2023年2月放送投稿作品 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#70〜#73
サクソフォン奏者八巻和行さんのラジオ番組
こうのすFM フラワーラジオ
フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)
八巻和行の七転び八巻
というラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】
毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。
小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。
そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。
妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!!
こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです!
《番組への参加方法》
①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioのアプリをダウンロード
フラワーラジオを選局して、お気に入り登録
②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー
③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表
④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿
※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。
※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。
サイト投稿回数 第37回目の今回は………
2023年2月放送分の4作品
妄想【愛の劇場】#70 告白
#71 クラス替え
#72 遠距離
#73 リコーダー
2023年2月7日放送
#70 【 告白 】
真っ暗な部屋の中で、私はイスに座っていた。
私の目の前に何やら気配を感じるが、私が声をかけてもそのものの反応はない。
私はこの真っ暗な部屋の中で、しばらくジッとしていた。
この暗闇に、目が慣れることを期待したのだ。
幾分かして、私の目は大分この暗闇に慣れてきた。
しかし、この状況をしっかりと把握できる訳ではない。
目の前にあるそのものが、身じろぐのを感じた。
どうやら私と私以外の人間が、ふたりでこの真っ暗な部屋の中で過ごしているようだ。
「どちら様かは存じませんが、私の話を聞いてもらえますか?」
どこかで聞いたような男の声に、私は首を傾げながら、「聞きましょう」と応えた。
すると男は、今まで黙っていた時間を取り戻すように、あらゆる言葉をまくしたてた。
その言葉の応酬に、私は言葉を失った。
この男は、私だ。
私は心に溜め込んだ全ての我慢の限界を、私にまき散らし始めたのだ。
男は気分が晴れたのか、再び黙り始めた。
声をかける私に反応をしない。
不安に思った私は立ち上がり、暗い部屋の中を歩き始めた。
私の声が聞こえた方へ、一歩、二歩と。
いない?
もうひとりの私の気配がないのだ。
私は暗い部屋の中で独りのようだ。
私は元にいた場所に戻れず、その場に座り込んだ。
あれから、どれくらい暗い部屋の中で過ごしただろう。
いまだに、ここには私以外誰もいない。
誰にも何も話さず、私は今もここに居る。
「どなたか!私の話を聞いて下さいませんか!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2023年2月14日放送
#71 【 クラス替え 】
ひっそりとひっそりと。
心の中だけで、あなたへの想いを重ねて。重ねて。
こっそり見かけた黄色いシャープペンシル。
同じものを探して、そっとペンケースに忍ばせた。
使わないで、そのまま。そのまま。
今年も同じクラスになれることを願っています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2023年2月21日放送
#72 【 遠距離 】
「今日もちゃんと、起きられたかしら」
朝、太陽の光を感じると、いつもあなたを想います。
「今日の朝ごはんは、残さず食べられたかしら」
朝、自分の朝食を目の前にすると、食が細いと嘆いていたお母さんの言葉を思い出します。
「学校では、どう過ごしているのかしら」
学校と塾の宿題に追われているからと、最近一緒に遊べない事を寂しがっていたお父さんの言葉を思い出します。
「今日も元気で笑っているかしら」
近所の子供たちの笑顔を見かける度に、あなたの笑顔を思い出します。
「次は、いつ会えるのかしら」
なかなか会える機会がないけれど、会う度にあなたの成長と優しさに目を細めます。
ふと、携帯電話の着信音が聞こえました。
「おばあちゃん!今度遊びに行くよ!」
通じ合っているのかと、勘違いしてしまいそうな嬉しいメールに、年甲斐もなく、心をときめかせながら今日を終わらせます。
そしてまた、明日も朝からあなたの事を想うのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2023年2月28日放送
#73 【 リコーダー 】
お前が嫌いだ。
理由?
嫌いなことに理由などあるものか。
わたしは、とにかくお前が嫌いだ。
たくさんのリコーダーの音色が響き渡る音楽室。
その中で小川が流れるように心地よく奏でられる、リコーダーの音色があった。
その音色の先をわたしは探した。
そうだ、お前だ。お前だったのだ。
お前から心地よく奏でられるその音色。
わたしの心の中から、沸々(ふつふつ)と熱く煮えたぎる何かを感じた。
そして気が付いた。
わたしはお前が嫌いなのではない。
大嫌いなのだ。
これからも、何度かお前から奏でられる音色を聴く機会があるのだろう。
その度に、わたしはお前への気持ちを思い出す。
わたしはお前が大嫌いだ。
理由などあるものか。
わたしは、お前が大嫌いなだけなのだ。
ありがとうございました。
次回もラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】へ投稿した作品の投稿になります。
妄想【愛の劇場】#73「告白」
#74「クラス替え」
#75「遠距離」
#76「リコーダー」