第2話
此処は美術室。絵の具のにおいが結構きつい。それもその筈だ。
今、部活動の一環で絵の具で絵を描いている。いわゆる油絵だ。
中学1年でこれを使う事はなかなか無いらしいがこの学校では恒例らしい。
「わぁ、美咲ちゃん絵うまいね。」
と、隣に座って同じく油絵を描いている神藤がいう。
「ムッ。貴様に言われると腹が立つ。それと、美咲ちゃんって呼ぶな。」
「じゃぁ、ミサちゃんで」
ニコッと笑って言う。ミサちゃんって、・・・鳥肌が立つ。
これは、天然なのか?いや、ただの嫌味か・・・
「悪化しておる・・・・。」
そう、私は小さく呟いた。
こう云うのは諦めが肝心だ。
そう思ったのに気付いたのか、神藤が嬉しそうに言う。
「いやぁ~、ホントうまいよっ!ミサちゃんの絵」
わざとらしく、『ミサちゃん』という所を強調しているし。
「でも、寂しい絵だね。知ってる?写真は撮った人の心を写すって言うじゃん?
絵も描いた人の心を写すんだよ。あんまり一般的には言わないけどさ。」
暗い重い表情で、淋しそうに。
神藤のこんな表情初めて見た。
いや、それ以前になぜそんな事をいう??コイツに私の何が分かる?
「あっ、でもミサちゃんのそういう所嫌いじゃないよ」
と言ってすぐに再び笑顔に戻る。
「それに、最近のミサちゃんは、だいぶ怒る事が増えたでしょう?
心をちゃんと持ってるよ。心が無かったら腹が立つ事もないんだろうし。ね?」
顔は笑っている。だが・・・・今のこいつの笑みには恐怖を感じる。
ここ数日近くに居ただけでこんなにも私を理解するもんなのか?
――――貴様に何が解る??
―――――――私の何が・・・?
※誤字・脱字・アドバイス等があればお願いします。