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『少女世界攻略記録』  作者: けゆの民
『少女異世界攻略記録』
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56◇滑落の果てに魔銅在り、架空の果てに真理在り


私はゆっくりと目を開け、世界を確認する。


発動させたのは『追憶の世界(ロスト・ワールド)滑落(コンフュズ)─』


摩天楼と夜を映し出す『科学(サイエンス)』。

その夜を深め、更には砂埃を撒き散らす『荒廃(ノンホープ)』。

そして極めつけは濃霧による視界制限の『虚実(リベイギュ)』。

その3つを統合させた『滑落(コンフュズ)』。


文明の最隆を再現し、その力をこの魔術世界に知らしめるための『科学(サイエンス)』。

夜が更け、時間を廻し、その文明の隆衰を描き万物変化の絶対真理を説く『荒廃(ノンホープ)

全てが眠り、虚々実々とした夢世界に悪霧(あくむ)を伴って誘い込む『虚実(リベイギュ)』。


それら3つを組み合わせて作られる『滑落(コンフュズ)』。

それに込められた意味とは裏腹に世界は彩りと輝きを取り戻す。



さて、当初の予想通りに、エネステラは強大な魔力故、警戒した動きで私を見る。


数日前に何処かの広場で見たビルと月が再度この空間…いや、この世界に拡がる。

それは数日前の再現であれど数日前とは別の世界。

何故かと言われれば…地面は砂埃によって汚され、乱立する摩天楼の上部は霧で覆い隠されている。

そしてこの空想都市(わたしのせかい)も半径50mにしか存在しない。

そして何よりも青く巨大な月は霧と砂で一部を隠され…その裏で確かに三日月になっている。


「さあ、かかってこい化け物!ここは私の世界だ!これ以上の横暴は許さない!」


この私の宣言と共に前哨戦が終わり──

いよいよ本格的な戦いが始まる。






──この戦いは()しくも人類史上3度目(・・・)の魔銅との決着であり…


──現代の人類の魔銅への態度でもあった。


一度目は慢心故の放置。

二度目は天敵故の不退転。


ならば三度目となる今代の『人類』はどの様に扱うのか。


その答えはたった3人(・・)の手に託された。





初手は安定でビルを倒壊させ時間を稼ぐ。

どうせこれだけだと数秒しか稼げないけど、その時間に急いでポーションを飲みmpを回復させる。


…本当に数秒しか稼げてない上に体力回復してるっぽい。

あれかな?

元が魔銅だから…金属を吸収して回復的な感じかな?

…ならビルによる物理攻撃はなるべく使わない様にしよう。

でもそうするとメイン火力が失われる訳で…どうしようか。

一応拳銃は作ったけどこれも金属を発射する以上撃っても回復に使われる可能性がある。


あまり使いたくなかったけど…仕方ない。

別にこれは舐めプしてた訳でもやれやれ系主人公してた訳でもなく…


──単純に私のmpが切れやすくなるからやりたくなかっただけ。

つまり必然的に短期決戦を要求されるから嫌だったから。

基本的に私は『万が一』の事が発生しない様に、そして発生しても対処できる様な戦い方しかしない…というより、したくない。

まあそれを実践出来てるか…って言われれば怪しいけど。

兎も角、保険に保険を重ねた戦いをしたい訳だ。

そしてこの場合の短期決戦というのはその保険を外すことになる。

まだ、この段階なら間に合う。

最悪アリスとセリアを連れて全力で逃げればこれから逃げられるだろう。

それが最後の『保険』。

でも短期決戦になるとmpの消費とやることの関係上逃げれなくなる。


私は自分で起こしたことの責任位、自分で取りたいからね。


深呼吸…をしてる時間はないから軽く息を吐いて後ろを見る。



──やっぱり退けない、か。


ならしょうがない。安定度外視、安全マージン全解除でいざ、参る!…ってね。


超高速で向かってくる鞭をaglに任せた体の振り向きで躱しながら『純白の十字教会イノセンス・クレルモン』を構える。


久しぶりに『限定空間制御マルチ・ディ・オービス』を使いつつ、相手の動きを把握して剣と鞭を避けながら、一応の確認のために銃弾を撃ち込んでおく。

…ダメージは入ってるぽいけど回復量の方が高そう。

うーん、圧倒的無駄骨感。

やっぱりか。

離れ際に用済みになった拳銃を投げつけ、(つい)でにビルも崩して時間を稼ぐ。

どうせhpは満タンだからこれ以上は回復しないだろうしね。





…ところで話は変わるけど。

追憶の世界(ロスト・ワールド)』は謂わば『使用者が明確に想像出来る物』を具現化する能力で、その対象は実態のあるなしや目に見えるかどうかには左右されない。

唯、実態の無いものや目に見えない物は想像しにくいから使いにくいだけだ。

そして今から作り出す物は目に見えない上体感した事ある人は少ないけれど、元の世界なら誰でも想像に難くなくそしてその恐ろしさを知っている物だ。


「アリス!セリア!なるべく離れてて!今からこの周辺は有害物質だらけになる!」


…よし。二人が避難し終わったから精製していこう。

人類が開発し…されどその危険性から意図的に被害を引き起こした回数は片手で数えられる程しかない…そしてそうでありながらもその実情は地球を数十回破壊しても足りない『爆弾』のエネルギー源であり…ハイリスクハイリターンの発電方法の源でもある──


その名を放射能と言う。


魔銅には効かないかもしれないけど、一瞬だけ見えた元のエネステラの形や見た目からそっちには効くと推測して、エネステラ周辺に放射能を精製。

ごっそりと減る(25000も減る)mpを横目にその効力を確かめるためにエネステラを注視する。


さて、ここで問題なのがビルを壊すのはビル内部に爆弾で爆発を起こしているだけで別に作ったビルを消失させようとしているわけではない。

つまり、この追憶の世界では自分が作った物は自由に壊せるわけではないのだ。

そして私は放射能がどうやって無害化されるかなんて知識を持ってる訳ではない。

半減期とかがあるのは知ってるけど…数千年単位だった筈だし無理だ。

よって現段階で放射能を消失させる方法は一つ。

この魔法自体を解除して消失させる方法のみ。

つまりこの戦闘が終わった時…だ。

放射能の恐怖は散々テレビでもネットでも知ってるからなるべく触れない様にするけど、戦闘の都合でそりゃあ触れることになるでしょ。

だからどうしても体に悪影響が出る前に急いで消失させなきゃいけない。

従ってどう足掻いてもこの試合は『短期決戦』になる。

しかも見た感じ、思ったより効果なさそうだし…


まあ幸いにも身動ぎ(みじろぎ)はしたから、外部には現れてないだけで、内部には効果があったんだろう。

まあどっちにしろ、だ。

ここからは超特急(ASAP)で試合に蹴りをつける!


え、ASAPってどういう意味かって?


As(なる) Soon(べく) As(一瞬で) Possible(終わらせる)だよ!!…っと」


右手から振り下ろされる剣をクレルモンで逸らし、距離を取る。


さてさてさて。

命の危機故か上がってきたテンションをそのままに、次の創作物をイメージする。


そして次に私が作り出す物は現実…元の世界には存在しなかった物だ。

けれども、元の世界でも『その現象』を見る事が出来…そして誰しも一度は憧れを覚えた物である。


つまり…元の世界では空想上でしかなかった『魔法』をこの世界に取り入れる!

え、この世界には既に魔法があるって?

何を(おっしゃ)いますか。

追憶の世界(ロスト・ワールド)』はイメージとmpさえ許せば文字通り何でも(・・・)再現可能だ。

それは創作上(アニメ)の物だろうと架空(マンガ)の物だろうと関係ない。

つまりはそういうこと。


ご存知の通り、アニメ等で取り上げられる魔法は大量に…それこそ星の数程あるけど、私が細部まで覚えていてかつ今即興でイメージをこの空間上に補完できる物は数少ない。

そして更にその上、このエネステラに効果のありそうな物なんてほぼないだろう。

しかしそれはlittleな(ほぼない)だけでno(ゼロ)じゃない。

思い付いた時に、有用だと思った時に惜しまず使っていけ!

出し惜しみも保険も全部世界の端に投げ捨てて、後で回収しよう!


最初の一発はド派手に行くよ…!


「即興補完魔法『エクスプロージョン』!!!」


今までビルを崩して来た爆発とは別の理論で動く爆発を…『魔法』に起源を置く爆発を『相手の内部の隙間』に起こす。

されど私の即興補完(そうさく)魔法はこれだけじゃない。

次は王道オブ王道。湖の勇者を起源とする英雄物語に出てくる聖剣だ!


「即興補完魔法『エクスカリバー』!!」


アーサー王の聖剣を元祖とし恐らく世界で一番有名な剣の名前を呼び、青いオーラを纏った聖剣(クレルモン)が自動で『魔法として』振り下ろされる。


…やっぱり即興補完魔法は色々な様相を同時に再現して作り出してる以上、mpの消費が尋常じゃなく速い。

現に今の二つの『魔法』で私のmpはほぼ0になったのでポーションを飲んでmp回復しながらエネステラの様子を伺う。

流石のエネステラと言えども、あの『魔法』を二つ喰らって無傷ではいられなかったのか所々を負傷し、聖剣(クレルモン)が直撃した顔(部分)はかなり抉れている。

そしてその抉れた部分からコアらしき物が覗く。

しかしその傷も数秒で元に戻る…が恐らくこの『修復』は金属を吸収した時と違ってhpは回復してない。

じゃないと金属を吸収する意味がないからだ。

だから順調にダメージは稼げてる。

エネステラだって無限の体力を持つ訳じゃない。

なら、高々有限回殴れば機能停止する。

それに放射能の影響なのか再生した部分が微妙に脆そうな見た目になってる。


これは───

考えが纏まった丁度その時。

この戦闘が始まってから二回目の機械音声が聞こえた。


「───《魔銅復古》」



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