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歴女JK謀神の子供を産む  作者: 星野林


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1506年 松寿丸様成長応援計画

 戦国時代に戻った私と松寿丸様は杉殿と志道様を松寿丸様の部屋に呼んで、スーパーで買ったフルーツの食べ比べを行った。


 今回買ったフルーツはみかん、りんご、いちご、洋梨、バナナである。


「このみかんという果実は色合いも良くキンカンやユズの様な形をしているが、味が全く違うな」


「志道様の言うようにとても甘く、2種の様な酸っぱさがあまり無いですね」


「彩乃、みかんは美味いのぉ!」


 みかんは戦国時代の人々にも大好評で、次にりんごを食べてみる。


「シャキッとした心地よい歯ごたえ、赤色であるが、中は黄色く美味いな」


「赤色なのが惜しいですが、これも美味しいですね」


 いちごもそうであるが戦国時代の人々は赤色の食材は好まない傾向があり、血を連想させられる為、縁起が良くないとされた。


「じゃあこれなんかどうですか?」


 私は白い饅頭を差し出した。


「普通の饅頭に見えるが……」


「あむ……!? 中にいちごが!」


「赤だけでは縁起が悪くても紅白にしてしまえば縁起物に変わりますよね」


「確かにこれならば縁起が悪いと言う人物は居ないだろう」


「りんごも皮を剥いてしまえば黄色です。皮を剥いて使う料理もありますから、赤を連想するのは減ると思いますよ」


「なるほどのぉ……」


 洋梨は梨の様にシャキッとしているわけではなく、瑞々しいという感じで、まろやかという感想を貰い、バナナは食べ応えがある食べ物とされた。


「いやぁ、どれも甘くて美味かったな」


「志道様の言うように美味しかったですね」


「彩乃に聞くが、これらはこの世の日ノ本でも作れる作物なのか?」


「みかんは日ノ本で大々的に育てられるでしょうが、りんごは病気に弱く、手間がかかる。いちご、バナナは今の日ノ本の気温では栽培に難しく、洋梨は未知数……難しいと言わざる得ないでしょう」


「そうなのじゃな……でもみかんは育てられるのじゃな!」


「はい。ユズとほぼ同じ栽培方法で育てることが可能です」


「毎日みかんが食べられるようになりたいのぉ……」


「今度みかんについては苗木を用意しておきますよ」


「本当か!」


「はい、重要な収入源になるかもしれませんからね」


「それはよいのぉ!」


 こうしてフルーツパーティーは終わるのだった。






 毛利家当主の松寿丸様の兄である幸千代丸様は当主という立場で正式に大内氏に従属することを決定し、私がこの世界に来る前に大内氏に従属要請を出しており、その返答が来て、大内氏からも毛利家を粗雑に扱わない約束をしてくれたと返答があった。


 これで普通なら毛利家は安泰……と思うのであるが、この大内氏従属から毛利家は大局という大波に攫われることになる。


 松寿丸様が寝ている時に、私は志道様を私の部屋に移動してもらい、毛利家の事を相談した。


「毛利家の未来か」


「はい、私が当主の幸千代丸様では無く松寿丸様に仕えている理由は何となく判ると思います」


「今後の毛利は松寿丸様にかかっているのか」


「はい、毛利家350年の祖となるのは毛利松寿丸様他にありません」


「……松寿丸様も自身の未来の事は聞かない様にしているが、未来を変えることを恐れてなのか……どうなのか……」


「今松寿丸様が不穏な動きをすれば教育係の井上元盛が動くと思われます……今後の毛利について軽く説明を」


「あぁ、頼む」


 私は来年に現在京で管領をしている細川政元が暗殺された事により大内氏が匿っている10代足利将軍を担ぎ出して上洛を開始。


 大内氏に従属している毛利家も幸千代丸様が軍を率いて上洛に参加。


 毛利家の有力家臣の多くも上洛に追従するため、国内統治が手薄になるが、その間井上家の歯止めが効かなくなり、勝手に重税を課したり、関所を設けたりして横柄な態度を取り出し、それを咎めた松寿丸様が井上元盛に逆に押し込められてしまい、猿掛城から追放され、あばら屋で生活するまで転落人生を送ることになる。


 その生活は井上元盛が急死する4年後まで続き、なんとか城主に返り咲くと、その数カ月後に京から幸千代丸様が無断の陣抜けを敢行し、陣抜け後に大内氏は大勝、陣抜けをした毛利を潰す流れになるが、高橋氏と婚姻同盟と国人衆で盟約を結び国人一揆を起こすことでなんとか家を存続させることに成功させる……が、数え年で24歳で幸千代丸様は病死、後継者の幸千代丸様の嫡男は数え年で2歳の為、後見人として松寿丸様が指名されて、政治中枢に戻る……という流れを説明した。


「井上元盛を我の政治力で排除することは不可能……となると松寿丸様があばら屋で生活するようになるのは確定か」


「はい、その期間で井上元盛に警戒されないようにしながら松寿丸様の影響力と器量を磨く事が出来なければなりません」


「うむ……我に考えがある。当分我は松寿丸様の前に現れる事が出来ないことを伝えてくれ」


「分かりました」


「うむ、裏で動く……また今度会おうぞ」


 その日から志道様は松寿丸様の所に来なくなった。


 松寿丸様も寂しいと言っていたが、月日が流れていくのたった。







 私は松寿丸様に未来のとある物を飲むように教えた。


「これはなんじゃ?」


「成長期応援飲料と呼ばれる物です! これを毎日1杯飲むと背丈が伸びるのに必要な栄養を補う事が出来るのです。未来の人々の背丈が高いとは思いませんか?」


「確かに……背が高い者が多いのぉ」


「これは食事から色々な栄養を取ることが出来るようになったからなのですが、戦国の世の食事では子供が成長するのに必要な栄養が足りていないので背丈が低い状態となるのです」


「つまりこれを飲めばそれが改善するのじゃな」


「はい! 背丈が伸びやすく、筋肉が付きやすくなるのは間違いないかと!」


「城に持っていく訳にはいかんから未来の入浴後の牛乳をこれに変えるのじゃな」


「はい! それに夜食もしっかり食べてもらいます。主に肉類を」


「うむ……鶏肉や牛肉があれほど美味とは知らんかったぞ」


「調理した物を渡しますので是非とも食べてください。そしてよく眠る事で松寿丸様はどんどん体が大きくなっていくハズです」


「おお! 楽しみじゃな!」


「というわけで今日はそんな成長期応援飲料にどんな味があるかのご紹介を」


「味が選べるのか?」


「はい、少量ずつコップに入れてきましたので飲んでみてください」


 松寿丸様はテーブルに置かれた成長期応援飲料を飲んでいく。


「この焦げ茶のはなんじゃ?」


「ココア味になります」


「ふむ……牛乳が入れてあるが、少し苦さが隠れている。しかしその苦さが癖になるのぉ」


 続いてバナナ味。


「前に食べたバナナの味がするのぉ! バナナと牛乳を混ぜるとこんな味になるのか! 美味しいのぉ!」


 いちごとヨーグルト味も試すが、松寿丸様はどうやらヨーグルト味がハマったらしい。


「うむ、このヨーグルト味? とやらは絶品じゃ! 幾らでも飲めるぞ!」


「それはよかった。ただ同じ味を飲み続けると飽きますので、既に他の味も購入していますし、適度に飲んでみてくださいな」


「わかったのじゃ! ……彩乃も飲むのじゃろ?」


「はい、飲みますよ。健康に良いので」


「ほほう、健康にも良いのか! それは良いのぉ!」


 こうして松寿丸様成長応援計画が始動するのだった。

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