20◇第二王女様の推察と疑念
アリス様の部屋に着いた。
…普通に王女らしい豪華絢爛だけど下品にならずに、可愛らしいけどあざとくならないようになっている部屋だ。
……?妙だなぁ。まずアリス様はこんな感じじゃないと思う。いや、内心が実はこんな可愛らしい感じだった…って可能性がなくはないけど…それでも何か違和感がある…
…あ、あれだ。生活感がないんだ。
一切乱れてないベッドときれいに整頓されたクッション。
化粧の粉もキズも汚れも全く付着してない化粧台。新品同然の様なクローゼット。
これが王族クオリティだと言われたらしょうがないけどこないだ待たされた場所や謁見室の整頓され具合とを合わせて考えると…
…絶対普段はここに居ないんだろうなぁ。
「……気付いてると思うけど…」
そう言ってアリス様は絵画を触ったりベッドの横に置いてある小さな本棚の本を動かしたりして…ってもしかして隠し部屋!?
…予想通り隠し部屋を出現させた。って入り口壁なんだ。後「……気付いてると思うけど…」とか言ってたけど私は違和感というか生活感のなさに困惑してただけで隠し部屋があることは気付いてませんでしたよ。
「…こっち…」
あ、はい。
アリス様に着いていって入った隠し部屋の中は…
まさに学者というか研究者っぽい部屋だった。移動式の黒板に簡素な寝具。部屋の各地に置いてある魔術的な道具と思われる物。
…この中でも私が一番気になった物は研究対象と分類されてる棚の中に入っている『理論有機化学』『微分積分ε-δ論法』『社会心理学応用-発展』『流体物理学基礎理論』といったどう見ても元の世界の学問書だった。
…何故かすごくぼろぼろだけど。
「…気になる?」
「…これは…遺物…ルナエン王国の時代の…」
「…教科書っぽいけど……誰もわからない…」
だろうね。内容がどう見ても元の世界の大学範囲だし。っていうかε-δとか流体物理とかどう見ても元の世界の人の著作だよね。そしてこれらの著作は…
「アリス様、この大学の本を少しだけ見てもいいですか?」
「…勿論」
……天整統霧生…か。
あの意味不明な遺言を職業の水晶に埋め込んだ人か。
そして、私が知る限り唯一の異世界転生者に。
つまり元の世界に帰る手掛かり。それと…王城の…なんだっけ……そうだ。あれだ。小型発電機。それに残りの遺言が入ってるはず。
「アリス様、この本の作者が作った他の物ってこの城に有りますか?」
「……なんで知ってる?…機密事項のはず…」
「…技能…いや、違う…」
アリス様が考え込んでしまったのでこの本でも読んで待ってよ。
…全くわかんないなぁ。まあそりゃそうか。たかが一介の中三に大学範囲の話がわかるわけないよね。
数学とか世界史は独学で多少やってたとは言えそれも高校範囲の一部…勿論大学範囲なんてやってないし。
っていうか天整統霧生さんって多才じゃない?
この本だけでも物理、化学、数学、社会に通じてることは確定だし。お、アリス様が復活した。
「……ハナは……【魔王】?…」
…え?マオウって…魔王?どんな発想でそうなったの?
「え?違いますけど…」
「…なら…おかしい…どうして…なんで…じゃあ…じゃあ…【救聖女】?」
キュウセイジョ?…キュウ聖女…語呂的に救聖女かな?でも…
「そんな御大層な者じゃないですよ?」
「…【救聖女】でも…【魔王】でもない。…ってことは特殊職業じゃない?…なおさらなんで……待って…天整統霧生を知ってる……王族でも…ほぼ知らない…なら…なら…ハナは…天整統霧生の子孫?」
あれ~?名前しか知らない人の子孫に認定された。そもそも名字違うじゃん。
っていうかアリス様は何を考えてるの?
私は日本国出身の中学三年生で異世界転移者の片瀬花奈でこっちでの職業は宮廷魔術師第六席。
別に両親のどっちかが富豪だったり一族の秘密があったりするわけでもない極普通の家庭。
おかしいとこと言えばそれこそ私が異世界転移してるってことだけ。
そういえば両親は今頃どうしてるんだろう?
私のことを探してくれてるのかな?それとももう諦めちゃったかな?
…まあ現状だけ見ると当分帰れそうにないけど。
「子孫じゃないです。私は極普通の(日本)人です」
流石に異世界転移者とは言いずらいなぁ。
「…じゃあ…じゃあ………………………………………ハナは…何者?…一般人なら天整統については知らないはず。そして一般人なら昨日の原子やマナについての話なんて思いつかない。更に今日の数学の授業もあんな別解が一般人に思い付くはずがない。この国の一般人って言うのは下手したら四則演算もできないんだよ?それに『十二時の鐘』や『舞踏城』や呪域『非科学体系の崩壊』それに『死帯享楽』はどういうこと?私の『魔術判別神擬眼』でも見れない様な魔術を4つも持てるなら特殊職業かそれに類する物しか考えられない。でも【勇者】【大賢者】【占宙者】【教皇】【救聖女】【魔王】これら6つのどれでもないなら…待てよ。落ち着いて考えて…ハナは一般人。それに関してこの部屋の虚偽検知に反応してない」
待って。そんな物あったの?後突然饒舌になるなぁ。アリス様は感情が高ぶると饒舌になるタイプかぁ。
「何ならここまでの会話で一度も反応してないから全て本当の事をハナは言ってる。その上でハナは自分のことを一般人だと言いきった。つまり、ハナの『一般人』の基準がずれているという可能性が高い。なら他国から来た可能性もある。…が普通こんなに頭の回転が早い人を流出はさせないだろうし、そもそも『一般人』の基準がここの王都より高い地域なんてほとんどないしその基準が高い所は性質上人を絶対に外に出さないはず。そして一応そこや他の主要な町から人が出てないのは確認済み。原点に立ち返って考えるとハナはモルの森に入る前の情報が一切ない。私の情報収集部隊を使っても見つからないということはそうそうない。それにモルの森から出た時の服装や様子の情報から考えて、そこにさっきの『一般人』の基準や原子の話、そして天整統霧生の話を総合して考えると…まず天整統霧生の関係者だと言うのはほぼ確定してる。そして天整統についての確定的な情報はほぼなくて出生地はルナエン王国であるのが確定してるのに自称は『ニホン』という所らしい。何処の国に聞いても『ニホン』という国の存在が歴史に残ってなかったから天整統の想像上の国とされているけど…待って、確か天整統本人の発言に『ニホンの人は名字の後に名前が来る。そして名前には漢字が使われる!』っていうのがあった。最初に聞いたときは名前に漢字を使うなんて変だと思ったし現にこの世界には名前に漢字を使った人なんていない。まあそれは天整統に敬意を持ってた昔の王族達が禁止したからなんだけど。…ところでハナ?…ハナの本当の名前…本名をここに書いて?」
あ、本読んでて聞いてなかった。え?本名を書けって?勿論いいけど…片瀬花奈っと。あ、またアリス様が思考モードに入った。出来ればそのぼそぼそ言うのはやめてほしいけど。
「やっぱり漢字で書いてる!ってことはハナは『ニホン』出身の可能性が高い。そしてハナと天整統は親戚関係じゃない…つまり本当に『ニホン』という国はあった!そして天整統によると『ニホン』は人口が一億人を越えていたらしいがそんな国が本当に在ったら歴史に100%残る。今のこの国でさえその十分の一程度なんだし。ってことはこの世界ではないどこかにあった。…『ニホン』は異世界の国…そこから考えるとハナは異世界から来た可能性が高い……つまり…」
「…ハナ…ハナは…異世界から来た?」
作者と本編のQ&Aと裏事情コーナー(最終回)
Q1:もしかして今回が最終回なのは…
A1:今回の内容も関係あります。
ここまでである意味での『第1章』ですから。
チュートリアル期間の終了です。
Q2:この章の『 』は何?
A2:それを言ったらネタバレになるので言えません。
まあそんな大それた物ではないですが。
→すみません。
章タイトルを変えたので良くわからない感じになりました。
元の章タイトルは以下でした。
『 』の異世界探検隊結成!
何で変えたのかと言いますと…今の方が語感が良かったからです。
迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした。
Q63:この物語の終着点は?
A63:成長が止まる時です。
裏事情20
何で63なのかと言いますと…まあ簡単に言えば作者側の管理番号です。
まあ今後もこのコーナーは不定期で続いていくのでその時は宜しくお願いします。




