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桜色のネコのおまけ 〜ハル視点〜  作者: 猫人鳥


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28/31

余熱

「おはようございます、圭君」

「おはようございますハルさん、今日は回鍋肉を作ってみました」

「おぉっ! 美味しそうですね!」

「初めて作ったので、ちょっと自信は無いですけど……」


 今日もいつものように圭君家にお邪魔しています。

 毎日美味しいお昼ご飯を頂いていますし、本当にお世話になりっぱなしです。

 そして毎日、料理にはキャベツが入っています。


 圭君のご実家から野菜がよく届くとのことでしたが、そんなにキャベツばかりが届きはしないでしょう。

 つまり圭君は、私の為にキャベツを買っているという事です。

 確かにキャベツは好きですが、無いものをわざわざ買ってまで用意しているなんて、流石に優し過ぎです。


 それにいつも違う料理にキャベツを使ってくれています。

 あまり料理に詳しくないので分かりませんが、そんなにキャベツを使った料理は多くないですよね?

 今日のご飯もホイコーロー? とかいう、この国らしくない名前のものですし、圭君も初めて作ったのだと言っていました。

 私に色んなキャベツ料理を出す為に調べてくれているのなら、本当に申し訳なく思います。


「圭君? 無理にキャベツを入れようとしなくてもいいんですよ?」

「えっ? 無理には入れてないですよ。あ、でもそんなにいらないですか?」

「いえいえ、キャベツは好きですから嬉しいのですが、いつも入っているので……その、私は野菜なら何でも好きですから! 圭君の無理のない範囲でお願いします」

「全然無理なんてしていませんよ。今日の回鍋肉だって、作ったことが無かったから作ってみたかっただけです。ハルさんが一緒に食べて下さるのは嬉しいですし、料理のレパートリーも増やせていますからね。本当に僕も楽しんでいますよ」

「それならいいのですが、変にキャベツ縛りとかしなくていいですからね?」

「分かりました」


 一応圭君に聞いてみましたが、無理をしている訳ではなく、圭君自身も楽しんでいるのだと言ってくれました。

 本当に優しいですね。


「ハルさんって、辛いのは大丈夫な方ですか?」

「滅茶苦茶激辛でなければ、大丈夫だと思います」

「じゃあ明日は麻婆豆腐に挑戦してみますね」

「はい、楽しみにしてますね」


 明日はマーボードーフ? とかいう名前のを作ってくれるそうです。

 その料理がキャベツ料理なのかは知りませんが、キャベツ無しでいいとお伝えしたばかりですからね。

 多分キャベツは入らない料理なんでしょう。


 キャベツが入っていないからといって、楽しみではない訳ではありません。

 圭君は料理のレパートリーが増える事が嬉しいみたいですし、私も圭君の色んな料理を食べてみたいですから。

 もちろんキャベツが入っている料理も、変わらず大歓迎ですけどね。


「じゃあ、今日はフィナンシェを作ってみましょうか」

「えっ? 昨日のですか?」


 お昼ご飯を食べ終わったところで、圭君はそう言いました。

 昨日の美味しかった焼菓子を作らせてくれるみたいです。


「昨日の程美味しいものは出来ませんよ。それにうちにはフィナンシェ型がないので、完璧なフィナンシェは作れません」

「型? ですか?」

「フィナンシェは"金持ち"とかの意味があって、フィナンシェ型って呼ばれる金塊の形の型で作るんですよ」

「あー、あれは金塊の形だったんですね」


 なるほど、金塊の形ですか。

 確かにあれが積んであったら、金塊の山みたいに見えますね。

 でも形が違うだけですよね?

 それで完璧が作れないとは、圭君は料理の形とかも気にするみたいですね。


「フィナンシェ型はありませんが、普通の焼菓子型で作っていきましょうか」

「はい。またクッキーの時みたいに、オーブンは先につけますよね?」

「そうですね。あと、今回は型にそのまま生地を流して作るので、先に型にバターを塗っておきます」

「はい」


 圭君は一緒に型にバターを塗ってくれていますが……

 これだと圭君は勉強、出来ませんよね?


「あの、圭君? 圭君の勉強の邪魔はしたくないので、いつもみたいにやり方さえ教えて頂ければ、あとは頑張りますよ!」

「いえ、フィナンシェはちょっと、説明しづらい工程があって……なので最初は僕も一緒にやりますよ。勉強もたまには息抜きをしたいですから」

「そうですか? それならよろしくお願いしますね」


 クッキーの時は、作り方だけ教えてもらいましたが、フィナンシェは一緒に作ってくれるみたいです。

 勉強の邪魔になると思ったのですが、息抜きをしたいと言われてしまいました。

 確かに毎日ずっと勉強は疲れますよね……


「最初に、1番説明しづらい焦がしバターをつくっていきますね」

「焦がしバターですか?」

「はい。フィナンシェの1番の特徴ともいえるのは、この焦がしバターです。バターを敢えて焦がして茶色くするんですよ」

「あぁ、メイラード反応ですか」

「そうです。これがフィナンシェの芳ばしさの決め手になるので難しいですよ。少し色が付き始めたと思ったら、すぐに色が変わってくるので」


 メイラード反応を実際に使った事はありませんが、知識としては知っています。

 糖がタンパク質やアミノ酸と、熱したりすることで褐色物質を作る反応ですね。

 芳ばしくするのに利用されているそうです。


「どれくらい焦がすんですか?」

「僕は結構濃いめに焦がしてある方が好きなので、今日は少し濃く焦がしますね。でも好みにもよるので、色々試してハルさんの好きなように作って下さいね」


 圭君は濃く焦がしたものが好きと……

 覚えておきましょう!


「焦がしているときは常に混ぜていて下さいね。火の通り方にムラができてしまうので」

「はい!」

「こんなもんですかね、っと」


 圭君は結構焦がしたバターの入った鍋を、火を止めてコンロからはずすと、


ジュー


と、濡らしておいてあった布巾の上にのせました。

 そして一度その布巾をとり、もう一度濡らしてまたその上に鍋をおいて、


ジュッ


と、しています。


「これくらい鍋のあら熱がとれていれば、置いている間に鍋の熱がバターを余計に焦がしてしまうのを防げます」

「なるほど~、今のは鍋を冷ましていたんですね」

「布巾をもう一度濡らす時は多少熱いので、気をつけて下さいね」

「はい」


 確かにこれは、実際にやって見せてもらう方が分かりやすいですね。

 それに圭君がこうして隣で料理をしてくれているのを見るのは……なんというか、とても……?

 何でしょうね? この気持ちをどう表現したらいいのかが分かりません。

 楽しい事は間違いないのですが……

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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