第13話 過去の悪夢 2 未来の選択
※不快になる描写があります。
それでもいい方はどうぞお読みください。
前の会議以来か、もう考えることが辛くて苦しくなってきた。
この世の中に、私は呪われてるのでは?
神に愛された子、聖王国の英雄とか言われていたが、どこにその要素が今はあるのだろうか。
また何もない、ただ日々を浪費する時間が始まった。
そんなある時、ユウキから稽古をつけてほしいと話があった。
勇者自らが私の部屋を訪ねてきた。
やる事もないので、この話を蹴る必要性は感じず、受けることにした。
稽古内容だが、本人曰く実戦タイプらしく。
ただの素振りや説明よりも、体感して技術を磨きたいと仰っていたので、実践形式でお相手することにしました。
「ハァ!」
掛け声と共に訓練用木剣で斬りかかってきた。
素人が凄い力を使って迫っているようだ。
明らかに、私に攻撃をすると言う明確な意志が込められ過ぎていて、目を瞑っていても対処できる。
木剣を使い、受け止めるように流して斬り返した。
今はいつもの勇者専用装備をしていないため、力を弱めて攻撃を返した。
「!!ゥオ!」
壁にはぶつからなかったが、その手前で尻餅をついていた。
この戦い方は、専用鎧による《《傷を負わない》》自信の表れだな。
確かに勇者用の装備だ。
簡単に傷など負わないよう、さまざまな付与効果や加護がなされている。
「どうしました?まだ始まったばかりですよ?」
「へっ!まだまだ!これから!」
めげずに斬りかかってきました。
しかし、素人らしい動きそのもの。
ただ力任せに振り回している。
途中なんかの剣技?のような動きをしているが、想像と身体がマッチングしていないのか、ぎこちない変な動きになっている。
「そのような動きでは簡単に見破られますよ。
剣に乗せる意志も強すぎて、私は横から斬りかかりますと言っているようなものですよ。」
「!すごいな。たった数撃でここまで見破られるとは。稽古をした甲斐があった!」
私でなくても分かるわそんなの。
「攻撃の意志を殺すのは完全には無理でも、どこに攻撃するのかを悟らせないように、立ち回ることはできます。
勇者用防具は強いですが、貫通するダメージや予期せぬ攻撃がある場合に対処ができず、大ダメージを受ける可能性があります。
これからは躱せる攻撃は躱した方が、見切り・返し技などと、できることが増えます。」
なんで私はこんな事してるのだろうか。
「分かった!それじゃ、もう一丁よろしく!」
「どうぞ。どこからでも。」
その後、私は一度もダメージを負うことなく、一方的にボコボコにした。
「はぁはぁはぁ」
「今日はこれで終わりましょう。お疲れ様でした。」
なんかやり過ぎた感もあったので、せめてヒールと疲労回復はしておきました。
「ちょっと!やり過ぎだ!」
「そうですね。ここまでする必要がありましたか?」
「あまり、私情で行動されるのもいかがなものでしょうか?」
勇者の取り巻きの3バカがうるさい。
なぜ受けた側で、ここまで言われねばならぬのだろうか。
「大丈夫。大丈夫だよ。」
3バカを一気に抱きしめて落ち着かせていた。
そういえば気づかなかったが、勇者の近くに1人見たことがある騎士がいた。
閃光の騎士団所属のナイトオブツー マイナ・ウィス・キリガミネだ。
騎士として、盾で守ることを特技としている女性騎士だ。
なるほど。私の代わりか。
「ユウキ様。大丈夫ですか?お怪我はありませんでしょうか?
しかし、私がこれからお守り致します。
どうか変わらず、そのままのお姿でいてください。」
明らかに私情挟んでるし。寵愛を狙っている。
まぁ、彼女は私を目の敵にしていたからな。
そんな私は都合の良いキッカケにはなったのかな。
「ありがとう。マイナ。
ふぅ〜。やっぱり強いね。アリシアは・・。
ねぇ、俺たちの仲間にならないか?
俺の悪いところがあれば言ってくれ!
俺にはお前が必要なんだ。」
でたこれ。というかこれが目的か。
ツッコミどころが多いが、私はそんなに安い女に見えるのだろうか?
3バカもとい、4バカと一緒になるのは精神衛生上よろしくない。
何より諦めないのも分かりません。
「申し訳ありません。
その話は聞かなかったことにします。」
すると、3バカのうちのスイランが。
「ちょっと!あんた折角ユウキが誘ってんだ!
少しは考えろよ!」
「だから、考えて断っています。」
横からミコトも。
「旦那様のお誘いを断るなんて、なんて傲慢な人なんでしょうか。」
知りません。
マイナもなんか便乗して私を責めている。
「みんなやめてくれ。
分かった。けど、諦めないから。
また君に振り向いてもらえるように頑張るよ。」
「・・・・・。」
いや正直、背筋が凍りました。
ここまで求められてなんですが、ハッキリいって好みですらない。
私はあなたに一切興味はない。
強くもないし、周りを見ないし、無意識のくせしてやたら滅多に周りを巻き込むし。
「あ、声に出てた。」
私は心のままに語っていたようですが、目の前の5人は呆然とこちらを眺めていた。
その光景から、私のストレスとは恐ろしいものであった。
そそくさに、その場を後にした私だ。
そして、私にとって運命の夜がやってきた。
その日の夜に湯浴みを終え、寝床に行こうとした時にドアからノック音がした。
扉を開けると、4バカではなく、ミラン、ミコト、スイラン、マイナとウィルズ第1王太子だ。
何事かと思ったが、ウィルズ王太子から。
「夜分遅くにすまない。
彼女たちが君に謝りたいそうで訪ねて来たんだ。迷惑だっただろうか?」
「いえ、あの、はい。分かりました。
私も失礼なことを勇者様に仰ってしまったので、このままお相子でいいんですが。
廊下ではなんでしょう。どうぞお入りください。」
「ああ。ありがとう。失礼するよ。」
これが運命の別れ道だった。
この時のことを後悔していた自分がいた。
「どうぞ、よろしければおかけ下さい。」
ソファーへと案内をした。
「アタイたちは大丈夫だ・・です。
気にする・・しないでください。」
スイランがなんの風の吹き回しなのか、敬語で話そうとしている。
「コホン。では、本題をお話しください。」
私は思わず咳き込んだ。
「ああ。本題と言っても彼女たちから言い過ぎてしまったと悔いているらしく。
それで私に仲介役を頼んできたんだ。」
「なるほど。それで、王太子様がいらっしゃるのですね。」
私はもうウィルズ第1王太子を名前で呼ぶことはしなかった。
「まずは彼女たちの謝罪からだね。ほら。」
「「「「この度は大変申し訳ありませんでした!」」」」
4人同時はなんか胡散臭い。
代表としてミコトが話していた。
「旦那様は確かに落ち込んでいらっしゃっていました。
その後、私たちに彼女を責めるようなことを言わないでくれと言われました。
できないなら、口を聞いて下さらないと。
しかし、そう言われたのもありますが。
私たちもしっかりと振り返りました。そして、この4人で決めて行動にしました。」
「分かりました。さほど気にしてはいませんので大丈夫ですよ。こちらにも非はあります。」
「ありがとうございます。アリシアさん。」
王太子がある紙を掲げた。
なんかの龍のような紋様だ。
「これは勇者様からいただいた。仲直りのおまじないだそうだ。
これに私たちと共に誓い、再び手を取り合ってこの国を守っていただきたい。」
最近では見なくなった。王族のオーラがそこにはあった。
なんだその絵はと思ったが、周りの人たちもそれに頷いていたので私も。
「かしこまりました。
私もこの国の忠誠を誓う騎士です。」
「ありがとう。アリシア。
では、君から《《この紙に誓ってくれ》》。
次に仲違いをした君たちだ。
そして、最後に君に酷いことを言った、私が誓おう。」
いつのまにか順番ができた。まあいいか。
「では、私アリシアは聖王国のため、民のため、そして女神アラヌスに忠誠をこの紙を通して誓います。」
すると、紙は眩い光を放った。
そして私は意識を失った。
ピチャン!
頬に水が当たったのか、私は起きた。
なんだか、身体が怠い。なぜ裸なのだ?
!!ここは地下牢?どこだ?
それに喋れない?首輪!?
まさか。そんなことが・・・あれは隷属系の何かだった?
「あら起きたのね。反逆者様。」
この声は聞いたことがある。声の主を睨みつけると、王太子がこの声の主カナエから貰ったと言っていた気が。
なるほど・・。グルか。
「あなたは勇者たちに反逆を考えていた?
そうよね。特にユウキにはね。」
「はい。そうです。」
!なぜか身体が勝手に・・・やはり首輪のせいか。
クソッ!ここまでやる必要があったのか!
けど、この力の出ない感じ、普段の魔力とスキルがあればなんとかなるはずなのに。
何が起こったのか?寝ている間に?
いや。最初のあの変な紙か?
「アリシア!本当だったのか。そんな・・」
カナエの隣で悲しむ男がいた。
なぜそんなに本当に残念そうに?
もしかして、騙されている?
しかし、身動きは愚か、喋ることもできない。
「ウィルズ。私の予想は外れて欲しかった。
けど、これが事実なの。
彼女は英雄スキル持ちだから、奴隷効果は無効化される。
けど、龍の呪いによって身体を弱体化させることで奴隷化し本音を引き出すことができたわ。
ありがとう。そして、ごめんなさい。
こんな騙すようなことをして・・・。」
「そんな!カナエ・・。謝らないでくれ。
こんな狡い真似をしなければ、本音を引き出せない私なんて・・。」
「そんなことないわよ。あなたはこの国の英雄になったの。
勇者は勿論、私を守ってくれた王子様なのよ。
そんな辛い役目を背負ってまで、私を守ってくれたのよ。負い目を感じることはないわ。」
なんなんだ!この茶番は!
私は何もできない。
持つものを持っているくせに、何もできないこの歯痒さ。
「さぁ、少し休みなさい。
私は自分の責務を全うするわ。
後で、お部屋にお邪魔するから。」
諭された王太子はこの場を後にした。
「さて、残念ながらあなたには人柱になってもらうわ。
元々、1人だけ強すぎてたから、いずれ私たちの脅威になってたろうしね。
あ、喋ることだけ許可するわ。」
「くっ!こんなことして何になるというのだ。
エリザーベル姫様や母と父が黙っているわけないぞ!」
「そうね。怖いわね。
だからね。先に手を打ったの。
あなたは既にここで私に反逆して失敗して死んだと。
そして、誰もいないところで嬲られ、犯されるの。
フフフ! 楽しみ。どんな声で叫ぶのか。」
「なぜだ!なぜこんなこと!
最初からなのか!?
こんな理不尽が認められるわけがないだろう!」
はぁ〜。とため息をついたカナエが
「そもそも、私に逆らう可能性や害する可能性がある人はあらかじめ排除するの。
折角、異世界まで来たのに楽しまなくちゃダメでしょ?
だから、私のためにも犠牲になってよ。
そうよね?みんな。」
地下牢にぞろぞろと人が入ってきた。
男性兵士や男性官僚の奴らとユウキの仲間たちだ。
「無様ですね。ユウキ様に逆らうから。」
「そうですね。ミランさん。スイランさんもスッキリしましたか?」
「な訳ないだろう!こいつには今までのツケをお返ししてやるからな。」
な、なんで・・。
確かな絶望があった。
信頼していた人や信じていた兵士、少なからず、わだかまりはあったが、同じ国の同僚たち。
全てが崩れていった。
こうして、抵抗をできないことに好き勝手弄られた。
苦痛に歪む私の顔を見て奴らは高笑いしていた。
あれからもう何日経ったのか。
いや何年だろうか。
ただ、牢屋の記憶はほとんど何も覚えていない。
「無様ですね。元ナイトオブワンさ・ま?
覚えてますか?3年間牢屋にいたから記憶にないかな〜。」
声が出ない、声帯が死んでいる。
喋りたくても上手く発声できない。
「一応自己紹介するわね。
私の名前は閃光騎士団 所属 ナイトオブワンのマイナ・ウィス・キリガミネ。
よろしくね。」
もう驚く気力もない。
片腕・左目・足の指全部、歯もない、生きてるのは普通におかしいくらいだ。
本当嫌なスキルだ。
「あ、安心してね。どうやら、あなたの父と母は妹を次期当主に添えてるそうだから。
それに、3年前は悲しんでたけど、今は忘れるように努力なされてるわ。」
先も言ったが、もう驚く気力がない。
「無視ですかー?まぁ、しょうがないっか!」
片腕を鎖で吊るされていた私の腹部に蹴りを入れたが、叫び声など出ない。
大量の薬の服用のせいで痛みも感じにくい。
「まぁ、スッキリはしたわお陰で。
後は死んでくれさえすれば、私には平穏が訪れるの。
それに前からムカついてたの。
常に平然と同じ立場のように接するその姿。
特に恥ずかしいこともないのか、堂々とする様。
そして、無駄に恵まれたスキルと魔法。
これだけあって更に英雄だって。笑える〜。
こんなんでも私、あんたの倍努力してきたの。他の騎士もそうね。同じことを思ってるわ。
眩しい光の持ち主さん。
その光は大きすぎて、深い闇を作ってしまってたの。
しかも、勇者様たちも闇に誘ってしまった。
罪深き光よね。」
何が光だ。
頼るときに頼り、使うときに使い、いらないときは捨てる。
ユウキの導き手スキルがこの国の膿を促進させ、元々、私に恨みがあった奴らがこうやって発散しにきている始末だ。
エリザーベル姫様もウィルズ王太子も変わったのではなく、心の底にあった願望が浮き出てきたということだ。
そういう意味では、本当に人を率いるスキルだ。
それとは関係なしに、近いうちにこうなっていた可能性もあるため私は結局、裏切られる人生だった。
「そういうことでじゃあね。
後でカナエ様が来るってよ。
それまで、興奮剤を打ち込んだオークたちに犯されといてよ。
首輪を繋いで呼んでみたからさ♪」
私の悪夢がまた始まった。
等々、腕も足も目も完全になくなり力尽きかけていたアリシアの前にカナエがいる。
「これ、売れるかな?
聖王国内だと身元がバレるから厄介ね。
ここは同盟国の皇国にしようかしら。」
再びキャストの部屋
「こう言った経緯で皇国にいました。
今では、何をされていたのか自体思い出せません。
分かるのは、もうこの世界から消えたかったこととスキルや魔力なんて必要ないこと。
何もかも失うなら、最初からなければいいという感情だけです。」
とても暗く、そして刹那ささえ感じた。
だから僕は。
「その生命力のお陰で、君を見つけることができた。
スキルや魔力がないから正直、才能者の苦悩とか知らない。
だけどね。なくても辛いよ。やっぱ。お世辞とか抜きで。
だから、あるものだけで戦うしない。
それに極められれば、スキルや魔力より便利だからさ。
そういう後悔や悲しみはとうに超えたよ。
僕が強いのではなく、それを見守ってくれた人たちがいたからかな?僕は。」
「恵まれていたのですね。
私の周りも悪い人たちだけではありませんでした。
導き手のスキルによって、歪んでしまっただけです。」
「んーそこはなんともだけど。
さっきの僕の話は、アリシアもここで見守ってくれていることも、僕にとっての恵まれた部分なんだよね。
奴隷館で初めての技を実験使用した外道だけどね。
結果的に助かってよかったし、助けたかったかな個人的に。
改めて、その強い力に僕も憧れて欲していたんだと思う。
その強い力を自分の気で超えるためにね。」
あれ?説得しようとしたらなんか、自分のため発言になってるやん。
「フフ。あの時は事情や内容は分かりませんでした。
ですが、これだけは絶対でした。
あなた様は命を賭けて私をお救いなさって下さった。
あんなにボロボロになりながら、5日も寝込み状態になりながらも手を差し伸べ、初めて助けて下さった。
これでもちゃんと1人で全部できるように成績や実績は聖王国ではトップでしたから。」
感動の話から逆に自慢されたー。
すいませんね!要領悪くて、すぐ倒れるし、力弱くて。本当すいませんね!
だからお願い。これ以上いじめないで!
「だからこそ、あなた様は私を助けなかった女神、勇者、姫様、王太子、聖王国の人たちとは違う。
この世の中で、ただ1人の最初で最後の主様です。
奴隷だからではなく。
1人の人であり、また新たな神として、あなた様に絶対の忠誠、永遠の忠誠、永遠の信仰をお側で誓わせていただきます!」
ベビー級選手のパンチを顔に受けた気分だよ。本当にね。全然分からないけど。
お待たせしました。




