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結依④

「どーせ、直ぐにお父さんが死んだ事は皆忘れちゃうよ。お母さんとかも直ぐに彼氏とか出来て、新しいお父さん出来るんじゃないかな。」


私は亜由美ちゃんに言ってしまった。




二人で帰宅中、亜由美ちゃんは

「三佳ちゃんのためにこれしよう!三佳ちゃん何したら喜ぶかな。」

と、三佳ちゃんの事を話すことが多くなっていた。


私は表面上では「そうだね」と話を合わせて一緒に三佳ちゃんに声をかけ、励まし、笑ってもらおうと努力をしていた。が、心の中はぐちゃぐちゃだった。



なんで三佳ちゃんだけ。なんで三佳ちゃんだけ皆に優しくされるの?なんで私が三佳ちゃんの為に色々しているの?

私もお父さん居なくて悲しいけど泣いてないよ。皆がお父さんの話をしてきて苦しかったけど私頑張ってお父さんの話したよ。

皆が羨ましかったよ。運動会もお父さんは仕事なんだ!って笑って話したよ。悲しかったけど泣かなかったよ。

なんで三佳ちゃんは沢山の人に大切にされるのに、私は。。私だけ。。。


私はお父さんが死んだ後、お父さんの話をするとお母さんが泣くから話せなかった。

早く忘れなきゃいけないと思った。

お母さんも引っ越して直ぐに彼氏が出来た。彼氏が家まで迎えに来て、彼氏、弟、お母さんの三人でよくご飯を食べに行っていた。

私は学校の友達に見られたくないのと、お母さんの彼氏と話したくないので一人留守番をしていた。

前のお家に戻りたいな。お父さんに会いたいな。ずっと思っていた。



そんなぐちゃぐちゃに溜め込んだ気持ちが爆発して、酷い事を言ってしまったのだ。



亜由美ちゃんはビックリした後、凄く怖い顔で怒り出した。


「結依ちゃん最低!なんで三佳ちゃんの気持ちが分からないの?お父さんが死んだんだよ?お父さんが死ぬって、三佳ちゃんはお父さんに一生会えないってことだよ?

どれだけ辛いか考えたら分かるでしょ?本当に最低。彼氏って何?お父さんが死んで、出来るわけないじゃん!なに言ってるの?

人の気持ちが分からないなんて、自分のお父さんが死んだらって想像したら悲しいのが普通だよ?なにその言い方!!

人の気持ちが分からない結依ちゃんなんて最低すぎる!酷すぎる!!」



私は大声を出して泣いた。


中学一年生にもなって、話すことなんて出来ないくらい大声で泣きじゃくった。


そんな私を亜由美ちゃんは睨んだ後、スタスタ歩いて行ってしまった。


私は公園のトイレで顔を洗い、トイレの裏の草むらに隠れてしゃがみこんだ。

このまま家に帰ると泣いたのがお母さんにバレる。

誰かに見つからないよう小さくなって、日がくれるまでボーッと座っていた。


2時間ほど経って鏡を見ると少し目は腫れていたが鼻の赤みが消えていたのでゆっくり歩き出した。


家につくとお母さんが居たので「ただいまっ!疲れたからちょっと寝るね」と言い自分の部屋に行きベッドに潜ってまた泣いた。


亜由美ちゃんに会いたくない、三佳ちゃんに会いたくない。


亜由美ちゃんは皆に今日の事を言うのかな。三佳ちゃんにも話すのかな。亜由美ちゃんのお母さんに私が最低ってもう話したかな。なんであんな事言っちゃったんだろう。


どんどん涙が流れてくる。


こんな事お母さんに言えない。。

話せる人が居ない。。

お父さん、会いたいよ。

助けて。



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