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それはまるで、物語のように  作者: 大和麻也
現実をバカにしよう
5/20

愛情(希望小売価格:2,980円)

 朝目を覚ましたら、世界は劇的に変わっていた。それはまるで、物語のように。


 二度寝してしまいたい気持ちを我慢して、布団から出る。重たい瞼をこすり、むくんだ足を引きずって、わずかな頭痛を引っ提げながら、やっとのことでリビング辿りつく。コーヒーを淹れたいな、と思いつつも億劫で、ついついXXXを起動してしまう。これをしてしまうと、少なくとも三〇分はその場を離れられなくなるのが毎朝のオチだった。


『バレンタイン商戦に異変です。今年、巷で「冷遇チョコ」が話題となっています。「冷遇チョコ」とはその名の通り、バレンタインに贈るチョコレートをあえて義理チョコ並み、あるいはそれ以下の粗末な品にすることです。この流行を受け、ソフトクッキーやエナジーバーなど三〇〇円ほどの商品が食料品店やコンビニの陳列棚から次々と消えています。

 目的は様々な模様で、交際相手に虐げられるマゾヒズム的な欲求、また反対に交際相手を虐げたいサディスティックな欲求による場合もあれば、倦怠期に一石投じる狙いもあるとのこと。

 これに悲鳴を上げているのが大手菓子メーカー。業界第二位の――社の販売課長――さんに話を聞きました。 

「安い商品ばかり売れしまうので、収益としましては、正直なところ苦しいというのが本音です。ただ、できることならエビで鯛を釣るようなことはせず、心の籠ったものを贈るというのがバレンタインの本旨ではないでしょうか。当社では今年もバレンタインをロマンティックに演出する魅力的な商品をご用意しておりますので、ぜひお求めいただければと思います。流行の冷遇チョコのやりとりを楽しんだあと、本命として再度心の籠った良質の商品を渡すことをお勧めします」』

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