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魔女の子、異端審問官になる。  作者: 朔月理音(サツキコトネ)
第2章:異端審問官の学び舎
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48:審問実習の総括

 リリーの不死の力を話したところで、四人は縛られて気を失っているエディスの方に目をやった。


「この、人が、、事件を起こしてた、、魔女・・・。」


 エディスを初めて見たアイリスは、彼女の不気味な風貌に目を奪われる。


「けっこ~強かったけど、ボク達の敵じゃなかったよね!ディアナ?」


「え?ん、んん・・・。」


 俯いて黙り込むディアナの気をほぐすついでに、マリアはリリーの頭をコツンと叩いた。


「いたっ!なにすんのせんせい?」


「アホ抜かせ!お主に死なぬ力がなかったらディアナもろとも死んでおったぞ?」


「あ~はは・・・。反省してます・・・。」


「ディアナも。何を企んでおったか知らぬが、二度とかような危険な先走りはせぬように!」


「ごめんなさい。本当に・・・。」


 いつもの棘のある言動を見せず、本気で謝るディアナにマリアは「およよ・・・。」と面食らった。


「で、せんせい。この魔女、エディスっていうんだけどどれくらい危険だったの?」


「そうじゃな~・・・。魔法による大規模な獣害事件、しかし一人も死者が出なかったのを考慮すると・・・危険度三位が妥当じゃろうな。」


「こっ、これで!?!?」


 思わずディアナは声を出す。


 これでも危険度三位。


 言うなれば()()()()()()だったからだ。


「もっ、もっと、、強い魔女が、いるんですか・・・?」


 怖がって聞くアイリスの肩に、マリアは優しく手を置いて安心させる。


「大丈夫じゃ。確かにこれより強い魔女はいるがそう易々と出くわすものではない。その方は先生方や先輩方に任せればよい。」


「そっ、そう、ですか。よかった。」


「せんせい。この魔女ママのこと、なんか知ってるかな?」


「う~む・・・。あまり期待せんほうがよいぞ。」


 薄々分かっていたことだが、マリアに改めて言われるとやはり落ち込む。


 そんなリリーを、ディアナが何やら心配そうに見つめる。


「よし!ではこれより、評価をしよう。」


 重苦しい空気を払拭しようと、マリアが『ぱん!』と柏手を打つ。


「まずリリーとディアナじゃが・・・。」


 マリアにギロリと見られ、リリーとディアナはビシッと姿勢を整える。


「魔女戦において未熟な者が独断で動くことなど言語道断!次もこのような愚かなマネをしでかせばタダじゃおかぬからな!」


「はっ、はい~!!すいませんでしたぁ~・・・。」


「・・・・・・・。」


「でも・・・。」


 急に表情が穏やかになって、マリアは二人と同じ目線にしゃがんだ。


「ひよっこの初階異端審問官がデビュー戦で三位魔女と渡り合えた功績もあるゆえ、今回は其方らに加点する。幸運に感謝するのじゃぞ。」


「あっ、ありがとうせんせい!!」


「あっ、ありがとう・・・。」


 ニコッと笑った後、マリアはアイリスの採点に移る。


「アイリスはわしと一緒の間、毒に倒れた里の住民を介抱を懸命に行なっておったな。見習い異端審問官の手本として上の者のサポートをしっかりしておったから、三人の中で一番多く点をあげよう。」


「ふぇ・・・!?あっ、ありがとう、、ございます・・・。」


 本当はリリーとディアナと一緒に戦いたかったアイリスは、二人を差し置いて一番多くの点をもらったことを申し訳なく思ってしまっていた。


「ではこれで、審問実習学の授業を終了する。回復した里の住民とこの魔女のことはわしに任せ、お主らは先に帰るがよい。」


 そう言ってマリアは、サンダースワロウを呼び出すマウスピースを三人に渡した。


「やっぱり、、これ、で、、帰るん、だね・・・。」


「今度こそ吐かないようにしなくちゃ・・・。」


 笛をまざまざと見つめるアイリスとディアナの脇で、リリーはエディスの支配から解放されて眠るロッキードッグを優しく撫でる。


「もう大丈夫。森で元気に過ごしなね。」


 その姿はまさに、天使みたいだった。


「りっ、リリー。いっ、行こ?」


「うん!じゃあせんせい!!メメたちによろしく!」


「おう。伝えておくでな。」


 三人は笛を吹いてサンダースワロウを呼び出し、学院へと帰っていった。





 ◇◇◇





「ふぅ~!!や~っぱ早いね~♪」


 学院に帰還すると夕方の5時を過ぎており、すっかり寮に戻る時間になっていた。


「りっ、リリー。帰ろ?もう、、遅いし。」


「そだね!今日の夕飯なんだろ~な~?」


「ちょっ、ちょっと・・・。」


 吐き気を堪えながら、ディアナが二人に話しかける。


「おっ!ディアナ帰る時は吐かなかったじゃん~?」


「あっ、あの・・・。」


 単に吐き気によるものか、それとも恥ずかしさによるものなのか、ディアナは言いにくそうに二人に相談した。


「こっ、今夜はわたくしも・・・いっ、一緒で、よろしいかしら?」


 ・・・・・・・。


 ・・・・・・・。


「うん!いいよ!おいでおいで!!」


 満面の笑みで快諾したリリーが、緊張するディアナの手を引っ張った。

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