2.度重なる不安
にぎわう出店の近くに来たのになぜか隠れてる俺達…。
「あの…綾香さん…?」
「ん?なに?」
「なんで隠れてるんすか?」
「…会いたくないから」
「誰に?」
「近所の人」
…?なんで近所の人に会いたくないんだろう?そう疑問に思いつつも、なんだか聞きにくくためらってしまう。
「もう少しあっちに行ってみましょ」
「あぁ」
俺達はこっそりとちがう方へ行った。
「ここなら平気みたい」
「俺、焼きそば食べたい」
「私タコ焼き〜」
「えっ何!?俺がおごる雰囲気!!?」
「うん。もちろんここは男がおごるもんじゃん」
なんと都合のいい…。
「わかった。んじゃ買ってくっから待ってて!」
「あいよ〜。はやくしてね」
なんかパシリみたいじゃね?まあいいや。
あと少しで焼きそば屋。あっ俺の近所のおじさんだ!
「おじさん!焼きそば1つちょうだい」
きちんと大きな声で言ったのに聞こえていないようす。
「おじさん!焼きそば、1つ!!」
さっきよりも大きな声なのに無視。俺の後ろの人が、
「おっちゃん焼きそば」
「あいよ」
俺より声小さいのに…。俺は焼きそばをあきらめタコ焼きを買うことにしたが…結果はさっきとおなじく…。俺なんか悪い事したか?頭をポリポリかきながら、綾香さんにあやまる準備をした。
「あっ!」
前に同じクラスのダチがいた。
「おい!岩山」
さわがしいからか?俺の声が届いていない様子。さっきより近くに行って、
「おい!岩山!!」
聞こえていないのはおかしい。さすがにそう思いはじめた。
「岩山!!」
そう言い岩山の肩を掴んだはずが、すり抜けて前のめりに倒れ込んでしまった。
「…!」
なんだ?どうなってんだ…?俺は立ち上がり真っ直ぐに走り出した。ぶつかるはずの体がとおり抜けてしまう。なんでこんな事になってんだ…?
「うわぁぁぁぁ〜!!」
俺は泣き叫んだ。涙はあふれ、鼻水も少し出てるがきにしない。どうせ誰も俺に気付くことなんてないのだから。みっともない姿だろう。きっとこの世界で誰も俺の姿をみることはないのだから…。しかし、1人の顔が浮かんだ。たちばな…あやかさん…。
「…!」
そうだ綾香さんは、みをなが見えないのに俺を見ることができた。もしかしたら…。俺は綾香さんのもとへ急いだ。─…
「綾香さん!」
「あれ?海斗君?どうしたの?ってタコ焼きは!?」
よかった。やっぱり綾香さんは俺を見ることができるんだ…!
俺は綾香さんに今あったことを喋った。…すると綾香さんは、悲しそうで、さびしそうな顔をした。
「…やっぱり海斗君は幽霊だったんだ…」
「…!やっぱりって?なんすか!?」
「海斗君と始めて会ったその時、一瞬陽に照らされて透き通ったの。気のせいかな?って思ってたんだけど…やっぱり…」
何?俺は綾香さんと会ったときからそうで…いつだ?いつから俺はそうだったんだ!?
「海斗君は多分死んでるよ…」
…死んでる。…死んでる。その瞬間俺は思い出してしまった。




