16◇物理法則は森羅万象を支配する理である!
今回若干長めです。
……若干(前回のほぼ2倍)
メイドさん曰くもう一回さっきのとこに戻ってほしいらしい。
ここで行く振りをして帰るっいう選択肢…あ、メイドさんが案内してくれるんですか、そうですか。
というわけで戻って参りましたさっきの部屋!
アリス様がこっちを何か頼んでるような目を向けて、見てくる。どういうことだろう?
「ハナよ、『エネステラ』関係の褒美として宮廷魔術師の末席に任じよう。今後も自身の魔術の研鑽に努めるがいい」
は?
「というわけで、宮廷魔術師の仕事や内情、そして宮廷内でのルールとかについてはアリスに教えて貰え、私はこれでも忙しいんでな…仕事をしなくてはいけない。」
は?
「…というわけで宮廷魔術師っていうのは…」
は?
どういうこと?
◇
時間が少し経って落ち着いてきた。そして今はアリス様の部屋にいる。
「…って言うこと…ハナ?…聞いてる?」
「お気の毒ですが 私の記憶の書は 消えてしまいました」
アリスの何言ってるんだこいつ、みたいな目線が痛い…ここは素直に謝るしかないか。
「すいません最初から説明してください」
「…しょうがない……じゃあ最初から話す…」
「…宮廷魔術師って言うのは…トラウィス王国を…外敵から守るために…」
はい、アリス様は喋るのが苦手なので言われたことを代弁すると、宮廷魔術師って言うのはこの国の第三軍にあたるらしい。
第一軍が近衛の人たちで第二軍が物理メインの人…所謂騎士みたいな人達で、第四軍は貴族が箔をつけるために入るためのらしい。
それで第三軍は通称宮廷魔術師団って呼ばれててその団員が宮廷魔術師団員で(定員100人)…
その団員をまとめるポジが私がなることになった宮廷魔術師。
で、宮廷魔術師は定員が6人で一応序列があるとのこと。
それで箔をつけるために二つ名があるんだって。
で、次がその一覧。
第一席『属性賢者』シルクエス
第二席『赤炎使い』フィレーネス
第三席『大地支配』マルハルト
第四席『神風魔術』エルノフル
第五席『水陣確立』ネプタルフ
第六席『 』ハナ
はい。というわけで第六席です。
え?定員6人なら元の第六席はどうなったかって?…宮廷魔術師団員に降格…じゃなくて年で去年引退したんだって。
だから丁度良いとか。後二つ名は後で決めるらしい。
…まともな二つ名…いや、二つ名にまともってあるのか?じゃあ何か痛くない二つ名が良いなぁ…
それでそれで宮廷魔術師ってどれ位偉いの?って聞いたら(宮廷内)地位は上から
───────────────
王族
公爵=第一席
侯爵(=辺境伯)=第二、三席
伯爵=第四、五、六席
子爵=宮廷魔術師団の隊長(4人)
男爵=宮廷魔術師団の他の人
───────────────
で非常時(戦争とかの時)はっと。
───────────────
王族
第一席
公爵=第二、三席
辺境伯=第四、五、六席
侯爵
伯爵
宮廷魔術師団の隊長
子爵
宮廷魔術師団の他の人
男爵
───────────────
…こういうの見ると分かるけどやっぱり王族と臣下って大きな差があるんだなぁ…
それで宮廷魔術師の席次って一回決まったらそれ以降変わらないの?
って聞いたら決闘とか公式戦とかで勝てば席次があがるんだって。
後は戦争とかでめっちゃ大きい手柄を上げると上がることもあるらしい。
はい、次に平常時は何すればいいのかというと、まず宮廷魔術師団員の育成や自身の研鑽を第一に考えればいいとのこと。
後は自然と分かる。ってアリス様が言ってた。
…多分これで全部だと思う。
宮廷魔術師に関してはね。
なんでこんなに言い切れないのかと言うと、さっきからアリス様が色々質問してくるから何処までが仕事に関してかがわからない、っていう状態だから。
◇
一方その頃…
「急な召集なのに良く集まってくれたな」
「たまたま私達が宮廷内にいたからです」
「それで、連絡なのだがここ一年『魔術騎士』が定年でいなくなっていただろう…だから新しく宮廷魔術師の末席を決めた。すまないな、独断で決めて。アリスがどうしても、とな…」
「第二王女様が直接…ですか?」
「ああ、私も予想外だったのだが…」
「それで、その新任は…ハナというやつだ」
「…失礼ながら申し上げさせてもらいます。私は寡聞にしてそのハナという人物を存じ上げません。どこの貴族の者でしょうか?」
「ハナは平民だ。それも生粋のな」
国王がそういうとその場に集まっていた4人の公爵達は各々別の事を考えていた。
◇
そして更に一方その頃ハナは…
漸くアリス様の質問攻めから解放されたと思ったら何故か訓練所にいます。
そして、目の前には 宮廷魔術師第一席『属性賢者』シルクエス様?がいる。
なんでこうなったの?
後、いる場所的に如何にも今から模擬戦しますよ?みたいな雰囲気出してるけど残りmpあんまないからね?
「すみません、まさか今から…」
「…勿論…模擬戦。…わかってるでしょ?」
「でもアリス様。私のmpはもう…」
「…はい…mpポーション…」
これは強制的に模擬戦ルートだ。
初めて飲んだポーションは意外と甘かった。色も相まっていちごジュースみたい。
…味はいちごじゃなかったけど。
人工甘味料の味。
「初めまして、ハナさん。私はシルクエスと申します。不肖の身ですが宮廷魔術師第一席を努めさせて頂いております。この度は宮廷魔術師第六席にご就任おめでとうございます」
「あ、はい。宜しくお願いします」
「第二王女様から申し使った通りこの訓練所で模擬戦をするとのことですが…」
「…そう。だから早く…」
「…第二王女様もそう仰られてるのでお互いの細かい自己紹介は模擬戦の後、ということで」
本格的に模擬戦をしなきゃいけないっぽい。っていうかもう夜かぁ…。
ここに来てから割りと時間経ってるのか…。
よし!現実逃避はやめにして真剣に模擬戦しよう!就任して早々に完敗だと問題ありそうだし。
「…準備はいい?」
シルクエスさんと向かい合う。
「…なら…始め…」
シルクエスさんが何かする前に先手を取ろう!
『属性賢者』っていう位だから色んな属性の魔術を中心に撃ってくるだろうから…接近戦はあんま得意じゃないんだろうな。
それじゃあいつものを私だけに10分間agl100倍で。
「『舞踏城』!!」
「詠唱破棄、『マジックエンハンス』『ファイヤーボール』『ウォール』『ライトニング』!」
aglが実質13000換算に成った。
後感覚的にわかるんだけど『舞踏城』って書かれてないけど倍率は100が限界みたい。
で、上から落ちてくる雷が見えるから横に回避する。
そうしたら動いた場所に火の球が飛んできたから…
ジャンプして、避けて…っ!上からまた雷!?空中では流石に動けないから…『エネステラ』の研究施設から持ってきたバックからノートを取り出して真上に投げる。
よし、これで雷を防げた。
…ノートもったいなかったなぁ。後でアリス様に言ったら弁償してくれるかな?
で、今みたいに気付かない間に魔術が降ってくるのは嫌だからあれ使っとこ。
「『限定空間制御』!!」
よし、mpは減ってくけどこれで不意打ちされる危険はほぼなくなった。
攻撃しようと思ったけどシルクエスさんは『ウォール』で守ってる。
でもそれは前方…つまりこっち側だけ。
なら高速で後ろに回り込んで…よし、シルクエスさんはこっちを認識できてないね。
よしじゃあ喰らえ慣性の法則パンチ!!(str70)
説明しよう!慣性の法則パンチとはstrが低くても凄く速く動きながら殴ることで(正確には凄く加速しながら殴ることで)F(力)=m(質量)×a(加速度)のaを上げて威力を上げるというパンチだ。どうだ!これが物理法則の力だ!存分に味わえ!
……魔術師とは(哲学)
…これだと魔術が出来る戦士では?まあいいや。
「『属性結界・土』!」
数m位吹き飛んだシルクエスさんはなにやら結界のような物を張った。
そしたら体感のaglが下がったような気が…いや、下がってる。
それに加えてシルクエスさんの速度が上がってる。
因みにここまでで戦闘開始からだいたい30秒位。
「結界は燃費が悪いのでここからは短期決戦で行きますよ」
「詠唱破棄、『マジックエンハンス』『解放・属性魔術』『観察魔術』『思考加速』」
詠唱破棄って口に出さないといけないの?
それなら実質詠唱になるから意味ないのでは?
…まあそんなこと気にする時間も暇もない。
状況を見極めよう。
何やら色々な属性の魔術がこっちに向かって放たれる。
けれど『限定空間制御』のおかげで全部認識は出来てる。
さっきと違って魔術は10個も20個もポンポン出てくるから大分気持ち悪い動きをせざるを得なくなってる。
まず飛んでくる火の球を右斜め前に動いて真横にあったかまいたちみたいのに当たらないようにしつつ避ける。
でそうすると上から雷が降ってくるからさっき飲んだポーションの空き瓶を真上に投げて当てさせ、そうすると何故か後ろか電気が飛んでくるから少し跳んで空き瓶をキャッチ。
そしてそのままその瓶で電気を受けつつ受けたやつをシルクエスさんにむかって全力で投げつける!
で、横から飛んでくる土の槍を前に進んで避けて…よし、これでシルクエスさんの後ろに回れば…ってえ?こっちを捕捉してる!?
さっきの結界で実質aglが下がったとは言えそれでもかなりの差が…あ!さっきの『観察魔術』とやらの影響か。
こっちを認識している以上慣性パンチは避けられるか対処されるでしょう。
どうしよう…ってあれ?
そういえば【御伽之城主】って『舞踏城』以外にも使える技能が何かあったはず…
あ!『十二時の鐘』があった。取得してから一切使わなかったから忘れてた。確か…
───
味方にかかっているデバフと敵にかかってるバフを解除する。
mp(解除する数×200)を消費
───
…っていうか効果…この状況にこの上なく適してない?よし、なら…
「『十二時の鐘』!!」
mpが800も減ってた。
シルクエスさんが(バフとデバフの解除に)驚いて、そして私を見失ったタイミングで…
喰らえ慣性の法則パンチ!(二度目)
そして今度はシルクエスさんがぶっ飛ぶより速く回り込んで更に慣性の法則パンチ!
…シルクエスさんが壁にめり込んだまま動かなくなってしまった。
どうしよう。流石に死んでは…ないよね?
あ、大丈夫そう。脈はあるし呼吸もしてる。
っていうかシルクエスさんと模擬戦してわかったけどバフとデバフは本来強いんだなぁ。
私の場合運良く?…というか技能に丁度良いのがあったけど、もしなかったら割りとどうしようもなかった説が濃厚だからなぁ。
いつぞやの『お風呂メイカー』とこ『回転弾丸』みたいに都合の良い魔術習得ないかなぁ~ちらっ、ちらっ。
《基準を満たしたことを確認》
お?これはワンチャンあるのでは?
《呪域『非科学体系の崩壊』呪域『死帯享楽』の取得》
え?固有魔術とか技能じゃなくて呪域?ってそもそも呪域って何?
後発動方法とその効果、そして消費mpとかを教えて欲しいんだけど…え?実際に試さないとダメな感じ?…そうっぽい。今使うのもあれだから今度模擬戦とかする機会が在ったら使おう。
…いきなり実戦だと何が起こるかわからないのは怖いから模擬戦か訓練にしよ。
あ、シルクエスさんが引きずられてく。
対戦ありがとうございました。
「…ハナ……すごい」
アリス様からお褒めの言葉を頂きました。
これは調子に乗ってさっき覚えた呪域を使おうかな?
…冗談だよ?
もしアリス様に危害が加わる感じの奴だと怖いからね。
作者とほんへのQ&Aと裏事情コーナー
Q1:呪域ってなあに?
A1:今作のチート要素です。
Q2:シルクエス弱くない?
A2:子供相手に全力出すほど大人気なくないです。
Q3:慣性の法則パンチ…
A3:強いですよ?…何か色々と足りませんが。
ものすごくどーでもいい裏事情16
後書きで設定を書くリハビリ中。
『詠唱破棄』か単に 詠唱破棄 かは最後まで悩みました。
まあどっち選んでも100字位の設定が一つ増えるだけなので問題ないんですけど。
あ、『十二時の鐘』については作者も忘れてました。
自分で増やしといて何をしているんでしょうかね。




