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桜色のネコのおまけ 〜ハル視点〜  作者: 猫人鳥


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伝承

「どうぞ、これがフィナンシェの作り方を纏めたものです」

「え、いいんですか! ありがとうございます!」

「ちゃんと反省してるんですよね?」

「えぇ、しているわ。でも、また同じ事があれば、私は同じ行動をするでしょうけど」

「今度はもう少し上手くやって下さい」

「気を付けるわ。少なからずミオに迷惑がかからないようにね」

「私には?」

「……」

「目を逸らさないで下さい」


 フィナンシェのレシピを渡すと、アキもカイも少し驚きつつ、喜んでくれました。

 ですが、私には変わらず迷惑をかけるつもりでいるようなアキの発言は看過できませんね。

 私の前で嘘をつくことは出来ないからこそ、出来ない約束をしないつもりでいるのでしょうが、ここまで堂々と開き直れるというのもどうなんでしょうね?


「そういえばハル、ナツから聞いたわよ? あなた、食事を蔑ろにしているんですってね?」

「え、なんですか? そんな強引に話題を変えようとしたって、変わりませんよ?」

「ダメじゃない! 食事は大切なのよ! ちゃんとバランスを考えて、栄養価の高い食事をしないと!」

「アキだって、自主的には食事なんてしていないでしょう。そんな事よりも、今後の仕事で力を使う際は……」

「ハルさん! 食事は大切ですよ!」

「……カイ」


 明らかに話題をすり替えようとしているアキを怒ろうとしていたのに、カイに邪魔されました。

 しかもこの邪魔の仕方は、アキが怒られないようにする為に話を遮ったのではなく、純粋に食事を大切に思っているからこその発言のようです。

 アキと出会う前のカイは、食事の自由も許されないような環境だったそうですからね……

 これは、私の配慮が足りていなかった結果ですね。


「……私も食事は大切だとは思っていますよ。ただ、私達には基本的に必要のないものですから、あまり意識していないというだけで……」

「世界によっては食べ物が見つからない場合もありますし、体の成長が止まる世界でまで食事を意識する必要はないと思います。でも、自分の世界ではちゃんと食事を意識して食べて下さい。空腹感があろうとなかろうと、関係ありません。食事という行為から得られるものは、満腹感だけではないんですから」

「そうそう、愛とかも得られるからね!」

「あのアキが、今はそう思ってくれてる事が嬉しいよ」

「ちょっと、"あの"って何よ!」

「可愛い、可愛い」

「もう、誤魔化されてあげるわ」


 カイはアキに優しく笑いかけています。

 つい今しがた私に真面目に食事をするようにと説いていた人と同一人物だとは思えませんね。


 それにしても、食事から"愛"ですか……

 私の世界でも"料理は愛情"という言葉を聞いた事もありますし、好きな食べ物を食べた際に幸福感が得られるというのも分かりますからね。

 私は生命力で補えるからと、空腹感や栄養価に拘り過ぎていたのかもしれませんね。


「それにしてもハルがお菓子作りをするとはね。その調子で食事もしっかりとするようにね」

「最近は割としていますよ。このフィナンシェの作り方を教えてくれた人が、とても美味しい料理を作ってくれますから」

「紅茶のセンスもいいし、相当にいい人みたいね。協力者にするの?」

「しませんよ。巻き込みたくはありませんし」

「そう……」

「アキもそうだけど、ハルさんも皆に迷惑をかけたくないって思い過ぎですよ。俺はアキの事情になら巻き込まれたいですから」

「はい?」

「その方にちゃんと事情を話して、どうしたいのかを確認した方がいいですよ。もしかしたら俺がアキの役に立ちたいと思っているのと同じように、その方もハルさんの力になりたいと、巻き込まれたいと思っているかもしれませんから」


 迷惑をかけたくないと思うのは当然の事です。

 それに巻き込まれたいだなんて……だいたいそれは、カイがアキの事を愛しているから思う感情であって、私と圭君はそういうのじゃないんですから……


「何にしろ、ちゃんと話し合った方がいいわよ。すれ違いって恐ろしいから」

「本当に! アキもだからね! ちゃんと何かに悩んだら、俺に話すんだよ?」

「分かってるわよー」


 アキはカイを撫でていて、本当にラブラブです。

 微笑ましいですけど、人と話している時に自分達だけの世界に入っていくのは止めて欲しいなーと、思っていると、


「お前等はまたそうやって見せつけて……」


と、ギンがやってきました。


「あら、ギン。どうかした?」

「アキじゃない、カイに用事だ。どうせここにいると思ってな」

「俺に? あー、あの件ですね。いつでも構いませんよ」

「それはありがたいが、あまり見せつけてくれるなよ。目に毒だ」

「それは……申し訳ないですけど、改善の余地なしです」


 ギンはミオの恋人です。

 ですがミオは分身体を活動させて眠りについているので、ギンはミオとなかなか会えていないんですよね。

 一応ミオという存在には会えているのでしょうが、分身体のミオは恋愛感情を持っていませんし、本体のミオは寝ていますから……

 確かにラブラブな2人はギンの目には毒でしょうね。


「心中お察ししますが、俺は変われません。でもミオさんを起こす協力は惜しみませんよ」

「それは私も協力するわ。あの子も分身体だからって、あまり食事をしないし」

「食事ならさせてはいるんだ。おーい、ミオ!」

「はい、お呼びでしょうか?」

「食え」

「いただきます」

「どうだ?」

「美味しいです」

「この間のと比べてどうだ?」

「前回の物よりも甘味料を強く感じます」

「そうか。今度情報共有する時に、メインのミオにもしっかり伝えておけ。食事を忘れるなってな」

「かしこまりました」


 ギンは近くにいた結界の管理をしている分身体のミオを呼び、強引にゼリーを食べさせました。

 ですがこのミオはメインのミオとも違い、感情が著しく乏しいので、見ていて切ないです。


「私も協力しますよ。ミオを起こす計画があるのですか?」

「そうじゃないが……なぁ? 俺ってメインのミオに避けられてないか?」

「そうなんですか?」

「あなたがそう感じるのならそうなんじゃない?」

「全然会えないし、結構堪えるんだ」

「今度会ったら言っておくわね。ギンに会いに行くようにって」

「私からも言っておきますよ」

「よろしく頼む」


 切実なのが伝わってきます。

 やっぱり好きな人に会えないのは辛いですもんね……ん?


「ハル? どうかした?」

「い、いえ……なんでも……」

「本当に大丈夫? 少しでも何か違和感があったらちゃんと言うのよ?」

「そうですよ、無理しないで下さいね?」

「お前等はすぐに無理をするからな。気をつけろよ」

「はい、ありがとうございます。でも本当に大丈夫ですよ」


 またしても胸に若干の違和感を感じましたが、すぐに治まりました。

 最近こういう事が多い気はしますが、苦しいとかではないので問題はないです。


 皆に無駄な心配をかけない為にも、体調管理にもしっかりと気をつけていかないとですね。

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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