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それはまるで、物語のように  作者: 大和麻也
現実をバカにしよう
3/20

一見さんお断り

 朝目を覚ましたら、世界は劇的に変わっていた。それはまるで、物語のように。


 二度寝してしまいたい気持ちを我慢して、布団から出る。重たい瞼をこすり、むくんだ足を引きずって、わずかな頭痛を引っ提げながら、やっとのことでリビング辿りつく。コーヒーを淹れたいな、と思いつつも億劫で、ついついXXXを起動してしまう。これをしてしまうと、少なくとも三〇分はその場を離れられなくなるのが毎朝のオチだった。


『先週、――さんが集団暴行に遭い、死亡するという悲しい事件がありました。犯行を主導した人物は、被害者が月面の出身であったことを動機として証言、事件がヘイトクライムであったことが明らかになっています。月面への入植開始から七〇年の節目を迎える今年、深刻化する差別解消への取り組みを取材しました。

 昨年、地球へ移住した月面出身者を支援するボランティア団体を立ち上げた、――さん。彼自身も月面の出身で、様々な差別に苦しんできました。

「移住して最初の職場でいじめに遭いました。攻撃されるのは、見た目や言葉、文化的な振る舞いといったことですね。顔や肌の違いはもうどうしようもないことですし、言葉だって月面語の癖が抜けきるには時間がかかります。振る舞いについては――いまも忘れません、カレーに青のりをかけて食べようとしただけで、気持ち悪いからやめろと皿をひっくり返されたんですよ。そのせいで火傷もして、会社に行くのが恐ろしくなりました。差別を受けているのだと痛感させられましたね。月では普通のことなのに」

 ――さんは自身の経験を活かし、相談にやってくる月面出身者の心のケアや新生活へのサポートを行っています』

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