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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

木と男

作者: 朝霧千景



━僕は人を殺めました。


ガチャガチャ……

食器を洗う音がする。

さっきまで僕が大好物なデミグラスハンバーグが入っていたお皿を母親が洗っているのだ。


ガチャガチャ…

睡魔が襲う

手に持っている3DSを閉じて、同じく目も閉じた。



ザザッ…

なんだ…?テレビが何故かついていた

壁にかけてある時計を見る。

20時か……母親は台所から姿を消していた。

「ニュースです」

いつもニュースなんて付けてても頭に入らずに流していたのだが、このニュースは何故か釘付けになっていた。

特に当たり障りのないただのニュース。

交通事故。殺人事件。強盗。あるいは、どこかの動物園のパンダが生まれたお話。

あぁ……。他人事だと思っていた。

そこに母親の名前か移り込むだなんて思ってもいなかった。

だが不思議と悲しくはなかった。

交通事故で、母親は死んだ。

15歳の夏休み



22歳を迎えた。

一人暮らしをして、まともに働いてるごく普通のサラリーマンだ。

今までは親戚の家に迎えられ、ごく普通の生活をしていた。特別愛されたわけでもないが、愛されなかった訳でもない。

恋人もできたことがあるし、友人にも困ったことは無かった。

ただ少し、家族としては受け入れられず居心地が悪かったのだ。

母親の交通事故の後、警察の話や、マスコミなど忙しい時期が長かった。

そう、母親の事故は少し騒ぎになるものだった。皿洗いを終えて買い物に行ったらしい母親に居眠り運転をしていたトラックに轢かれたらしく、5キロ引っ張られたと言う。

そして、ひき逃げだ。

痛かったのだろうな、体はぐちゃぐちゃで、顔での判別は出来なかった。

皮がずり向け、至る所から赤黒い血がでていた。服なんてボロボロで服で隠れる所も肌がでていた。まぁ、皮膚はなかったのだが。

女手ひとつで10年育ててきた母親には感謝はしていたが、僕には当時あるものがなかった。

”感情”だ。

父親からの虐待が酷かった幼少期。

まだタバコの跡や切り傷は残っているが、もう昔の話だ。今も昔も感情は生まれない。

そんな俺に母親は毎日ご飯を作ってくれていた。暖かい風呂にも入れた。

誰にも気づかれていない。俺は冷たい。

感情がないから。優しくしている面は作っているだけ。特に何も感じない。何も何も。

だが、頭はおかしくなりそうで、訳が分からない。

恋愛感情?喜怒哀楽?

なんだそれ。恋は盲目?弄ぶくらいが丁度いい。追いかけるのはめんどくさい。

追いかけされて、焦らして、捨てて……

ほんと、嫌になる。

死ねばいいのに。

手首にカッターの刃を当てて、ゆっくり切ってみる。血が流れた。

もう何本目の傷になるのだろうか。


生きてる意味。価値なんて考えても仕方が無いんだ。鬱鬱鬱鬱。人が生きている定義なんて、子孫をうみ、社会を回すこと。ただそれだけ。

楽な人間なんていない。

今まで苦労してきた人間ばかりだ。

報われたい?愛されたい?

巫山戯るのも大概にしろ。

理不尽に歪みまくった社会にそんな言葉は鬱になってしまうだけだ。

我慢だよ。我慢。

まぁ、そんなお前らを愛してやるよ。抱いてやるさ。

愛だなんて簡単に生まれるものでは無い。

報われたいだなんて、恩返しを期待して裏切られて、何泣いてんだ?期待したお前らが馬鹿なんだよ。頭悪い。


大概にしろ。ゴミクズ共が。


そして俺は今日も仕事をする。

あぁ、副職に近いんだろうか。

ゴミクズ人間を森の木々の養分にするのが俺の仕事。レインコートを羽織って、小さなナイフを持った。



─依頼された人間を殺す。


─殺す。殺した。逃げた。殺した。


快感。快楽。


「これが社会のため。」



百均でかったレインコートはみるみる赤く染った。みるみる鉄の匂いに包まれた。


苦しそうに歪む人間の顔を冷たい目で見下ろす。車に詰め込んで、いつもの森に運ぶ。

大きな木がある。

何で出来た木って。人の死体だ。


最初はただの木だった。

そこに人を刺した。串刺し。

そうしたことを繰り返したら、死体でできた木になってしまった。

死臭がする。

また追加した。

明日はどんな奴がくるのかな。


「ヒヒッ」


腐りつつある死体の前で、男が笑う。


この男は、30歳で捕まり、その後死刑になったという。


ありがとうございました。

お久しぶりです。最近投稿できてなくてすみませんでした…

アドバイス、誤字があれば申し付けください。

では、また

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