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その3 伯爵令嬢と公爵令嬢。(4)

「もう! なんなのよ、あの女はっ!!」


 シルヴィアは部屋でバシバシとクッションを叩きながら叫ぶ。

 どれだけ嫌がらせをしても、全く挫ける様子のないベルについにネタ切れを起こしてしまった。

 今まではこんな事なかったのに、とシルヴィアは悔しそうに爪を噛む。

 シルヴィアは今までのベルとの戦いを思い返す。


「アンタなんて、残り物で十分よ」


 そう言って野菜クズや固くなったパンを渡してやったら、


「わぁー嬉しい! え!? コレ、全部もらっていいんですか? わざわざ厨房入ったんです? シルヴィアお嬢様やるー」


 と何故か褒められた。しかもその後はその野菜クズとパンを使ったスープを作り、立ち合った使用人共々美味しく頂いたらしい。

 あまりに美味しかったので、そのレシピは使用人の賄いメシに採用されたとのこと。


「あら、仕着せが似合うこと。ふん、アンタなんか使用人の真似事がお似合いよ!! 隅々まで掃除なさい。ホコリひとつ許さなくってよ」


 そう言って命令を下したあとも、


「そんな時はコチラ」


 じゃん、と効果音をつけてどこからか道具を取り出したベルは、


「本日ご紹介しますのは、最新技術を取り入れたお掃除クリーナー。"取れるんデス"どんな小さなホコリもしっかりキャッチ! さ・ら・に、こちらの商品お掃除棒"とどくゾー"を使えば、手の届きにくい高いところや狭い隙間のホコリも逃さないっ」


 と、通販番組よろしく掃除道具の実演を始めた。


「わぁーすごいっ」


「気持ちいいくらい取れますね。個人的にも欲しいっ!!」


 一緒に見ていたメイド達はその使い心地を大絶賛。


「今ならな・ん・と、こちらの取り替えシートをもう1セットつけちゃいます。大量発注、定期購入受の場合は割引特典あり! ご購入はぜひ、クロネコ商会で!!」


 にこやかに笑ってそう締めくくったベルは、是非使いたいというメイド達の強い訴えでまんまとブルーノ公爵家と大口契約を結んでしまった。


 そんな感じでシルヴィアが何をやってもベルはへこたれないどころか、日中いなくなる彼女は帰宅後いつ見かけてもメイド服で、自主的にそしてとても楽しそうに使用人達と公爵家で働いている。


 ついには先日使用人達を代表して、


『ルキ様の婚約者様に大変失礼ですが、このまま継続雇用したいほどの働きです。せめて労働の対価だけでもお支払いしたい』


 と侍女長と執事長に訴えられた。

 結局ベル自身の希望で公爵家滞在中の部屋の使用料や食費などと相殺となったらしい。

 そんなベルとシルヴィアの戦いは、温かい目で見守られており、今や使用人一同ベルの味方だ。


「認めないっ。あんな貧乏臭い女ぜーったい、お兄様の婚約者だなんて認めないんだから!!」


 ボフッと、クッションを投げつけてベッドにダイブし一通り暴れたシルヴィアは、チラッとベッドサイドに置いてあるクマのぬいぐるみに視線をやると、そのテディベアに手を伸ばして抱きしめる。


「大丈夫よ、ミシェル。私がお兄様を守るんだからっ」


 ミシェルと名付けたそのテディベアはシルヴィアがずっと小さな時から一緒にいる、ルキから贈られた大切な宝物だ。


「……お兄様は、渡さないんだからっ」


 きゅっと唇を結んでシルヴィアはそう決意をつぶやいた。

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