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桜色のネコのおまけ 〜ハル視点〜  作者: 猫人鳥


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13/22

時間

 ミオに繋いでもらって報告に来たのですが、


「ハル様〜! 心配しましたよ〜!」


と、私の姿を発見したサクが、泣きながら駆け寄ってきました。

 そんな、泣くほど心配してくれていたのですね。

 サクは私の部下となってそれなり経ちますが、まだ幼いですからね。

 余計な不安も与えてしまっていたのでしょう。


「ごめんなさい。女神様のご様子は?」

「説教1週間は覚悟した方がいいです」

「ですよね……」

「あっ! ミオ様! リリーさんから伝言で、ミオ様の次のお仕事に先に向かっているとの事です」

「分かりました。では、失礼しますね」


 ミオはまた移動していきました。

 リリーというと、確か死神様の元で働いている、ミオと仲のいい協力者の子でしたね。

 私はあまり関わった事がないのですが、ご迷惑をおかけしてしまっていたようですし、今度謝罪に行こうと思います。


「ハル様、行きましょう!」

「そうですね」


 サクと共に女神様の領域へと来ました。

 報告にも行かなければいけないのですが、まずは女神様に謝罪をしないといけませんからね。

 怒られるのは間違いないので、あまり行きたくないのですが……


「足取りが重くなりますね……」

「お抱えしましょうか?」

「いえ、大丈夫です。そもそも私よりも小さいサクに、私が抱えられる訳……」

「これでも鍛えてるんですっ! 毎日本を沢山運んでいますし、いつも走ってるんですよ! 少しでもハル様のお役に立てるようにと!」

「そうなんですね、偉いですね〜」

「えへへ〜」


 頭を撫でてあげると、サクはとても嬉しそうに笑ってくれました。

 私が連絡をしていなかった期間は、こちらの世界では3ヶ月くらいになります。

 ですのでサクも、以前の私が見ていたサクより成長しているようには思いましたが、それでもこういう幼さは変わらずなんですね。


 そもそも私やミオのような存在は、この世界で生きるサク達と時間の流れが異なります。

 私達は自分の世界の時間が進まない限りは、自分の時間も進みませんので、この世界の時間軸で歳をとっていく事は出来ません。

 だからこそ私達は、神ではないにも関わらず神格化され、畏れられているんですよね。

 とはいえサクは、いつも私に畏れず接してくれますが。


「ハル? 帰って来たのー?」

「はいっ! 女神様、この度は……」

「全く貴方は何を考えているの? 貴方がいない事で、どれだけの仕事が溜まった事か……帰って来られないのなら、連絡を寄越すべきでしょうに。大体前にも……」


 女神様のお部屋へと向かって歩いていたところで、女神様がこちらに来られてしまいました。

 多分私が領域内に入った事に、気配で気付いて来られたんですね。

 こうなる事は予想していましたが、困りましたね。

 全くこちらの話を聞いて下さるつもりはなさそうですし……


「ハル様。女神様の話、長くなりそうですし、私が報告してきましょうか?」

「サク……そんな事をされたら、報告に行かないといけない事を理由にこのお説教から逃げるという私の計画が、台無しになってしまいます」

「だから言ってるんですよ?」

「はぁ、優秀過ぎる部下を持つというのも困りものですね」

「ではでは〜」


 サクは行ってしまいました。

 ですがまぁ、ずっと連絡をしていなかった私が悪いんですからね。

 このお説教も甘んじて受け入れなければ……


「ちょっとハルっ! 聞いてるのっ!?」

「もちろんです!」

「書類が山のように溜まっているのよ!」

「ですからその書類を処理する為にも……」

「口答えするんじゃないの! そもそも貴方は昔から……」

「……はい」


 女神様は基本的にお優しい方なのですが、1つの事を考えると、それ以外何も考えられなくなってしまう方なんですよね。

 しかもこちらの話を全くと言っていいほどに聞いて下さいません。

 書類が溜まってしまったのなら、このお説教の時間を手短に終わらせて、書類仕事を私にさせるべきでしょうに、今は"私を怒る"という事以外は考えられていないご様子ですからね。


 女神様は私達のように、この世界の時間軸に左右されていない訳ではありません。

 この世界の時間の流れに影響されて歳をとってはいますが、そもそもの寿命の長さが人とは違い過ぎますからね。

 私達と同様に食事も必要としていませんし、本当にどこまでもお説教を続ける事が出来てしまいます。


「貴方がこの仕事をするようになってから、これまで滞っていた問題も解決したのよ? 貴方はこの仕事に向いてるの! だというのに……」

「連絡がとれない状況でして……」

「危機感がなさ過ぎるのよ! ハルはいつも……」


 このお説教、このままでは最低でも3日は続きますよね……

 こちらが謝罪をしても、女神様が満足するまでは怒り続けられるでしょうし、逃げる訳にも行きません。

 話の隙を突いて、お説教をしている場合じゃない事に気付かせたいのですが、このマシンガントークを前にしては隙もありません。

 せめて私の部屋に着いてからだったら、書類仕事をしながらお説教を聞けたのですが……


 自分が悪かったとは思っていますが、女神様のこの性格も困ったものですね……

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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