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それはまるで、物語のように  作者: 大和麻也
現実をバカにしよう
17/20

こんな未来はイヤだ!

 朝目を覚ましたら、世界は劇的に変わっていた。それはまるで、物語のように。


 二度寝してしまいたい気持ちを我慢して、布団から出る。重たい瞼をこすり、むくんだ足を引きずって、わずかな頭痛を引っ提げながら、やっとのことでリビング辿りつく。コーヒーを淹れたいな、と思いつつも億劫で、ついついXXXを起動してしまう。これをしてしまうと、少なくとも三〇分はその場を離れられなくなるのが毎朝のオチだった。


『今年も企業の新卒採用が解禁になり、就職活動に励むカラフルな着物姿の学生を多く見かける季節になりました。企業の採用選考といえば「大喜利」が定番ですが、近年ではこの形式を保ちつつも、これまでにない視点から資質を見極めようという取り組みが注目されています。

 ――社の採用担当の――さんは、会社が求める「物事を批判的に分析することで本質を捉え、課題を主体的に見つけられる資質」を持った人材を、どのように大喜利から見極めるかについて長く考えてきました。たとえばおどけた回答をすればサービス精神旺盛とわかったり、相手を唸らせるような手堅い回答をすれば真面目とわかったりする大喜利は、学生の個性を見るために最適です。他方、出題された問いに答えるだけの大喜利は、分析能力や主体性を見るには必ずしも向いていないと感じていました。

 そこで――さんは、評価の基準として「風刺性」が重要と考え至ります。

「自分の身の回りの世界を、ちょっと斜めに見てみる視点というか、バカにしてみる図太さは、誰にでも備わっているものではありません。皮肉が言える能力とは、批判的に物事を分析し、課題を明らかにしようとする主体性からきていると思います」

 この考え方はすぐに人事部で認められ、大喜利の回答の風刺性に注目する方針が会社として固められました。それ以降会社の収益は右肩上がりで、この採用基準はその一因になっているはずだと――さんは胸を張ります。風刺性が採用選考のトレンドとなる日も近いでしょう』

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