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第4話 未知との遭遇?

 そんなこんなで、あっと言う間に新歓の日がやってきた。


 手配したお店に社員たちが集まってくる。

 うちの会社は飲み会が平日に行われる。

 大抵は月曜日だな。


 普通、金曜日とかにしない?


 まぁ、そんなことを言っても始まらないので、口には出さないけれども。

 そして明日も仕事なのにもかかわらず、うたげは二次会、三次会と続き、結局お開きになったのは深夜を大きく過ぎた頃であった。


「んだよ。月曜日からこれか……きっついわー」


 こうつぶやくのも最早お約束である。

 もちろん本日の主役である神崎さんも最後まで参加していたため、とうの昔に終電は逃している。彼女は上司に結構飲まされていたはずだが、ケロリとした顔をしている。どうやらお酒は強いらしい。


 ザルなんだろうか?


 お偉方のタクシーを手配して全員が乗り込んだことを確認すると、やっと俺は一息ついた。


 後は俺達だけか……なんてことを思いながら、長かった1日もようやく終わりだと自然に大きなため息が漏れる。と同時に数時間後には仕事に行かなければならないのかと思うと、ドッと疲れが押し寄せてくる。


 また新しい朝が来るのか……胸が熱くな……ってか焼けそうだな。


 そんなことを考えていると、横手から視線を感じて俺はチラリと様子をうかがった。そこには、俺をジーっと見つめる神崎さんの顔があった。

 小さい顔に大きな瞳。清潔感のある黒髪をポニーテールにしている。


 うん。いつもの彼女である。


 しゃがみこんでいた俺の横にちょこんと膝を抱えてしゃがみこんでいる。

 不覚にもその姿に俺はドキッとしてしまっていた。


「あぁ……神崎さん、今、タクシー呼ぶから……ちょい待ってて」


 そう言って、俺は電話をかけ始めたのだが、何故だか電話の向こうではツーツーと言う音が鳴り響くのみ。

 

 いや、向こうで鳴っているんじゃなくてつながっていないだけか?


 そう思ってスマホを確認してみるが、電波はしっかり入っている。

 ってことは話し中なのかな?と、俺はしばらく経ってからもう一度かけてみることにした。


「なんかつながらないからもうちょっと待ってね」


 俺はそう言うと、神崎さんに背を向けて一歩離れるとスマホを見直す。

 すると、突然後ろから声をかけられた。


「危ないです」


「えッ!?」


 そう聞き返すと同時に、俺の腕が強い力で引っ張られる。

 その力が思ったよりも強かったものだから、勢い余ってたたらを踏んでしまった。俺は一体何が起こったのか酒の入った頭で考えるも、酩酊めいてい状態の脳の処理が追いついてこない。


 理解できたことは俺が、何故か彼女に背後から抱きとめられる格好になっている、と言うことくらいであった。


 慌てて取り乱す俺。

 みっともねぇ……。


 これセクハラじゃないよな!?

 そんなことが脳裏によぎっていた俺の目の前を何かが通り過ぎたように感じた。

 そんな間抜けなことを考えている場合じゃないって言うのに。


 その時の俺はまだ理解していなかった。

 まぁ、簡単に言えば、なんだ……。


 目の前に鬼、そう鬼がいたんだよ。

 信じられるかい?

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