そして…
あぁなんだろうすごく心地がいい。
そう思ったのもつかの間。体に凄まじくちりぢりに砕かれるような痛みが走った。
なんで?最後まで俺はなんでこんな痛みを味わわなくちゃいけないんだ!?
俺の残りわずかな意識が途絶えた。
「……と?…い……海斗!海斗!!」
俺は重いまぶたをゆっくりと開けた。ぼやけていた景色が少しずつと鮮明になってきた。
「…母さん…?」
母さんは口に手を当てて大粒の涙を流し始めた。
「先生!海斗が、海斗が目を冷ましました!!」
俺生きてたんだ。生きられるんだ!やっべえ…ちょー嬉しい。しかし俺のまぶたは閉じられた。
─…それから一年半年後…
「海斗いよいよ退院ね」
母さんはキャピキャピしながら俺にそう言った。
「あぁ…そうだね」
俺は入院しているときあの日の事を考えることが多かった。
あの日の事は夢じゃなかったのかと、それとも…彼女はこの世に実在しないんじゃないかと…。
あの不安定な世界は俺が創り出したものなんじゃないかと…。
そしたら悲しい…俺は彼女の事を好きになった。
…いや、愛してしまった。
見ず知らずの人なのに俺の事を必要としてくれた。それがとても嬉しくて、彼女の事を守りたいと思った。…しかしそれが偽りなら…俺の想いは手にすくった砂のようにこぼれ落ちてしまう。…!もしも彼女が実在しているのならばまた夏にあそこに現れるかもしれない。俺はその希望を胸に病院を後にすることになった。
半年後…。
「海斗一緒に夏祭り行こうぜ〜」
「いや。一人で行くよ」
えー。と非難の声を浴びつつも俺は焼きそばを買いに走った。どんっ。
「あっすみません」
人にぶつかって謝るのが少々面倒だか、楽しかった。
「おっちゃん焼きそば1つね」
「あいよ」
そういい手渡された焼きそばは熱かった。次はタコ焼き。まるであの日を繋ぎ止める形であの日にするはずだったことをしたいと思っていた。
「おっちゃんタコ焼き一つ」
「ちょいと待ってな。…おっと。まいどありー」
…もしかしたらいるかもしれない。俺は神社に向かって歩き出した。…やっぱりいないか…。と思ったのもつかの間。髪…伸びたな。
「綾香さーん。タコ焼きかって来ましたよー」
End
えーと。無事に完結しました(*^-')b 僕の小説をここまで読んでくれてありがとうございます。 よろしければコメくれると嬉しいです。 2009.06.22




