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悪役令嬢は素敵なお仕事  作者: 奈月沙耶
第一話 悪役令嬢恐喝する
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15.ヒロインとは

「イザベル……」

「はい」

「これもおまえの仕業ではあるまいな?」

「おっしゃる意味がわかりませんわ」

「シルヴィーにそれは酷い仕打ちをしていることは知っているんだぞ」


 あんなのはただの幼稚ないたずらだ。でもそう、シルヴィーが「酷い」と感じたならそうなのね。ハラスメントの基本は先刻承知している。そのうえで、わたくしは悠然とアンリを見つめながら反論した。


「わたくしはシルヴィーと仲良くしているだけですわ。殿下もわたくしに依頼されたではありませんか」

「ふざけるな!」

「大きな声を出さないでくださいまし。馬が驚きます」

 アンリはぎりぎりと唇を噛みしめてわたくしを見据える眼に力を込めた。まだまだ迫力に欠けるけれどいい目だわ。わたくしと戦う覚悟はできたの? 王子様。


 わたくしを睨むばかりでアンリは声を発しない。彼の腕の中でシルヴィーは顔を伏せたまま動かない。当事者のひとりのくせに男を矢面に立たせて知らん顔ってわけですわね。いいご身分だこと。


 そっと扇子を上げてシルヴィーを指しながらわたくしは口を開いた。

「なぜそんなに怖いお顔でわたくしをご覧になるのです? わたくしは殿下の婚約者です。その方は? なんなのです?」

 毅然と問いを発すると、ギャラリーの方々の表情にそうだそうだと同意するのと同時に好奇の色が浮かんだ。


 ふふ。アンリ、あさましい人。こんなに見物人がいる中で、どんな三文芝居を演じてくれるのかしら。ちなみにシルヴィーにはあなたを助ける気はないようよ。どこまでも自分は守られていればいいと思っている。そういう女がヒーローに選ばれる。


 じゃあヒロインて何? ヒーローに選ばれるのがヒロインなの? ヒーローがいなくちゃ駄目なの? 自分は何もしなくていいの? 違うでしょう! 自分で考え、自分で戦うのがヒロインでしょう。違うの? ヒロインはただ愛されるだけでいいの? それならばがっかりだわ。


 苦々しい笑みが頬に浮かびそうになって、わたくしはくちびるを引き締め、目を見開く。さあ、アンリ、あなたにべったりのヒロインの前であなたはどう応じるの? 追い詰められているのはわたくしじゃない。シルヴィーとあなたなのよ。


「イザベル、おまえは確かに俺の婚約者だ」

「あら、お忘れではなかったのですね」

「……シルヴィーも、俺にとって大事な令嬢だ」

「も」? 思わずわたくしは自分の耳を疑いながらキリッとキメ顔のアンリを凝視した。おい、今なんて言った? サイテー王子。

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