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なし  作者: なし
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なし

ふむ、どうやって小説を丸々削除するのだろうか?

 いつもの朝、と言っても人によって起きる時間というのはバラバラで取り分け、この部屋の住人の朝は早い。

 部屋は未だに暗く、カーテンの向こうの空には朝日すら顔を出していない。

 それでも、うっすらと夜の色合いは少しずつ光に払拭されて明るさを見せ始めていた。ベッド近くの目覚まし時計は3時59分をさしている。

 セットされた時計のアラームまで残り一分。ソレを前に布団の中でモッソリと何かが動いて、数秒。

 上半身をゆっくりと起こして少年は目覚める。

 寝ぐせなのか、少年の髪型はオカシイ。

 髪の長さは少し長めのショートなのだが、所々短髪が混じり、くせっ毛なのか一部が

 触手の様に跳ねている。ともかく、絶滅危惧種に指定を受けそうな程に妙な黒髪。

 顔立ちは繊細で、大きな茶系の瞳に細い眉。全体的に幼顔で中性的な可愛さが少年には在る。

 少年は四肢を確認するように左腕を真っ直ぐ伸ばし拳を握り、軽く屈伸してから、ベッドに降りてカーペットの床に両足を着いて立ち上がる。ぱっ、と見て少年の背は低い。

 160cmギリギリといった所で遠目からは女の子にも見えるかもしれない。

 顔だけなら……。

 上半身裸の少年は身長の低さも含め、形としては細身で華奢に見える。

 ここまでなら、まだ可愛いの範疇に入る。

 だが、可愛いの範疇をブチ壊す様に、鍛え抜かれた筋肉。

 美しい鎖骨のラインに雄々しい胸板に迫力のある腹筋。

 細部にわたり分解して筋肉繊維一つ一つを鍛え上げた様な鋼の身体は、一見してボディビルダーの肉体を彷彿とさせる。

 それほどに凄まじい筋肉の群れが、この細身を維持しているという異常さを含めて

 この可愛い少年は歪だった――――。

 そう、片腕がないという要因も含めて――――厳密に言うなら少年の右腕、肩から下がナイ。

 綺麗に切り取られたように右肩から下にある筈の右腕がない。

 少年は片腕が無い事もお構いなしに、ベッド近くに置かれたサイドテーブルへ向かう。

 引き出しは二つ、上段が小さく下段が大きい。

 下段の大きな引き出しを少年が引くと腕が―――生々しい右腕が入っている。

 生きている様に脈動し、薄らと血管も見える。偽物にしても出来すぎていて、気味の悪い右腕を無造作に取り出すと

「毎度のことながら、生々しい義手だ」

 義手。少年は確かに義手と言った。

 他人から切り取ってきました! と言わんばかりに脈動する右腕は義手であり、断面に接続部の様な機械的な部品が見える。義手である事を明確に示す様に気軽に少年は右肩の断面に右腕の断面を合わせる。

「っ!」

 一瞬の痛みは右腕の義手と肉体の神経接続の証し。

 一応神経に干渉するタイプなので装着の際、痛みが生じる。

 少年は右肩と右腕の義手の接続面をみてしっかり接続されているか確認。

「よし」

 少年は右腕を―――義手を上げ、適度に動かして正常に動作しているかを確かめ

「義手も、よし。」

(でも、昨日は付けたまま寝た筈なのに?)

 謎が、少年の中で浮上するも朝の日課という行動目標の前に押し流されていく。

 ベッドから数メートル離れた大きな箪笥へと歩み寄りてジャージを取り出し、着ると寝室の扉に手を掛けて開く。

 薄暗い居間の風景はナゼか、少年の見知らぬモノに見える。いや 現に少年の知らない場所がソコに在る。

「……あれ?」

 少年の家はマンションの4階。部屋は1LDK。寝室を開けると居間が在る筈だったが

 目の前に在るのは別のモノ。広いペンションや別荘そんなイメージが浮かぶほど、広いリビング。

「……10畳以上あるか??」

 グルリと部屋を見渡して、少年は何かを思いついたように玄関を探す。

(オジサンにまた睡眠中に拉致された?)

 腕を組んで一瞬、考え込むが

「いつもの事だよね。」

 少年の日常はいつもそうである様に深く考え込むのを放棄して少年は自主トレーニングへと出かける為に玄関を見つけて、ドアノブに手を掛けて玄関を開いた。


   その光景は少年が体験してきた経験を超えていたかもしれない。




なし

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