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魔女の子、異端審問官になる。  作者: 朔月理音(サツキコトネ)
第2章:異端審問官の学び舎
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17:天使の選択

 アダミエルに認められ、リリーは異端審問官養成学院への入学と概装天使との契約ができるようになった。


『さて。ではこれから、私が創造した天使を何体か召喚します。君はその中の一体と契約を交わすことになります。』


「それってどの天使にするか選ぶってことですか?」


『少し違いますね。私が召喚した天使と君の魂の波が合って、初めて契約が成立するのです。言うなれば・・・君が天使を選ぶのではありません。天使が君を選ぶのです。』


 今一つアダミエルの言っていることの的を、リリーは得ることができない。


『やってみれば分かるでしょう。来なさい、私の天使(子ども)達よ。』


 アダミエルの結晶から、手の平サイズの様々な色に別れた光の玉が数個出現し、リリーの周囲を回り出した。


「わわっ!?キレ~♪」


『見惚れるのはいいですが、契約を。』


「ああっ、はい~!」


 アダミエルに急かされて、リリーは召喚された天使と契約を結ぼうとする。


 しかし手順を教わらなかったのであたふたする。


「えっと、あの・・・。これをどうすれば?」


『気になる子を手で掴むのです。』


「きっ、気になる子・・・ですか?」


 リリーは自分の周りをゆっくり回転する光の玉を目で追い、自分と相性が合いそうだと感じたものを探す。


「えっ~と・・・じゃあこの赤いので・・・うわっ!?」


 掴んだ瞬間にいきなり爆ぜた赤い玉にビックリしたリリーが尻餅を付いた。


()()()()()()ようじゃな。」


『そうみたいですね。』


「ばっ、爆発したけど大丈夫なんですか!?」


『ご安心を。契約を結べなかった子は、私の座へと戻るだけですので。』


 よく分からないが、とりあえずは無事だと知りリリーはホッとした。


『では、次の子を。』


「そこの青いのなんてどうじゃ?」


 マリアとアダミエルに促され、リリーは青い玉を恐る恐る掴んだ。


 結果は・・・失敗。


 リリーに握られた青い玉は、先程の赤い玉と同様に眩しい光を放って爆発した。


「わわわっ!?!?」


「ふ~む()()()()でもダメかのぅ。」


『大抵は一、二回目で成功するはずなのですが・・・これは中々のくせ玉ですね。』


 なんだか自分がすごい変わり者扱いされている気がして、リリーはムキになった顔で回る玉を凝視する。


「クッソ~!!次こそ成功させてやる~!!」


 眉間にシワを寄せて玉を睨むリリー。


 しかし見れば見るほど、どれがいいか分からなくなってくる。


「だぁ~!!もう!どれがボクに合ってるのさぁ~・・・。」


 意気消沈して肩を落とすリリー。


 その時、薄い黄色に光る玉が列を抜け出し、リリーの頭上を周回し始めた。


「アダミエルさん、これは?」


()()()()()()ということなのでしょう。』


「え?でもダメだったら・・・。」


『握れば分かります。』


 アダミエルに背中を押され、リリーは頭の上で回転する玉をグッと握った。


 次の瞬間、力強い息吹きのような物を感じ、自分と手に握られた光と、目で見えず言葉で表せないけれど、確かな繋がりができたように感じた。


「あっ、ああっ・・・。」


 今まで味わったことのない神秘的な体験に、リリーは驚きを隠せない。


 そうする間にリリーが握った光の玉が、形を変え始めた。


 光は手になり、そこから腕となり、胴、足、頭が生まれ・・・。


『ここに契約は成立しました。よくやりましたね、リリー。』


 リリーは眼鏡をかけ、片手に本を持った、一対の翼をはためかせた同い年くらいの少年と手を繋いでいた。


『僕を選んでくれてありがとう、リリー。』


 ゆっくり降りた少年は、リリーに跪き感謝の意を伝えた。


「きっ、君がボクを選んだん、だよね?」


『まだ形も言葉もなかったけど、思ったんだ。()()()()()()()()って。君はそんな僕を選んでくれた。』


 無機質ながらも告白としか言いようのない言葉に、リリーは頬を赤らめる。


「そっ、そんな・・・照れるなぁ・・・。」


『僕はサクァヌエル。()()()()()概装天使。異端審問官リリーの武器となり友となり、魔女と戦う力になることを、ここに誓おう。』


 片膝を付き、手を握って誓いを立てるサクァヌエルに、リリーはニカっと笑ってみせた。


「うん!!一緒にママを探そう!!」


『認めてもらえて嬉しいよ。』


 サクァヌエルは再び光り出し、純白に光るダガーナイフに姿を変え、リリーの手にストンと落ちた。


「形が・・・また変わった・・・。」


「それが概装天使の形あるもう一つの姿じゃ。肌身離さず持っておくのじゃぞ。」


 よく見るとそれは、マリアが使っていた剣と同じ光を纏っていた。


「しっかし、()()()()に選ばれるとは・・・リリーらしいの。」


 リリーが自分と相性がピッタリの概装天使を引き当て、マリアは愉快に笑っていた。

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