14◇王族に拉致られた一般人の行く末は如何に?
「さて、ハナよ…すまない、その前にそなたの名前は本当にハナか?」
え、どういうこと?正真正銘私の名前は花奈だよ。あ、そういうこと?名字までつけた方がいい?
それか私のステータスの名前が「?」なことに気づいた?ってことはこの人は鑑定系統の…
…いや、表情的に違うかな。
唯の事実確認だわ。
「はい、私の名前は花奈です」
「はぁ、よかった。すまないな、それじゃあ本題に入ろう」
本題?やっぱ『エネステラ』のことだよね?
「私はハナに『エネステラ』をとどめて民の被害を減らした褒美として白金貨10枚を…」
「…だめ」
「むう、なら白金貨20枚…」
「…違う、そうじゃない…」
「どういうことだ?報奨としては適正かそれ以上だと思うが…」
「はぁ……しゃくい…」
「しゃくい?……爵位か。確かにこの年齢でエネステラを抑えられるなら騎士団とかに入ればゆくゆくは…なら騎士爵を…」
あれ?なんか気付いたら貴族になる流れ…不味…くはないし、なんなら天整統霧生の遺言の続きを聞くためには丁度良い?
でも貴族になるのはなんとなくやだな。
いや、でも別に良くね(掌クルクル)。
貴族ってお金貰えそうじゃん、それにセリアとも会える機会増えそうだし…
「だめ!ほんとにわかってない!そんなことしたら潰れる!」
「お、おう。なら…」
何か突然アリス様がキレました。
わー私のために怒ってくれたうれしー…とは流石にならないし。そこまで私の頭は腐り落ちてない。
だってこの流れはどう足掻いても今後王家と関わることになるじゃん。
そして、恐らく国王様であろう人とアリス様が私の扱いについて話し合ってる。それにアリス様が学校とかさっきまでの様子と打って変わって、怒って語尾が「!」になってる。
そんなに怒ること王様言ったかなぁ?(困惑)
…暫くこの会話続きそう。
…そういえばこの国の教育ってどれくらいまで進んでるんだろ?学校で授業を1日だけ受けてみたけど数学は割りと数ⅠA─つまり元の世界での高1位の難易度だった。
…ってことはもしあの学校が高校扱いだったとしたら割と進んでる説。それに私は中学卒業して高校入るまでの春休みに(こっちの世界に)飛ばされたせいで実質自宅から遠い高校に来たような感じがしないでも…いや、しないわ。
魔術とか冒険者とかエネステラとかある地域が元の世界にあったら大惨事になってるよ。
なんなら世界大戦だよ。あ!大惨事(第三次)世界大戦~なんちゃってね。
はぁ、なんか急に悲しくなった。
閑話休題、話を戻そう。
あの学校がどれくらいのポジションにあるかによって色々変わる…と、云うわけで!
異世界脳内会議第二回『王立高等学院がこの世界でどれくらいの位置の教育機関なのか』を予測する会を開催!(参加者一人は正義)
まずは前回と同じ様に情報を整理しよう。
手掛かり①アリス様が通ってる
これが重要なのは他の誰でもないアリス様が通ってるって所。
まずアリス様は王族です。
当たり前の様に我ら一般庶民にも優しく話し掛けられていますが崇高なるアリス様は王族の系譜です…なんとなく崇める風に言うと宗教の信仰対象みたい。だって今の文章をちょっと変えるとこれだよこれ。
まずアリス様は神族です。当たり前の様に我ら一般庶民にも優しく話し掛けられていますがアリス様は神族の系譜です…
どう見ても狂信者の発言じゃん。…じゃなくて、話を戻して、なんで「アリス様」っていう部分が重要なのかっていうと口説い様だけど王族だから。
だって王族が適当な学校に放り込まれるわけないでしょ。
それにあの学校の正式名称は『王立』高等学院だしね。どう見ても格式高い学校でしょ。
でもこれだけだとまだ確定しない。だって日本で言っても皇族が通っていらっしゃる某大学は確かに優秀な大学ではあるけど日本で一番かって言われるとそうじゃないし…
世界でも皇族か王族が通ってるからと言ってもその大学がその国のトップ大学じゃないケースは良くある。
で、ここでだ。
アリス様は第二王女ってことと尋常じゃない位優秀っていう情報を使おう。
まず第二王女である以上王位継承する可能性はかなり低いと思う。今日学校で貰った現代社会の教科書を見た感じ王太子や王女が暗殺or死んだって話は書いてなかったし一応ぐう無能…みたいなわけでもなさそう。
…ってことは順当に行けば第一王子…確かテクシス王子だったはず…が継ぐことになるはず…それか何かしらの不慮の事故が起きたとしても第二王子か第一王女が継ぐでしょ。
…ってことはやっぱりアリス様(第二王女)が継ぐことは基本ない。
ならアリス様にはある程度(将来の)自由が保証されてるはず…ってことはあの優秀な頭脳を鑑みると格が付くような学校に行くよりも実践的だったり有用な学校に行かせるはず…
…要は、長くなったけどアリス様の王位継承権が低いから学校も実用性重視でしょ、ってこと。
手掛かり②セリアが通ってる
どっちかっていうとさっきの手掛かり①の後半部分の補強になるけどセリアは伯爵家の令嬢だし一般(異世界)市民の私にも良い感じに応対してくれたし家もあんな感じなら実用性重視の学校に通わせそう…
そして①②を総合して得られる結果は…
王立高等学院はかなり優秀、恐らくこの国で一番優秀な高校である。と考えられる。やったね、私。優秀な友達が増えるよ。
…いいのかそれは?
まあそれは追々考えるして…
さて、話を戻そう。
…って元々何の話をしてたんだっけ…?
あ、そうだそうだこの国の教育や学問についてだった。
でもあの学校が幾ら優秀だと言っても一介の教育機関である以上最先端の学問に関する研究所ってわけではないはず…しょうがない。
第二回異世界脳内会議EX─追加命題『この世界の学問の発展はどれくらいなのか』の追加開催!
とりあえず…今持ってる情報を整理しよう。
手掛かり①学校で今日習ったこと又は学校の存在そのもの
手掛かり②ロンラさんの宗教に関する話
手掛かり③爵位制度、身分制度などの社会の動き
よし、じゃあいつもみたいに始めようか。
執刀開始!…だと違うし…論理構成開始!
いつもの─とは言ってもこっちに来てから2回しか開いてないけど─会議と違って情報源がほぼないし考える内容が抽象的すぎる…だから元の世界の学問の発展を参考にして考えよう…まあ、魔法とかあるけどきっと大枠は変わってないよね…
まず元の世界では…そうね、わかりやすいイスラーム世界の学問の発展の歴史で考えよう。
イスラーム学問の宗教を元にして発展してきたってところはこの世界と似てそうだしね。
本当は日本で考えられれば良かったんだけど、日本は外国の文化を色々取り入れてるから経緯がわかりずらいんだよなぁ…
確かイスラム世界の最初はかの有名な聖書、「コーラン」を解釈しようとして、神学や法学が栄えたんだっけ…私のほぼ0の知識を引っ張りだしていくと…そうだ、その後は「コーラン」だけじゃあ時代の変遷に対応しきれなくなったから…イスラム教の人は聖書だけじゃなく、イスラム教の開祖、ムハンマドのやったことや言ってたことを研究しようとして、歴史学が発達した。
その後1000年頃から神の考えたことを少しでも理解しようと自然法則とかを理解しようと哲学、天文学、数学が発展してきた。
って中学の日本史の先生が雑談として話してたはず…
そう考えるとロンラさんが「4000年前の神子が~」とか言ってたから「宗教」っていう考えは元の世界と同等、またはそれ以上昔からあった。
そしてその神子の残した書物とやらがあっちの聖書ポジションだとして…ロンラさんの話を聞く限りかなり体系的にまとまってるぽいから少なくとも神学や法学は大分考えるられてるはず…じゃあ次のステップで、歴史学だけど…あ、これもロンラさんが「神子の残した書物の解釈を巡って当時は宗教争いが…」みたいなことを言ってたから多分発展してる。
じゃあ最後にして一番重要なステップ、哲学、天文学、数学については…確かその神子の残したやつが見つかって宗教争いが起きたのが1000年位前~みたいな話をしてた。
元の世界の今から1000年引くと1020年位だから…あれ?意外と数学とかが発展し始めた時期と同じ?
確かその時期にはイスラームの側も代数学とか発展してなかったっけ?
じゃあ元の世界と同じくらい学問は発達してる?…落ち着いて考えよう。
そうだ、この世界には「魔術」とか技能っていう概念がある。
ってことは元の世界より考えなきゃいけない法則とか例外が多いはず…ってことは学問の進歩は少し遅めに考えて…うん、元の世界より少し(100年~200年位)遅れてるってとこかな?
ならこの世界の教育事情は大体1800~1900年でいいのかな?
まあ最悪100年200年ずれてても魔術とかがあるからまあまあ良い感じにはなってるでしょ。
今、こうやって態々考えたけどここで暮らせば嫌でもわかることか。
…まあそんなに長く滞在する予定もないんだけど。
さっさと帰ってソシャゲの続きと気になってる漫画の続きも読みたいし。
作者と本編のQ&Aと裏事情のコーナー
Q1:ハナの言うことどれぐらい真面目に聞いた方がいい?
A1:ほぼガン無視でいいです。基本的に妄言なんで。
花奈さんの慌てふためく様が伝わってれば幸いなのですが…
伝わってなければ100%作者の努力不足と表現力不足です。
Q2:イスラーム歴史の部分間違ってるんだが?
A2:作者は専門家じゃないですし、花奈さんに至っては一介の学生です。
そりゃ間違えますよ。
なので今後も花奈さんの推測や考えの内で出てくる知識や事実は間違っている可能性があります。
花奈さんの言葉を鵜呑みにしないようにご注意下さい。
あ、勿論作者の意見も鵜呑みにしないで下さいよ?
作者は花奈さん以上に何処にでも転がってる凡人なんで。
Q3:小説としてそれでいいの?
A3:登場人物の考えが、知識が、推論が全て完璧ならそれは唯の事実の列挙ですし、それはそもそも人ではなく機械です。
作者は『完璧な人間』は居ないと思っているのでその考えが原因ですね。
あ、この考え方も勿論のこと、人それぞれなので、別に作者は『完璧な人間が存在する』派の人を否定するつもりは毛頭ございません。
そもそも『完璧』の定義も人によりますしね。
裏事情14
作者の小説は合わない人は合わないと思うので、そういう読者様方は他の神作品を読みにいくと幸せになれます。
…なんか真面目で窮屈な感じになってしまったので最後に。
…と思ったのですが思いつかないんで、代わりに物置小屋置いて来ます。




