第48話 これが本当の俺たちの戦いはこれからだ!ってヤツだ……胸が熱くなるな
完結です。
お付き合い頂きありがとうございました。
時間があれば続きを書くと思います。
激闘は終わった。
俺たちは、帰るべき場所――古びたアパートに帰ってきていた。
足取りは重い。
しかし――とにかく俺たちは生き残ったのだ。
ルージュは神人、夢中無我と大激戦の末、ボロボロになりながらも何とか退けた。
4枚の翼を持つルージュと互角以上に戦う元人間か。
今後も強敵になりそうだ。
スカーレットはセルリアンを地獄の第八層に叩き落としたらしい。
彼女によれば、恐らく生涯苦しみ続けるだろうと言うことだ。
そして俺は熾天使、フォグブルーを神器である漆黒刀、《不惜身命》を振るって滅ぼした。
魂と神器が癒着した結果、思いもしない威力を発揮したその黒刀は神器の真の力を解放するまでもなく最上位の天使をも葬ったのだ。
――そしてセピアたちは。
「私たちは身を隠す事にしたよ」
バーミリオンは自嘲的な笑みを浮かべながら告げた。
俺が何か言い出すと思って先手を打ったってところか?
「そうか……」
俺としてはセピアには傍にいて欲しかった。
だが、彼女たちの立場を考えると、そうもいかないのも確かだろう。
「我々の立場は微妙だからな。」
「そうでしょうか? 私は神の関与には懐疑的ですが……」
セピアはやはり神を信じたいようだ。
甘いようだが、俺はそれで良いと思う。
俺はそんなセピアに惹かれたのだから。
バーミリオンはそんな彼女に噛んで含めるように言い聞かせる。
「念のためさ……。神の慈悲は深い。我々が何を考えてどういう行動をとるか、それは全て神の思慮の及ぶところだろう。我々が決断するのは今後の情勢を見極めてからでも遅くはない」
何やら思わせぶりな発言だな。
「セピア、元気でな……死ぬなよ?」
「先輩、神人になった時は弱っちかったのに、魔人になってあっさりと私を置いていきましたね……」
セピアの笑顔が少し歪んでいた。
今にも涙がこぼれそうなそんな顔だ。
「セピア、短い間だったけど楽しかった。お前に会って俺の世界が変わったんだ。感謝してもしきれないくらいだ」
「先輩は本当に変わりましたね。もう私が傍にいなくっても平気ですね」
「馬鹿だな……俺を巻き込んだのはお前だろ? 勝手に巻き込んで勝手にいなくなるなんて許さないからな」
「もう……先輩は我がままですね」
「言ってろ」
セピアの顔が崩れていく。
そんな顔は見たくない。
「……見ててくれ。必ず俺が何とかしてやる。違った未来を創る。必ずな」
俺は少しぶっきらぼうに言い放つ。
照れくさいが紛うことなき本心だ。
「はいッ!」
そう言うとセピアは最高でとびっきりの笑顔を見せたのだった。
世界が色を取り戻し、暮れなずむ夕陽に向けて天使たちが羽ばたく。
―――
「行っちまったな」
「熾天使を滅ぼしたお兄ちゃんの存在はすぐに天界に知れ渡るわ」
「そうだな。これからが大変そうだ……」
俺はしばらくセピアたちが姿を消した方角を見つめ続けた。
ほうッと息を吐いて天を仰ぐ。
何だかしんみりしてしまった。
らしくねぇな。
俺は再び、彼女たちが去った方角を眺めるが、そこには既にその影はない。
ビル群の間に沈む夕陽がまるで血のように感じられて、その不吉さに少し憂鬱になりながら今後のことに頭を巡らせる。
考えると頭が痛い。
が――俺の心は決まっている。
神に直接会って問い質す。
そしてことが真実ならば、殴ってでも止めてやる。
今回の戦いで終わりではない。
これは全ての始まりなのだ。
そう心に言い聞かせながら俺はくるりと踵を返した。




