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桜色のネコのおまけ 〜ハル視点〜  作者: 猫人鳥


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10/21

暇潰

 おぉ~、これは……

 とても美味しそうないい香りで目が覚めました。

 昨日もいい香りだったのですが、猫に化けている現状ではなかなかに刺激的でしたからね。

 少し伸びをしてからキッチンの方へと向かいます。


「圭君、おはようございます」

「あ、おはようございます」


 私に気がついた圭君は、少し不思議そうな顔をしていましたが、しゃがんで頭を撫でてくれました。

 まぁ、その……一応猫ですからね、全然いいんですけどね?

 最近は頭を撫でられる事なんてありませんでしたので、なんかちょっと恥ずかしいです。


「すみません。出来るだけ音を立てないようにしたつもりでしたが、起こしてしまいましたか?」

「いえいえ、静かでしたよ。ただいい香りが漂って来たので起きただけです」

「匂いで起きたんですか?」

「猫って人より嗅覚が良くてですね、今の私は猫に化けているので嗅覚も付随してるんです。だからいい香りに敏感なんですよ。素敵に起こして頂き、ありがとうございます」


 不思議がっていたのは、どうやら私の嗅覚や聴覚の心配をしてくれていたからのようで、簡単に説明したらすぐに理解してくれました。

 圭君の理解力というか、受け入れの速さは本当に心配になるくらいです。

 私を気遣って音を立てないように料理をしてくれていたみたいですし、流石に気遣い過ぎだとは思うのですが、これが圭君の性分というものなのでしょう。


「聴覚は大丈夫なんですか?」

「あ~、猫の聴覚は凄い良いんですよ。良すぎて疲れるので猫に化ける際は、聴覚は人並みになるように調整してます」

「それは大変ですね……」

「慣れれば大丈夫ですよ」


 猫に化ける事が出来る私に興味を持って聞いているのも、ただ単に私を心配してくれているだけみたいです。

 普通はもっと怖がるとか、面白がるとかだと思うんですけどね。


「じゃあ、そろそろご飯にしましょうか。ハルさん、人に戻ってくださいね」

「あ、圭君……その、私は大丈……」

「こっちのポトフはキャベツ多めで盛り付けておきましたよ」

「……ありがとうございます」


 寝る前にも私が食事を必要としない存在だと説明しましたし、お世話になりすぎているのでご飯はお断りしようとしたのですが、何か圭君から"絶対に食べて欲しい"的な圧を感じました。

 自信作なんでしょうかね?

 しかも私の好物の、キャベツまで多めにいれていただけたとは!

 本当に至れり尽くせりです。


 ご飯の後は今日も勉強!

 昨日の勉強の様子からして、圭君はすでに大学に合格できるレベルだと思います。

 おそらく前に受験に落ちてしまったのも、大学へ行って何をしたいのかが分からないという、モチベーションの低さからの結果なのでしょう。

 私に分からないと聞いてくるところも、解き方が分からないというよりは考え方の違いですし、今の圭君ならきっと合格出来るはずです。


 私は圭君の質問に答えたり、圭君が解いた問題の採点をしたりしています。

 あとは圭君の参考書を読んだりもしていますが、生物の本は結構奥が深いです。

 仕事柄動物に化けることも多いので、生物の知識はもっと幅広く深めておいた方がいい気がしてきました。


 勉強後、夕食としてお昼のポトフをトマトリゾットにアレンジしてくれました。

 圭君は本当に料理スキルが高いと思います。

 私は料理なんて全く出来ないので、羨ましいです。


「ハルさん、これをどうぞ」

「なんですか?」

「クロスワードパズルが載っている雑誌です。昨日買っておいたんです」

「クロスワードパズル?」

「やったことないですか? ここにたてとよこのカギっていうヒントがあるので、それを元にして言葉を当てはめていくパズルです。暇潰しになるかと思いまして」

「なるほど、ありがとうございます。やってみますね!」

「じゃあ僕、行ってきますね」

「はい、気をつけて行ってきてください


 出掛けて行く圭君は、私の暇潰しの事まで考えてくれていて、クロスワードパズルの雑誌をくれました。

 この雑誌は、パズルを解くと懸賞に応募できるみたいです。

 圭君は何が必要でしょうか?

 ご両親から野菜が多く届くとの事なので、ドレッシング5本詰め合わせとかがいいかも知れませんね。

 懸賞が当たる事を信じて、頑張って解いていきましょう!


 パズルを解きながらテレビをお借りして情報収集をしていたのですが、やっぱり夜中になると放送している番組も少なくなりますからね。

 圭君のお蔭で昨日のように暇を持て余す事なく時間潰しが出来ているので、本当にありがたいです。

 それにこのクロスワードパズルは、やってみると結構面白くて、すぐに時間も経ってしまいました。


「圭君、お帰りなさい」

「ただいまです」


 仕事を終えて帰ってきた圭君は、お疲れなのに何故か野菜スープを作ってくれました。

 やっぱり寝る前でも軽く食べておいた方がいいと思ったそうですが、これは間違いなく私を気遣っての事です。

 申し訳ないですね……

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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