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桜色のネコのおまけ 〜ハル視点〜  作者: 猫人鳥


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相談

「ハル〜!」

「あぁ、フユ。来てくれたんですね」

「ハルが呼んでるって聞いたからねー」


 一仕事終えて女神様の領域内に戻ってきたところで、フユが私の元に駆けて来てくれました。

 もう結構前に解決した事なのに、こうしてフユが元気に走っている姿を見ると、未だに少し感慨深く思ってしまいます。


「何の用事だったのー?」

「お菓子を渡したかったんです。私が作ったんですよ」

「あぁ! ナツとアキから聞いたよ! なんかハルが最近お菓子作りにハマってるって」

「実はそうなんです。フユにも食べてほしくて」

「貰う貰うー! すごーい、綺麗な緑色だね!」

「これは、私の世界で"抹茶"と呼ばれるものを混ぜて作った、抹茶味フィナンシェです」

「いただきまーす! うん、おいしい〜」


 フユはとても喜んで食べてくれました。

 先日アキにプレゼントした紅茶味のフィナンシェも好評でしたからね。

 こうしてフユにも喜んでもらえて良かったです。


「ネリアっ! はぁ、はぁ……やっと、追いついた」

「残念でした~。もうハルからのお菓子は私がぜーんぶ食べちゃったよー」

「ん? あぁ、ハル殿。久しいな」

「ルートヴィルも相変わらずですね」


 フユの後ろからルートヴィルが駆けてきました。

 この2人は恋人同士なのですが、常に仲睦まじいアキとカイに比べると、いつもフユがルートヴィルをいじめている印象です。

 まぁ、それが2人の距離感というものなのでしょうが。


「ルディ、今ハルから貰ったお菓子ね、すっごく綺麗な緑色だったの!」

「緑色の菓子? そのようなものが?」

「私達の世界でも作ってみよっか! 草とか混ぜて!」

「……その辺の雑草は混ぜるんじゃないぞ?」

「雑草混ぜはルディのだけにするね!」

「食べないからな」

「えっ、私がルディの為だけに特別に作るお菓子なのに……食べて、くれないの?」

「あーっ! もうっ! 分かった! 分かったから! 食べるっ! 食べるよ! ネリアの作ったものなら、どんなものでも!」

「冗談だよー、あははっ!」


 相変わらずフユは楽しそうで、ルートヴィルはフユに振り回されています。

 こんな2人ですが、元々フユはルートヴィルを殺そうとしていたんですよね。

 それを知っているからこそ、この2人の今の関係をどうしても不思議に思ってしまいます。


「……あの、少し聞いてもいいですか?」

「ん? ハル? どうしたの、そんな改まって?」

「フユはルートヴィルを消さなかった選択を、どう思っているのかと思いまして……もちろん、今を楽しんでいる事は知っていますが」

「んー、選択は間違えたと思ってる。でも、終わり良ければ全て良しだよっ!」

「間違えたと思っていたのか!」

「そりゃそうでしょ〜、私達は世界の為に動いてるんだから。あそこでルディを生かすのは、かなり危険な橋だったんだよ〜」


 以前フユの世界に、別世界の奇物が出現してしまう現象が発生しました。

 その際にフユは誰にも見つからないように奇物を回収しようとしたのですが、運悪くルートヴィルに見られてしまったんです。

 そういう場合の対処法として一番手っ取り早いのが、その見た相手を消す事です。

 記憶を消して辻褄を合わせるとなると、相応に時間と力を消費してしまいますからね。

 存在そのものを消してしまった方が早いんです。


 だからフユはルートヴィルを殺そうとしました。

 ですがルートヴィルは、フユの世界で王子様でもあります。

 そういった世界の人々に多く知れ渡っている存在が消えるというのは、それはそれで世界に悪影響なんです。

 だからフユは悩んだ結果、ルートヴィルを生かしました。

 もちろんルートヴィルが口外しなかった為に今の関係があるのですが、もし口外されていたら、それは王子が消えていた事よりも世界にとって悪影響でした。


 つまり、フユは世界にとって最悪の事態を招いていたかも知れない選択をしたんです。


「ハルは今、何に悩んでるのー?」

「悩んでいるという訳では……」

「悩んでないならこんな事聞いてこないでしょ?」

「それは……そうですね。実は、記憶を消す予定だったのに、消さないままに一緒に過ごしている人がいるんです。私の事を他言しない人なので、世界への影響は問題ないのですが、やっぱりこのままは良くないようにも思えて……」

「協力者にすればいいじゃん!」

「……あまり、巻き込みたくはないです」

「ハル殿。私も偉そうな事を言える立場ではないが、もしあの時ネリアに消されていたらと思うと、とても悲しかった。恐ろしさよりも寂しさが先に来るのだ。記憶を消すのも同じだろう? 多少なりとも絆のあるものを失う事になるのだからな。それは忘れでないでおいてほしい」


 圭君も、私を忘れたら悲しいと思ってくれるのでしょうか?

 いえ、忘れているんだから、思えはしないのですが……


「ハルは難しく考え過ぎだよ。私達は皆、完璧じゃないんだから。間違えたっていいのーっ! ハルがその人と一緒にいたいって思うなら、一緒にいればいいんだよ?」

「私がいるせいてご迷惑が……」

「迷惑なんてかけてもいいんだよ。取り返しのつかない事になっちゃうよりは、多少間違えて、皆で助け合うくらいがいいって! ハルは直結型だからいつも行動が早すぎるけど、たまにはゆっくり、じっくり悩んでから行動してみたら?」

「相手と話し合う事も忘れずにな」

「……はい、ありがとうございます」


 突然変な相談をしてしまったのに、2人はとても明るく励ましてくれました。

 私も今の圭君との関係を壊したい訳ではないのです。

 ただ、このままでいいのかなって少し不安になっただけで……


 でも、圭君が私を拒絶せず、優しく迎えてくれる限りは、圭君と共に過ごしていたいと思います。

 

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