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歴女JK謀神の子供を産む  作者: 星野林


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1510年 出産

「お腹がキューってなってる……こりゃ来たな」


「へ? 来たって?」


「お産。松寿丸様、未来に行きますよ」


「お、おう!」


 その場に居た松寿丸様を引き連れて未来へ移動し、親の車で直ぐに産婦人科のある病院に移動する。


「ほほう、ここが病院とやらか……」


「松寿丸様はここで待っていてください。ちょっと産んできます」


 赤ちゃんが今にも出そうになっているのを我慢し、分娩台の上に座り、力む。


 するとスポンと赤ちゃんが流れるように股から出てきた。


「おぎゃぁ! おぎゃぁ!」


「おめでとうございます! 元気な男の子ですよ!」


 お医者さんがへその緒を切り、もう一度力むと胎盤が流れ出てきた。


 看護師さんが赤ちゃんをお湯で洗ってあげて羊水を綺麗にし、私に抱かせてくれた。


「おぎゃぁ! おぎゃぁ!」


「おぉよしよし、お母さんですよ~凄い元気だなこの子」


「お子さんの名前は決まってるのですか?」


「今旦那と相談中です」


 看護師さんに言われて、私はそう答える。


 お産ってすっごい体力、気力を消耗し、地獄の様な痛みを初産は経験すると聞いていたが、本当にスムーズで5分もかからずに終わってしまった。


 出血もそこまで無く、分娩台で30分ほど休む(初乳の授乳もこの時間で行い)と、普通に歩けるまで回復し、松寿丸様が赤ん坊を見て


「赤ん坊とは子猿のような奴よのぉ! 可愛いやつなのじゃ!」


 と、自身の子供にメロメロとなり、無事に赤ん坊を産んだ私によくやったのじゃと褒めてくれた。


 まぁそこまで苦労しなかったので神様の加護のお陰だと思うが……。


 そのまま入院という運びになり、赤ちゃんは色々な検査をするため、毛利彩乃と書かれたバンドを巻いて、検査室に送られ、私も検査を受けた後に病室へと移動となった。


 松寿丸様が私の両親に連れられて病室に入り、名前をどうするか話し合う。


「なるべく昔の名前でも今の名前でも大丈夫な名前にしたいな……」


「未来の名前について呼んだのじゃが、元服しても名前を変えないのじゃな」


「ええ、なので未来では幼名がそのまま大人でも使われるので気をつけてください。私的には太郎と言う名前は比較的よく使われますよ」


「ふむ……太郎であれば戦国の世でも使われるのじゃ。ただ太郎だけでは寂しいのぉ……賢太郎はどうじゃ? 賢い武士になって欲しいと願いを込めて」


「良いと思います。毛利の受け継がれる幼名とかじゃなくて大丈夫ですか?」


「なに、毛利の嫡男も太郎が付く。ワシだって松寿丸の他に少輔次郎という名があるが、誰にも言ってもらえんからな。宗家の嫡男は少輔太郎になる決まりがあるが、ワシは分家じゃから特に縛りもないのでな。賢太郎でも大丈夫じゃ」


「ではこの子は賢太郎にしましょうか」


「うむうむ! 元気に育つと良いのぉ」


「では松寿丸様は一度戦国の世に戻りますか、これから約5日間は色々やることが多いので……あと戸籍登録等もしないといけませんし」


「うむ……、未来の諸制度は分からんから頼む。ワシは一度戻ろうか」


 私は異空間を開けると松寿丸様を戦国の世に送り届け、入院しながら出生届けをしたり、色々な登録用紙を書き込むのであった。







 私の検査が終わり、健康そのものと言われ、赤ちゃんこと賢太郎も健康と判断された。


 ちなみに賢太郎産まれた時から体重4キロ超えの大柄な赤ん坊であり、他の赤ちゃんに比べても一回り大きかった。


 赤ちゃんの健康診断も終えて、看護師さんに言われながら2回目の授乳を行うが、私の体、思ったよりも乳が出るらしい。


 賢太郎がグイグイ飲んでいくがそれでも胸が張ったままで、搾乳器を使って胸の乳を吸い出すが、200ミリリットルのボトルが満タンになってしまった。


 一応先生に聞いたら母乳が出やすい体質と言われ、今後赤ん坊が大きくなっていっても粉ミルクを頼らなくても大丈夫かもしれないとも言われた。


 ただカルシウムや鉄分等の栄養素が不足がちになるので食事には気をつけてくださいとも言われた。


 食べるのも仕事と言われて授乳で取られる分の栄養を補給するために病院食を食べるのであった。










 無事に退院し、以後は定期検診と2ヶ月後からの予防接種を受けさせる様に言われ、私は賢太郎を連れて戦国の世に戻った。


 約1週間近く未来に居たが、戦国の世では1時間も経過していなかったらしく、松寿丸様が赤ん坊を抱きかかえて大喜び。


 杉殿や志道様、他の家臣の方々からもおめでとうございますと喜ばれ、賢太郎は祝福されるのであった。


 賢太郎の出産で嫡男を産んだことと今までの成果で家臣達も私を松寿丸様の正妻と認め、婚姻の儀が遅れながら執り行われた。


 賢太郎がいるので儀式は簡略化されて家臣達が喜び合う宴会メインであり、この会食で松寿丸様はビュッフェ形式を取り入れた。


 なんでも


「好きでも無い物、腹がいっぱいなのに食べるのは苦痛であるから、自分で食べられる物を食べ、腹いっぱいになる方が楽しめるであろう」


 という家臣達への気遣いであり、婚姻の儀には相合四郎様も出席していて、私を


「彩乃殿、兄上をよろしくお願いしますぞ!」


 と若干のブラコンを感じながらも、私の事を認めてくれたらしい。


 ちなみに出された料理は鰻の蒲焼き、焼き鳥(色々な部位の)、ぶり大根、おでん(各種)、山菜天ぷら、唐揚げ、肉じゃが等の未来の料理が多く出され、鶏を食すことに抵抗があった人達も猿掛城の家臣達がこぞって食べているのを見て食べるとあまりの美味しさに感動し、そこからは腹がいっぱいになるまで食べるのであった。


 また出席者の人々にお土産として日持ちする料理を入れた弁当を贈り、家族で食べてくださいと言うと、家臣達は松寿丸様の気遣いに感動し、毛利家への忠節を改めて誓うのであった。







 賢太郎もすくすくと成長し、あっという間に2ヶ月が経過。


 2ヶ月検診の診断も良好で毎日乳を大量に飲んでいく。


 体重も7キロを超えて順調そのもの。


 予防接種も行っているので、この時代の武士で死因として多い破傷風も予防できると思われる。


 ちなみに松寿丸様の夜の運動会も再開して、最近は授乳プレイが楽しいらしい。


 多分このままだと第二子を孕むのも時間の問題だと思う。


 領内では養蜂の規模を拡大しようと言うのでミカンの木を私に頼んで種ありのミカンの苗木を大量に買い付けを行って約200本ほど用意し、多治比村に配ったり、馬鈴薯じゃがいもやコンニャク芋の栽培も始めるように命令を行った。


 二毛作の小麦も未来の品種改良が行われた品種を使い始めて、来年の収穫量が早くも楽しみで仕方がない。


 まだ賢太郎の首が座ってないので散歩には連れていけないが、賢太郎を椛か颯のどちらかに任せて、城下や多治比の村に散歩に行くと、村人から農法について聞かれる事があり、丁寧に答えるように心掛けると、私も多治比の姫様と呼ばれるようになっていった。


 そして今年も大豊作で村人達は大喜びし、多治比全体が賑わいを見せる中、私の第二子の妊娠が発覚するのであった。

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