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歴女JK謀神の子供を産む  作者: 星野林


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1508年 収穫と毛利忍軍結成

 松寿丸様は井上元盛の目を盗んで井上元盛の専横の証拠を集めていった。


 協力してくれる商人に話を聞き、心酔してくれた村長を使い他の村の困窮状態を調べた。


 すると出るわ出るわ……井上元盛の悪政の証拠が。


 農民達からも不満が溜まっているのを見て静かに井上元盛に復讐することを企んでいた松寿丸様は水面下で謀神の片鱗を見せ始める。


 まず味方を集めるために松寿丸様は井上光兼と言う人物を訪れた。


 彼は井上党の当主をしている人物で、元盛の兄であった。


 しかし、松寿丸様を気にかけており、杉殿と一緒に客僧に念仏を教わり、度々光兼の屋敷に訪れて食料を恵んでもらったりもしていた。


 松寿丸様は元盛の専横があまりに度を過ぎている証拠を光兼に差し出して罪状を言っていき、光兼も顔を顰めるが、松寿丸様に証拠を集めたところで何が出来るのかと問たところ、松寿丸様は


「こちらに兄(毛利)興元がワシ宛に書いた元盛へ罰を与えても良いと言う書になるのじゃ」


 勿論志道広良が興元の書を集め、その執筆を真似て作った偽書である。


 勿論興元はそんな事を知らない。


「松寿丸様が言うのは分かりますが、松寿丸様が動いても誰も付きませんよ」


「ええ、そうでしょうね。ただ(井上)光兼も(井上)元盛の専横はいささか行き過ぎているのは思うのだろ? 絞り過ぎれば毛利の国力が低下する。しかし元盛の専横は興元様に伝わっている……ならどうするべきかはわかるのじゃろ?」


「それはそうだが……私に弟を説得しろということでしょうか?」


「いや、元盛はワシがなんとかせねばならぬ仕事……ワシ自身で決着を着ける故にワシの動きを黙認して欲しいのじゃ」


「ふむ……何か策があるのですね。分かりました。私含め井上宗家は松寿丸様の動きを黙認することは約束しましょう。弟がやりすぎているのは確かだしな」


「ありがとうなのじゃ!」


 元々味方寄りであった井上宗家を中立にまで持っていく事に成功し、月日が過ぎていった。








 正条植えの効果は抜群で、草取りが楽であったり、すくすくと稲が育つのを見て、他の農民達も考えが変わりつつあった。


 そして竹を使って竹刀を自分達で作り、仕えてくれている男達に剣術を隠れて教えていった。


「我々に武芸を仕込むのはなぜですか?」


「そりゃワシの手足として動くのじゃぞ。武士として取り立てるのじゃから武芸ができねばいかんじゃろうて。なんじゃ? 農民のまま過ごすつもりだったのか?」


「いえ、我々の為にそこまで考えてくださるとは……ありがたい限り」


「うむ、文字の読み書きや簡単な算術も覚えてもらうからのぉ……城務めになるんじゃ! 教養が無いと駄目じゃろうて」


「はい! 頑張ります!」


 松寿丸様は味方になった者は徹底して鍛える事を行い準備を進めるのであった。









「松寿丸様の教えを受けた田んぼが凄いことになっておる!」


「なんじゃこの稲穂の量は」


「稲穂が大量に実っている! それが綺麗に並んでいることで収穫も凄いことになりそうだ!」


 秋になり、松寿丸様に協力した田んぼは黄金の稲穂が一面に広がっており、それが倒れること無くしっかりと育っていた。


 村の中では瞬く間に噂となり、その噂は他の村にも伝播していく。


 松寿丸様が農法を教えた田は大豊作であったと……。


 収穫を行い、村人達が豊作を喜んでいると井上元盛の家臣達がやって来て年貢の徴収を始めるが、豊作の分も徴収していってしまう。


「取り決めでは6公4民のハズでは!」


「ああ? 井上元盛様が9公1民と決められたのだ! お主達はそれでも生きていくことができるであろう!」


「そ、そんなぁ……」 


「歯向かうようであれば処罰が許されているが?」


「「「……」」」


「全く手間取らせるんじゃねぇ! 全く農民は菜種の様に絞れば絞るだけ良いなぁ!」


 ワハハと笑いながら徴税する兵が米を城に持っていってしまった。


「松寿丸様より薩摩芋を育てるように言われてなかったら餓えていた……」


「これも松寿丸様は見据えていたのだ……」


「松寿丸様に領主に戻ってもらわねば儂らは作物を永遠と取られてしまう……」


 村人達も不満な声が上がるが、村長は村の代表者を夜に村長の家に集めると松寿丸様が村長の家に訪れて計画を話していった。


「そ、そんな事が出来るのですか?」


「ああ、悪いのは井上元盛じゃ。お主らは被害者……ワシらは立ち上がらなければならぬ。その準備を進めておる。皆協力してくれ」


「松寿丸様の農法が広まればこの村は豊かになりまする。我ら多治比村は松寿丸様に協力しますぞ」


「うむ……吉報を待つのじゃ」







 そして椎茸と蜂蜜の収穫となったが、椎茸は大豊作であり、ほだ木1本で0.25キロ収穫でき、それが200本、50キロの収穫となった。


 干し椎茸にしたので12.5キロ程度になったが、干し椎茸1貫(3.75キロ)で城が建つと言われるくらい高級品であり、単純計算で3倍強……普通の山城の建設費用が約5000貫程度(普請で大幅値引きがあるとは言え)と言われていたのでこれだけでも約1.75万貫程度の価値となる。


 売り方によっては倍にも数倍にもなるため、目の前の干し椎茸の山に商人達は目を輝かせていた。


「こ、これだけの干し椎茸を売りさばく事ができれば……一気に成り上がることが出来る!」


「安芸国1の大商人に……」


 ただこれだけの金額を一気に支払うのは毛利領内で活動しているような小商人の彼らには不可能である。


「現金で今支払えるとはワシも思っておらん。じゃから干し椎茸分ワシに協力してもらうのじゃ……それにワシの計画が上手く行けばもっと富が転がり込むぞ」


「詳しく話を」


 松寿丸様は商人達に井上元盛誅殺計画を話し始めるのであった。







 蜂蜜も流石セイヨウミツバチ……1つの巣箱から平均6リットル取ることが出来き、それが6群なので36リットル……一斗缶2つ分採取することに成功した。


 ちなみに蜂蜜は1升で25貫程度で取引されるため、600貫にもなり、椎茸よりは劣るが大金である。


 ……ちなみに松寿丸様の所領が300貫なので蜂蜜だけでも倍の価値がある。


 こうなると金のなる木である松寿丸様に商人達は従うしか無く、求められた物資を集めてもらう。


 そして従っている男達は私から黒装束が渡された。


「パーティーグッズの黒装束を使いますか……」


「忍者という組織があったそうじゃな……まさに今回はうってつけじゃな」


 男達に黒装束を身に着けさせ、夜目に慣れてもらう訓練を行い、準備を進めるのだった。

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