相合い傘
掲載日:2026/10/14
雨が降っていたので傘を差すのを止めた。降りつける豪雨に呆然としていた。罵詈雑言のような雫にただ、見惚れていた。
日が差していたので日傘を差した。照りつける日差しに呆然としていた。生きることを祝福する讃美歌にただ、苛立っていた。
私は今死神と相合い傘をしている。なにか期待をしている。馬の背を分ける境界線の上で、神からの令を待ち望んでいる。その鎌が振り下ろされるのを今か今かと。
私は今死にたがりと相合い傘をしている。なにもする気が起きない。馬の背を分ける境界線の上で、死にたがりには必要のない傘を差し続ける。この鎌が必要になるその時を今か今かと待ち望みながら。




