第21話 冒険者の洗礼?? 初の王国
冒険者組合に入り込むと、さまざまな種族がいた。
これぞ冒険者。って感じの雰囲気や。
テンガロハットの人や大剣背負ってる人、盾や剣を持ってる人などなど。
俺とグラディエで受付まで向かっていた時、ボソボソとなんか聞こえた。
「おい、あいつ例の1年もしないで上がった、剣王グラディエじゃあねぇか。」
「何しに来たんだ!」
「また、女でもナンパしに来たとか」
「確かに、いい男ね。」
「あのガキはやつの子か?」
「にしても、冴えないわね。」
グラディエ相当凄いことになってる。
おい、最後の一言悪口だよね?
「(気にするな大将。野郎らは話のネタが欲しいだけでさあ。)」
「(うん。分かったよ。)」
「冒険者組合王国支部へようこそ。
本日はどのようなご用件でしょうか?」
猫耳の茶色と白のツートンカラー受付嬢だ。
「シンリー。今日は大将の登録をお願いしたい。」
「大将??えーと。坊や?」
あ、どもー。ですよねー。
「坊やってな・・。まぁとにかくだ。頼むよ。」
「10歳には成られてますよね?」
「そこは問題ないです。」
ようやく俺が話せた。
「すみませんが、手続きをよろしくお願いします。」
「・・・かしこまりました。」
そしてふと気がついたが、グラディエがついて来てくれてるからかテンプレが無い。
なるほどな。知名度のある冒険者が側にいる効果は思いの外、絶大だな。
「では、手続き当たってですが。
まずギルドカード発行のため銀貨1枚をいただきます。
そして、ランクFからのスタートとなります。
パーティー仲間がいるなら、こちらで登録もできます。
依頼も基本的にこちらに話を通していただければ受注致します。もしくはギルド内の依頼票を持ってきてください。
ギルド設立の際は費用が実費負担です。ただ、ギルド名だけ教えていただければ、紹介することができます。
基本的な説明は以上となります。」
「了解した。」
「ギルドカード発行ですが。
魔力量を測定させていただきます。多い方がランクを一気に上げられたりできますので。」
騒ぐなこれは。
「分かりました。」
「では、こちらの別室へどうぞ。」
「大将。大丈夫だ。俺らが大将の凄いところは知ってるんで。
扉前は死守させていただきますよ。」
早速慰められました。
目に見えている結果なので落ち込むまではいかんが、ブルーな感じにはなるな。
部屋に入ると、透明な宝玉が目の前にある。
これあれだ。光った後に色が変化するやつだ。
「では、こちらに手をかざして下さい。」
サッと宝玉にかざした。
「鑑定します!
宝玉よ。そのものの色を見極めよ。」
「おお〜。」
光った光ったよ。宝玉が光ったよー。
まぁ、その後は無色透明ですがね。
「!えーとあれ?故障かな?あれれ?」
そりゃこんな現象は戸惑うわ。
「すいません。鑑定させていただいてもよろしいですか?」
「ん?ああ了解した。」
鑑定スキルを持ってたのかな?それか魔道具か。
「!!魔力・スキルが無い・・・。君これは?でも!」
「あー事実ですよ。やる気と根性はあるんで大丈夫ですよ。」
「いや!それだけでは・・。
んん。死と隣り合わせのこの職業に、そんな判断でやらせるわけにはいきません。」
あらま。こりゃ面倒な。
コンコンと別のドアからノック音がした。
「おい。入るぞ。」
強面金髪オールバックが来たんだが。
いかにも、俺強いよ?みたいな感じ。
「ああ。お前がそうか。
シンリー冒険者登録を済ませろ。
どうせお前のことだ、真面目にやってたんだろうなって思ってだけど正解か。」
「そんな!だめです!こんな力のない子供がする仕事ではありません!」
「言いたいことは分かるが、そいつは風剣の精霊の仲間だ。」
「!!えっと。驚きすぎて、あのミレルミア様のですか?ええええええ!」
おい。どんだけ有名なんだよ。あいつは!
俺も驚きです。
「そ、そ、それはですが。いいのですか?」
「ああ。そうせんと俺に明日は無い。
閃光の英雄や砂塵の英雄にも目をつけられている。まだ死にたく無いんだ。
結婚して子供が大人になるまでは。」
なんか本当すいません!うちの子たちが!本当暴走が凄くてね!
「かしこまりました。
本来は認めたくは無いですが、ヘルガー様やアリシア様のお名前がある以上は承認します。」
こうして、話は無理やり丸く収められたのであった。
あいつら何してんねん。助かりはしたが、恐喝はやりすぎだろ。
「お、大将終わりやしたか?ギルドカードあるじゃ・・ギルドマスターですか。裏から入ったのか。」
「そう警戒するな。むしろ、助け舟を出したんだ。」
「おっと。ならありがたいっす。」
「お前もか・・。ハァ〜。」
いや本当申し訳ありません。後で締とくんで。
「とりあえず、おめでとうさん。これで俺たちの仲間入りだ。
このカードは身分証明にもなるから、無くすなよ。再発行はするが、そん時は金貨1枚もらうことになる。
依頼やパーティー登録の際も使うから忘れずにな。」
「了解した。ありがとうございました。」
「それじゃさっ・・」
「ここに!キャストなる者がいるのか!!」
冒険者組合の扉が勢いよく開けられた。
お付きの騎士が数人と中央に明らかに目立つやつがいた。
その後ろからお姫様が現れた。
おいおい。何したのお前ら?
明らかに、自分が起こした事件では無いことだけは確証があるぞ。
キャスト冒険者登録中
殴り合いの喧嘩をしたミレルミアとアリシアはそれぞれ別行動に入った。
ミレルミアは道具屋やキャストの装備品を調達しに行っていた。
ヘルガーもキャストの装備品を探している。
ハイネ、ナタリア、アイン、エインは予約した宿で待機することに。
男性連中は酒場で情報収集。
アルケミー、リタは道具製作のためのギルド建設予定地の施設確認をしに行った。
センキは護衛でついて行った。
アリシアとクラウディアは王国のとある王族たちに接触されていた。
「これはこれは、英雄殿。お久しぶりでございます。
妹をお助けいただいてから、既に6年の歳月が過ぎました。この御恩忘れてはおりません。
今でも我が国で冒険者をしていただけるとは感謝の極みです。」
「イェーガー王子が気にされることではありません。
あの時は、たまたまエスニ姫をお救いできただけです。」
「またまた、ご謙遜を。
そうだ。よろしければこれからお茶をいかがですか?
王城にてご案内しましょう。」
「ああ。いいえ。折角の申し出ですが、お断りさせていただきます。
今日は大きく、大変大事な用事で参った次第なので。」
「ほう。それはと聞きたいところですが、そちらのお方は?」
クラウディアが気になったのだろうか。
「お初にお目にかかります。
私はクラウディアと申します。姓は捨てております。」
「これはこれは、美しい部下をお持ちのようですね。アリシア殿と変わらずお美しいです。」
今度は後ろから高貴な姫様がこちらにやってきた。
「まぁまぁ!アリシア様ではありませんか!?
今日はどうしてここに?
あ、そうです。よろさければお茶をしましょう!」
「おい、エスニ。私が先に誘って・・」
アリシアが呆れかけている。
クラウディアはなんとなく、その理由が分かっている。
「申し訳ありません。姫様。
これからとても大事な用件がございますので。」
「なんだと!貴様!前までは受けていたではないか。いくら恩人だからと言って」
「コラ!ルクレツィア!
私の友であり恩人に失礼でしょう。」
怒られて、しょんぼりしてる女騎士のルクレツィアである。
「ですが、かなり大事な用件ですか。
気になりますわね。教えていただけないですか?」
「はい。申し訳ありません。」
「それは残念です。」
「では、失礼いた・・」
「旦那様の装備はこちらの方がいいに決まってるだろ!!」
「何言っているんだ!キャスト様はこっちの方が似合うだろ!」
聞いたことのある怒り声がする。
これは不味いなと思うクラウディアだった。
「アイツら。」
「??どうされましたか。アリシア様?あのお方たちがどうか?
あちらの美しい女性たちがなぜこんな昼間から装備屋なんかに?」
イェーガー王子を無視し、アリシアが動いていた。
クラウディアはやばいと思った。
「(キャスト様のことをなるべく隠す予定では!)」
この時のアリシアは本能的に動いていた。
迷うことは一切なく。
「貴様ら!主様の装備がそんなもんで務まるわけなかろうが!」
クラウディアは、やったなコイツ。と手で額を抑えていた。
「なんだ猪女!邪魔をするな。貴様から真っ二つにするぞ!」
「上等です。私がみじん切りしてあげましょう。」
「お前たちこそ!邪魔だからあっちに行け!」
3人で斬り合いを始めてしまった。
公衆の面前で。しかも、王族たちの前で。
「こ、これは一体。」
驚くエスニ姫とイェーガー王子。
これは逃げられないなと感じ、申し訳ありませんキャスト様とクラウディアは念じた。
そして、今に至る。
ここは冒険者組合の王族専用の部屋である。
エスニ姫とイェーガー王子の前にはキャストが座っている。
その近くでグラディエが立って待機している。
「アリシア様を解放してください。
なぜあなたに従っているのでしょうか?」
「お兄様いきなり、その話し方はどうでしょうか?最初は事情を聞きましょう。」
本当知りてぇよ。
なんだってこんな面倒くさい連中と話し合いせないかんのだ。
俺がなんか悪いことしたの?
ちょっと仲間の胸を揉んだだけじゃん。
「うむ。ではアリシア様とはどのような御関係なんでしょうか?」
バン!とドアが開けられた。
おいおい。来んなよ。
絶対来るなよって思った奴らが来たわ。
そこにはミア・シア・ヘルガー・エラルドがいた。
他から見ると、頼もしい助っ人感があるが、俺からしたら面倒くさい連中が来たと思った。
やっぱどこでも前途多難だわ。
「エスニ姫、イェーガー王子。先程振りです。
これはどういうことですか?
返答次第ではここで睨みを聞かせている騎士8人の首を刎ねます。」
早くね?手が。
「お、落ち着いて下さい。
クラウディア殿からお話を伺ったので、キャスト殿にお会いしたかっただけです。
まだ、何も始まってはいません。」
イェーガー王子も流石に怖いだろうな。
ん?あれは惚れてるからか。
何してんのシア?俺のいない間に何してたの?
「なら、いいでしょう。
主様。お待たせして申し訳ありません。やはり、私がお側にいるべきでした。
グラディエ。後でお話があります。
いいですね?拒否権はありません。」
理不尽とはこのことだ。南無。
グラディエが絶望的な顔をしてこちらを見ている。
すまん。これは俺には止められない。と目を逸らした。
「グラディエの件は私からも聞きたいことがあるが、クラウディアお前もだ。
キャスト様の臣下として命を捧げることを誓った筈だが?
どうして厄介ごとを招いた?」
ヘルガーがキレ気味で詰め寄っている。
多分クラウディアはお前らが暴れてたから、隠せなかったとかだろうな。
何となく予想できるわ。
「ヘルガー殿。あなた方が暴れるからこのような事態になっているのです。
少しは英雄として自覚を持たれたらどうですかか。」
「ほう言うな。犬の腰巾着が。」
いや。間違ったこと言ってなくね?
それならクラウディアの上司も自覚を持つべきだな。何をうんうんしてんねん。
「何をうんうんしてんだ!お前も原因だろうが!」
「いでてて!」
エラルドさんがオコだ。
シアの頭を鷲掴みにしてる。
「申し訳ありません。旦那様。私は止めたんですが・・。」
「お前もだ!」
パシっ!と頭部を叩かれるミアだ。
「に、賑やかなお仲間ですね。」
「ソウダネー。」
なんとも言えない表情のエスニ姫と、それに対して、なんとも言えない答えをした俺だ。
「それで本題を聞かせていただいても?」
「ああすまない。
本題は王国の救世主である、アリシア様に関してだ。」
イェーガーから聞き逃せない発言を聞いた。
何それ?聖王国の英雄では飽き足らず、王国の救世主にまでなってんの。
「お前話してなかったのか?」
「うるさい呪物。これぽっちも興味がなかったし、主様にとっては面白くない話だから話していなかっただけだ。」
え?報連相大事よ!と言っても、いきなり
「私は王国の救世主になりました」とか言われても困るわ。
けど、何があったかくらいは聞きたかった。
「初耳ですが、いいでしょう。それで?」
「はい。アリシア様をどうか、我が国の騎士にしていただきたいのです。
現在はキャスト様の右腕であり、臣下をお勤めされているとお聞きしました。」
何ホラ吹いてんの?右腕はどちらかというと、ミアかエラルドだと思う。
暴走しないエラルドかな?人嫌いだから難しいか。あれ?右腕いなくね?
「いいなその話。
おい、迷惑生ゴミ。良かったな。再就職先が決まったぞ。
安心して、このヘルガーにキャスト様を任せて行くがいい。」
「ぶっ殺すぞ!・・コホン。
申し訳ありません。その申し出は受けることはできません。
私は身も心も全ての人生を主様であり、崇拝している神《《キャスト様》》に捧げております。
このお方から離れるということは死を意味します。」
「何それ」
つい出てしまった。本音が。
ただでさえ、厄介な案件なのに。




