1534年 新太郎、梅の人質生活 毛利家の婚姻政策
大内義隆の予想通り房元は1534年に嫡男の新太郎だけでなく長女の梅も人質に差し出した。
「ここが大内家の本拠地山口の町かぁ!」
「兄上凄い町並みですね! 寺院や屋敷が多く雅な感じが凄いですよ!」
キラキラした眼差しを向ける2人に対して引率を任されたのは2人からは叔父に当たる元就の六男毛利元秋であった。
「うへ~元気だね2人とも、おじさん疲れちゃったよ〜」
「元秋叔父様は山口に前にも来たことがあるんでしょ! 名所とか教えてよ」
「いやいや、おじさん北九州攻めで立ち寄っただけだから詳しくも何とも無いよ〜」
「「えー」」
「ほらほら、大内家の家臣の方がいらっしゃったよ挨拶して〜」
「「こんにちは!」」
「ようこそおいでくださいました毛利家の皆様!」
出迎えてくれたのは大内義隆の家臣右田隆次であった。
「おぉ~隆次様お久しぶり〜」
「相変わらずのんびりしてらっしゃるなぁ元秋殿は」
北九州攻めでは少弐攻めにともに駆り出されて幾度も会話をしていた。
ちなみに大内義隆のセフレの1人でもある。
「お殿様とラブラブなの〜」
「あぁ元秋殿も誘われたのだから行けば良かったのに」
「衆道の趣味はおじさん無いからなぁ〜夜は女の子と一緒に寝たいなぁ〜」
「男同士も良いのだがな……おっと失礼! 元秋殿が連れてきたということは新太郎殿と……梅姫? え? どっちがどっちですか」
「泣き黒子がある方が新太郎だよ〜見た目そっくりだよね」
新太郎と梅は見た目がそっくりであり親族でも間違えることがあった。
「新太郎です!」
「梅です!」
「これはこれは……美少年と美少女で……」
「まぁ成長すれば変わってくるでしょうが……2人なりのいたずらなので多目に見てくだされ」
「いや~元秋殿これは色々不味いかもしれませんよ義隆様が知ったら……」
「私が何だって?」
すると後ろには大内義隆が歩いていた。
「よ、義隆様」
「お久しぶりです義隆様」
「おお、相変わらず凛々しいな元秋。今夜寝室にどうだ?」
「房元兄様が嫉妬しますので遠慮しておきます」
「はっはっはっ、(冷泉)隆豊(前に五郎と言われていた人)振られてしまった!」
「では俺と一夜を過ごしますか?」
「いや、おじさん衆道の趣味は無いのですよ〜怒りますよ〜」
「そう言う姿も愛らしいなぁ……おお、房元の手紙に書かれていたが本当にそっくりだな新太郎と梅か! 人質と言う体裁であるが安心しろ。私が父代わりになり最高の教育を施すからな」
「「ありがとうございます!」」
「動作も瓜二つ……まだ幼すぎるが、美青年に育って欲しいな。梅は男だったら私の触手が動いたかもしれぬが」
元秋が少しツッコミを入れる。
「義隆様は少しは女性を抱いてくださいよ。嫡子が居ないと困りますよ」
「はっはっはっ! 手厳しいな元秋、女を抱く時は男に挟んで入り乱れるくらいが丁度よい。男の味変位で抱く程度で良いのだ」
「それだと誰の子か分からないでしょうに……」
「なに、大内は男子の取り扱いが難しいのだ。というか元秋、新太郎は私の甥でもあるから十分大内家の継承権があるんだからな」
「大内家の家督相続に毛利家を巻き込まないでほしいなぁ〜そんな事をすれば大内の譜代の人達との関係が凄いことになってしまいますよ」
「そりゃそうだな! なに新太郎を奪うような事はしないから安心しろ。どれ新太郎に梅、私とこれから公家の家に行くが一緒に行くか?」
「「はーい!」」
「元秋も一緒に来い」
「はいはい」
こうして元秋は2人を送り届け、掘られる前に山口を脱出し、元就に
「なる早でお嫁さんちょうだい!」
とせびるのだった。
元秋の願いを聞いて息子達の嫁探しを始めた元就はつい先日元服したばっかりの左足が雷を受けて障害を患っていた信龍に嫁が出来るか不安であった。
とりあえず兄である五男の毛利元重は権威が低下した河野家に送り込んで河野家を乗っ取らせた。
なので以後は河野元重と名乗ることになる。
元秋は一応毛利家に何か起こった時の為に分家として毛利に残るように言われ、広島の基町周辺の土地約200貫が与えられて広島館が建てられた。
お嫁さんは旧武田家家臣の香川家から貰い、1つ年上の器量の良い娘であった。
そして七男の毛利就虎は家臣不足で困っていた兄毛利盛就を補佐するために土佐で毛利家の分家を立ち上げる。
「お主は良いのか信龍」
「良いんですよ。僕は政務で頑張りますから……それよりも父上、先生(角隈石宗)からも頼まれてますがもっと書物をプリーズプリーズ!」
「変な言葉ばっかり覚えよってからに……」
「僕は戦場を兄上達のように駆ける事ができないので頭で戦う事にしただけです。政務もれっきとした戦い……房元兄上を支えないと」
「本当よくできた息子たちじゃて……もっと野心を芽生えても良いのじゃぞ」
「兄弟不和で滅んだ大名なんてゴロゴロしているのですから父上が煽らないでください。あと一郎は僕の弟子にしますのでそのつもりで」
「一郎をか? まぁ良いが」
「頭は良いんですが自信が無いのが欠点でね……ちゃんと政務は出来る頭があるのだから活かさないと……将来の五奉行候補、そして分家として叩き込みます。父上も教育に協力してください」
「まぁ良かろう。外交も当分動くこともなさそうじゃからな」
元就は信龍の要請に応え、学び舎の教鞭をとることが多くなる。
元就の武功は毛利家臣達からは神の如く伝えられており、そんな元就の学びを受けられるならと家臣の息子達が殺到……そんな学び舎に女の子が1人門を叩くのであった。
その少女は田原親述の娘で、田原家は大友家庶流の家柄であり、大友宗家から度々警戒される程力を持った一族であったが、毛利元就が攻めた杵築城の城主の娘であり、本来なら仇の家柄であったものの、大内義隆に降った大友重治により田原一族は保護されたものの、大内裏切る際に少女の兄が大友重治に忠言したところ斬られてしまい、残りの一族は他の大友家臣達が身を寄せていた毛利家に流れてきていたのである。
少女……鳴は男子が居なくなってしまった田原家を再興するために女の身でありながら学び舎の門を叩いたのである。
他の者達からは奇妙な目で見られたり、虐めを受けたが、虐めは逆に武力を持って逆にフルボッコにし、田原の女鬼と渾名されるようになる。
元就もその男勝りな性格と勤勉な態度から気に入り、学び舎でも奉行衆を目指すような上級コースに彼女を入れた。
そこで学んでいた信龍と鳴は惹かれ合う何かがあったのか恋仲に発展していくのであった。




