさか、あんな話を聞かされるなんて」


「妹の素錦は仕方ないとして、他に知っている者は?」

「いないんじゃないかしら。素錦は叡公子に知らせたくてうずうずしてたのよ。だから教えてあげたわ。事が発覚すれば蔡怜の家族のあんただってタダでは済まない、叡公子のおそばには二度と侍れないってね」

「なるほど」

 さすが芝嫣姉さま。上出来だ。


「ならば取るべき方法はひとつです。蔡怜と素錦を処分して、なかったことにしましょう」

「駄目よ!」

 淑華姉上がひび割れるような叫びをあげた。

「駄目よ、駄目! 蔡怜がいなくなるなんて駄目! わたくしは彼がいないと駄目なの、彼がいなくては生きていけない」

 え。

「蔡怜を殺すのならわたくしも殺して!」

 ええええ。


 わあああっと泣き出す淑華姉上。

 どうすんだ、これ。

 芝嫣姉さまに目で助けを求めても顔を背けて無視された。

 ええー。メンドクサイな。

 私は仕方なく淑華姉上の前にしゃがみ込んだ。


「姉上、いいですか? 王后おうごうとしての未来か、蔡怜か。選べるのはひとつだけです。さっき提案したように、なかったことにしてこれまで通りに振る舞うか、身分を捨てて蔡怜と出奔するか。どちらを選びますか?」

 淑華姉上は返事をしなかった。口を開きかけては頬を震わせ、くちびるを噛み締め、その繰り返しだった。


「……」

 私は重く息を吐きだし立ち上がった。

「わかりました。私が決めます。こうなっては姉上はもうそう家の役に立ちません。蔡怜といなくなってくれたほうがありがたいです。段取りは私がすませますから、姉上はしばらく部屋から出ないでください。芝嫣姉さま、私の部屋でふたりで話しましょう」


「待って、子豫しよ!」

「待ちません、事は一刻を争うんですよ。まだ足を引っ張るつもりですか!?」

 ぎゅっときつく眉を寄せてまたほろほろと涙をこぼしながら、淑華姉上は両手で顔を覆った。

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