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魔女の子、異端審問官になる。  作者: 朔月理音(サツキコトネ)
第2章:異端審問官の学び舎
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25:寮母の品定め

 食堂の女主人に凝視されて、アイリスは硬直した。


 しかしリリーは丸い目をぱちくりさせて視線を返す。


「この人はクララ・サントス。ここの料理番で寮母さんもやってるの。」


「作るご飯美味しんだよ~。起きる時間と寝る時間にはうるさいけどね。」


「遅寝と遅起きは若者には毒なんだ。文句言う前に時間を守れってんだ!」


 クララは片膝を付いて、リリーとアイリスに更に顔を近づける。


「ライラとルシールの妹だね?」


「あっ、、アイリス、、ロナウド、でしゅ・・・。」


 クララのゴールドの瞳に見つめられ、人見知りが激しいアイリスはいつも以上に緊張する。


「性根は悪くないが、ちとモヤシだね。」


「すっ、、すみま、せん・・・。」


「まぁいい。姉ちゃん達と違って手がかからなそうだ。」


 妹を通してディスられたことにライラとルシールはツッコんだが、クララは無視してリリーに顔を向けた。


「お前さんは?」


「リリーです!初めまして!」


「元気がいいね。だけど底が見えない。」


「底が見えない?」


「何考えてるか分からないってことさね。」


「えへへ。ママにもたまに言われました。❝リリーって何考えてるか分からん。❞って。」


 頭をポリポリかいて謙遜するリリーを、クララはじ~っと見つめる。


「クララさん?」


「おっと。ウチとしたことが。いいツラぁ見てついボーっとしちまった。」


「え!?ボクってそんなにカワイイですか!?」


「そんなとこだ。」


「やだもう~♡♡♡初めてボクの良さに気付く人が来たってことなんだねぃ~♡♡♡」


 頬っぺたに手をやってくねくね照れるリリーに、クララは「フッ・・・。」微笑んだ。


「夕飯作ってやっから、ちょっと待ってろ。」


 四人はテーブルを適当に選んで、リリーとアイリス、ライラとルシールのペアで隣り合う形で座った。


「いい人そうだね。クララさん。」


「どっ、、ドキドキしたぁ・・・。」


「ああやって新入生を品定めするんだよ。あたしらの時もめっちゃ見られたなぁ~!」


「アイリス越しにディスられたことについては心外ぃ~。」


「それあたしも思った!!だけど、な~んか意外だったなぁ~。」


「なっ、、何、が?」


「おばちゃんリリーのことめっちゃ見てたじゃん?一分以上眺めるのはすごく珍しいんだよ?」


「そっ、、そうなんだ・・・。」


「やっぱボクの美貌?ってのが分かる人なんだってぇ~!」


「リリーって天然だけど自己肯定感は高めなんだね?」


「じここ〜て〜かん?」


「ポジティブだってこと~。」


「ボクって明るさ8と好奇心2くらいで出来てるからさ♪」


「逆、、だと思うよ・・・?」


「へ?何が?」


「お待ちど~さん。」


 会話を弾ませていると、ペンネボロネーゼと玉ねぎのスープ、鶏肉とニンジンのチーズグラタンが四人分運ばれてきた。


「ガッツリ作ってんじゃん!!」


「これ多めなんじゃないの~?」


「若いモンはこれっくらい腹おさめないとダメなんだ。二人とも!分かってると思うが・・・。」


()()()()()()()()()・・・でしょ?」


「いいじゃないか。」


「とりまこんな感じですんごい量作ってくるけど、味はめちゃイケてるから食べてみ?」


「い、、いただき、、ます・・・。」


 玉ねぎのスープに口を付けたアイリスは、ポッと顔を赤くしてまったりした表情を見せた。


「おっ、、おいしい・・・。」


「身体の芯からあったまるだろ?この時期はまだ少し冷えるからさ。」


 続いてリリーも、フォークでペンネを刺して口に運んだ。


「あれ?」


 フォークを握るリリーの手が固まる。


「どした?」


「口に合わなかったかい?」


「いえいえすごくおいしいです!!だけど、そうですね~・・・。なんか食べたことがある気がするんですよ~。」


「こりゃあたしのオリジナルのレシピで作ったんだ!簡単に真似できるはずがあるかい!」


 自信満々にクララが豪語すると、リリーは「あっ!!」と声を出した。


「思い出した!!これママが作ってくれたご飯に似てる!!」


「あんたの・・・母ちゃん?」


「ちょっとトマトの味が濃い~んですよ!こういう系のご飯作る時のママの癖なんです!あ~でも、こっちの方が美味しいかな?」


 納得がいってもりもり食べるリリーを、クララは感慨深そうに眺める。


「料理上手かったんだね?あんたの母ちゃん。」


「そりゃ~もちろん!!あっ、クララさんも同じくらい上手ですよ。」


 ・・・・・・・。


 ・・・・・・・。


「ありがと。良く噛んで食べな。」


 クララはリリーに一瞥を送ると、厨房の奥に戻っていった。


「やっぱりなんかいつもと違う~。」


「だよな!?あんなおばちゃん初めて見たわ!!新鮮だった~。」


「そんなに不思議なこと?ご飯美味しくて、優しくて、いい人ならいいよ~♪」


 細かいことを気にせず、夕食を満喫するリリーを見て、ライラとルシールはこれ以上気にするのを止めて、久しぶりの学び舎でのご飯を味わうことにした。

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