????年 転生までの経緯
私の名前は毛利彩乃何処にでも居る普通の女子高校生。
「彩乃ちゃん今日カラオケ行かない?」
「ごめん! ゲーム買っちゃって今金欠なの! 来週バイト代入るからその時に埋め合わせするよ!」
「わかった! また今度ねー」
今日も学校が終わって家に帰る。
スクールバスに乗って、電車に乗って、駅から自転車で家に帰りパソコンを起動する。
「オッホー! 今日もご先祖様と国取りじゃぁ!」
私がやっているゲーム……それは戦国時代の武将達の国取りシミュレーションゲーム……俗に言う戦略ゲーと呼ばれるジャンルである。
部屋には分厚い歴史書や戦国武将の図鑑、模擬刀が飾られていたりする。
そう私は世間一般的に言う歴女である。
毛利と言う名前から分かるように私のご先祖様は毛利元就!
謀神と呼ばれ、謀の多い人物に世間からは思われているが、家族愛の強い愛妻家の側面を知るのは少ない。
ただ70歳近くで正妻の死後に嫁となった若い娘と子作りして息子を孕ませているエロ爺でもある。
筆マメかつ同じ事を繰り返し書いて手紙が長くなる悪癖もある人物でもあるが、とにかく魅力ある人物なのである。
そんなご先祖様を私はゲームのプレイキャラとして遊ぶことが大好きで、毛利元就を使って天下統一プレイを頑張ったりしている。
「彩乃ご飯よ」
「は~い」
熱中すると時間を忘れてプレイしてしまう。
バイトの無い日は夜中まで遊んで寝不足で登校することもしばしば……。
翌朝も寝不足で自転車を漕いで、信号待ちをしていると横からいきなり大型トラックが突っ込んできた。
「え?」
私は一瞬のことで何かよくわからないうちに空中をまっており、そして硬いコンクリートに頭を強く打ち付けるのであった。
『はい、ここまでが彩乃さんが死亡した原因のトラックに跳ねられ、地面に強く頭を打ち付け、脳挫傷により即死です。死体の様子も見ますか?』
「あ、大丈夫です。遠慮しておきます」
『そうですか……脳みそと血液が混じり合った液体が頭から流れ出して脳が壊れた影響で狂った信号が体に伝達して痙攣していたのですがね』
「いや、言葉にして言わないでくださいよ神様、滅茶苦茶グロじゃないですか」
『えー、久しぶりに私のお遊びに適合する魂を見つけたから興奮しているんだけど!』
死んだと思ったら和室みたいなところに私は座らされていて、目の前の神を名乗る人物がいきなり現れて私の死んだ様子を第三者視点から見せられた。
『というわけで鏡をドン!』
「う、うわぁ!」
鏡を見ると私の頭が潰れており、死んだ状態が分かってしまう。
「み、見せるな見せるな!」
『ちぇー、私グロもいけるんだけどな』
「本当に神様なの? 邪神じゃなくて?」
『失礼な! 私れっきとした神様だよ! まぁ死んだというわけなので転生してもらおうと思います! わーパチパチ』
「軽! 軽くない私の扱い!」
『うっせぇ! 復活させられるだけありがたいと思え! ……はい、というわけで今回用意したのがこれ』
「なんですかこれ」
『知らないの? 100面ダイス』
「いや知りませんよ……というより100面のサイコロってあるんですね」
『ちなみに税込1000円になります。ちょっと高いね』
「コメントに困る値段ですね」
『このサイコロで私が無差別に選んだ過去や異世界、はたまた未来の時間軸を選んで貰います! さぁさぁ振った振った』
サイコロを渡され、私はとりあえず転がしてみる。
『はい、79番……室町時代、戦国時代中期!』
「おぉぉ? 私の大好きな毛利元就の居る時代?」
『毛利元就が10歳頃だね』
「10歳……1506年か……織田信長が産まれるのが1534年だからだいぶ前……」
『良かったじゃん彩乃ちゃんのご先祖様と同じ時代だよ! そうだ! ご先祖と協力した方が面白そうだし、転生先は毛利元就と一緒の場所にしてあげるよ』
「わ、わーい?」
『さてさてじゃあ3つ転生チートをダイスで決めてもらうよ! 100面ダイスを振って振って』
渡された3つのダイスを振っていく。
『はい、現代と行き来、良妻賢母、子出し10!』
「ど、どういう意味ですか?」
『まず現代との行き来は現代と過去を行き来することができます! サービスで普通に生活できるのとある程度なら現代の物を過去に持っていくのも許可しよう。ただし、現代に居ても日付が進まないから注意ね』
「日付が進まない……とは?」
『戦国時代で過ごした時間分現代の時間で過ごすことができるって意味。戦国時代で1日過ごせば現代でも1日過ごすことができる。ただーし、そのまま現代で生活するとなると学校行ったりしなきゃいけなくなるだろうからそこら辺は神様が調整しまーす』
「あ、はい」
『次に良妻賢母……言葉の通り妻になった人に良縁をもたらしたり、子供に対して良い影響を与えます! あと子供を産む時に必ず安産になるし、肥立ちが悪くて亡くなるってことが無くなります』
「おお……」
『最後に子出し10……凄い子供が産まれやすくなります!』
「凄い子供?」
『彩乃ちゃんがやっていた歴史シミュレーションゲームなら全パラメーター90とかの子供が産まれやすくなるってこと。まぁ賢くて健康的な子供が産まれやすくなるね』
「赤ちゃん産むこと前提のチートになってません……神様本当にダイスの通りなんですか?」
『ピューピュー』
「うや、誤魔化さないでくださいよ」
『良いじゃん、彩乃ちゃんは毛利元就に会える、私は彩乃ちゃんが右往左往するのが見える……あ、言語チートは付けないと彩乃ちゃん無礼者扱いで死んじゃうからそれは付けてあげる! じゃああとは頑張りなはれや!』
「え? ちょっと! まだ聞きたいことがぁぁぁ!」
こうして1506年の戦国時代に私は飛ばされるのであった。