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魔女の子、異端審問官になる。  作者: 朔月理音(サツキコトネ)
第2章:異端審問官の学び舎
16/77

16:短絡で純粋な決意

 アダミエルから魔女の王・ジャンヌの娘であると暴露されたリリー。


 契約の儀の間に一気に緊張が走る。


「ジャンヌの・・・娘・・・!?!?」


 アイリスは尻から落ち、そのまま固まる。


「うっ・・・!!こっ、この・・・!!!」


 ()()()()()


 ディアナはそう言いかけたが、直前で言葉を喉の奥に閉じ込める。


 自分と同年齢に見えるが、最凶の魔女ジャンヌの娘だ。


 そもそも本当に自分と同じ、七歳かどうかも疑わしい。


 下手に刺激すると、何が起こるか知れたものではない。


「そう恐れるな。昨夜のジャンヌ討伐の折にわしが引き取った。異端審問官になりたいと申すのでな。」


「そっ、そんな言葉信じるなんてあなたバカじゃないのッッッ!!!あのジャンヌの娘なんだよ!?聖天教会に潜入して、トップを皆殺ししようと企んでるかもしれないんだよ!?」


「断じてそれはない。わしはジャンヌとこの娘の別離をこの目で見た。奴は本気で、我が子を手放しおった。」


「そんな光景精神魔法の幻影でいくらでもでっち上げられるわよッッッ!!!お涙頂戴のシチュエーションにまんまと引っかかるなんてガブリエル家もいくところまでバカになったわねッッッ!!!」


 もはや収集が付かなくなった状況で、リリーがアダミエルの結晶に向かって歩き出した。


「あっ、あんた!!まさかそれを壊そうと!?そう・・・!!そうだったのね!!異端審問官の武器である概装天使の大元のアダミエル(それ)を壊すために、ジャンヌ(母親)に言われてここに入り込んだのねッッッ!!!」


 喚き散らすディアナを無視して、リリーは結晶を覗き込んだ。


 ・・・・・・・。


 ・・・・・・・。


「すっご~い!!これど~なってるの~!!!」


「「え?」」


『は?』


 興奮と感動の声を上げるリリーに、アイリスとディアナは勿論のこと、アダミエルさえも驚いて言葉を失った。


「なんでボクのことが分かったの!?ってか見ただけで分かったの!?どこ見て分かったの!?目!?心臓!?それとも脳みそ!?」


「ムフゥ~ムフゥ~!!」と荒い息を吐いて結晶を撫で回すリリーに、アダミエルは完全に委縮してしまった。


『めっ、目だな・・・。見ただけでその者の、要約した素性を読み取れる・・・。』


「うっわマジか~!!やっぱ天使を創ってるからそれっくらいのことはできるよね~(((uдu)))ゥンゥン。でも近くで見るとホントこれどうなってんの!?結晶(コレ)が本体なの!?それともどっか別にあんの!?これが本体だったらどこに口があんのどこにお尻があんのどこでご飯食べるのどこでおしっこするのどこでウンコするのどっから声出してんの!?うう~!!バチやばに興味がそそられる!!バチやばバチヤバ!!!」


「もうその辺にしておこうな?リリー。」


 マリアに襟首を掴まれて、リリーはアダミエルから引っぺがされた。


「すまんアダミエル。この子はどうも人一倍好奇心旺盛でな。目新しいものを見るとエサを前にした犬のように我を失うてしまう。どうか、広い心で受け止めてやってくれ。」


『はっ、はい・・・。』


 マリアが代わりに詫び、アダミエルはいつもの調子に戻った。


『ではリリー。あなたに問います。』


「どぉ~んと来いッッッ!!!』


『あっ、あなたが異端審問官を志す理由は、なんですか?』


「理由ね~?」


 顎に人差し指を置いて、リリーは考える。


()()()()()()()()()()()()()です。」


 ・・・・・・・。


 ・・・・・・・。


『はい?』


 全く予想していなかった答えに、アダミエルはまたしても固まってしまった。


『びっくり・・・ですか?』


「だぁ~って聞いてくださいよ~。ママったら自分とマリアせんせいのやり合いに巻き込まれて死にそうだったボクを治して、しかも勝手にお別れ言って行っちゃったんですよ~?それってあり得なくないですか~?だから決めたんです!異端審問官になってママを探して、❝わ!?!?❞ってびっくりさせるって!一生会えないと思ってた娘がいきなり目の前に現れるっ!これに勝てるサプライズはありませんねっ!で!見つけた後はぁ~ママと一緒に森に帰って、また二人で暮らすんです!!これがボクが、異端審問官を目指す理由ですっ!えっへん!!」


 理由を一通り聞き、アダミエルは何も言わず、暫し黙る。


 ・・・・・・・。


 ・・・・・・・。


『そのためなら、あなたは如何なることでもする覚悟はありますか?』


「なんでもやりますよ?」


 リリーが即答した後、マリアはアダミエルを横目で見た。


『極めて短絡な理由・・・。志と呼ぶにはあまりに浅はか過ぎます。ですがあなたの覚悟は、紛れもなく本物でしょう。ここまで私を驚かせ、そして躍らせたのはあなたが初めてでしょう。無垢なる心というのは、なんとも清らかで、なんとも恐ろしい・・・。』


「ってことは・・・!?」


『あなたに私の創る天使を授けましょう。その曇りなき(まなこ)で母の背中を追いなさい。』


 ・・・・・・・。


 ・・・・・・・。


「やっっったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!うぇ~い!!試験合格ぅ~!!!」


 こうしてリリーの、異端審問官養成学院への入学が、正式に受理された。

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