僕のヒーロー
憂鬱が部屋に散らばり、暗闇に影を生む。
俺は端から、失敗作かな?愚者愚者ぐちゃぐちゃ醜き者かな?
退屈が僕を蝕み、液晶に眼を縛る。
それは傍から、見れば微かな、無駄無駄馬鹿馬鹿愚かなことかな?
人が群れて生きる度に、空を蓋し影を落とす。
弱きこの身光浴びず、皆の道に染みを残す。
僕が下であるが為に、君が上で笑う事に。
僕が的であるが為に、君がそこに居れる事に。
気付け間抜け、腑抜け物の怪。
世界はお花畑な馬鹿だらけ。
社会のルールは難解で、人生のレールは半壊で、都会のベールは後悔で、形成す様は奇々怪々。
バカスカ死んで駄目だこりゃ。中身スカスカ、おバカなカスかな?
僕は立派に成り損ねた案山子、同級生の笑い話。
なし崩しに空回り、こけおどしに慈悲も無し。
キシシキシシ蔑視蔑視。キシシキシシ罵るし。
日々増し増し負け印。ただの案山子かちは無し。
僕のトラウマは人のメシウマ。
自殺配信で時のカリスマ。
久しい外気に苦しい肺に、鞭打ち町を進む内、人ごみに茹だる晩夏に星は見えず。
摩天楼の頂上で、液晶の淡い光が曇天の空に顔を映し出す。
人がありのままに我儘に、生きた結果の夜景は滑稽。
流れる文字は荒唐無稽。自殺支援者多数で意外な集計。今だけは僕以外が背景。
支援者も私怨者も偽善者も、飛んで死にゆく真性の愚者を見ろ。
新星となる愚者を見ろ。
神聖なぐちゃぐちゃを見ろ。
万歳三唱。声揃えて命投げうて。
余生を反省に費やして、心に消えない染みを残して。
僕の残す動画が、言うに正しく生きた証。
「そんな愚かなことは辞めるんだ!」
「どうして?」
「自殺なんてしてはいけない!」
「だからどうして?」
「君を生んだ親が悲しむ」
「親は死んだよ」
「君の友達が悲しむ」
「友達はいないよ」
「学校に迷惑がかかる」
「ここは学校じゃないよ」
「それでも、学生が死ねば学校の責任になるんだ」
「学校は辞めたよ」
「どうして?」
「いじめだよ」
「だからどうして?」
「いじめだよ」
「君は自分を弱者だと思っているから、いつまでたっても弱者なんだ」
「身の程を知ってるだけさ」
「人混みを楽しみ、夏の暑さを喜ぼう。どんな暗闇の中でも、自分が輝けば最高のステージさ」
「死後の世界なら輝けるかもね」
「理不尽だって歌にして、辛い夜こそ踊り明かせ!そうすれば悩みの種は笑い話さ!」
「話し相手がいないよ」
「ここにいるじゃないか!」
「毎晩一緒に踊ってくれるの?」
「……それは無理だね」
「承認欲求はもう満たされたでしょ?」
「まだだ。善行をしないと満たされない」
「最後に話しかけてくれてありがとう……これでいいね?」
「……僕はどうしたら君のヒーローになれる?」
「じゃあ背中を押してよ」
「……それで君は助かるの?」
「……凄く」
「そう……じゃあ……」
「待って!」
「やっぱり死にたくなくなった?」
「やり残したことがあるんだった」
「なに?」
「友達が欲しい」
「じゃあ僕が友達になってあげるよ」
「本当?」
「ああ」
「そう」
「うん」
「ありがとう。僕のヒーロー」
「じゃあね」
死生観の話はあまり好まれない。
ただし我々は自殺というものを余りにも大きく捉え過ぎているのかもしれない。
それも生き方の一つでしかないというのに。
お読み頂きありがとうございました!
面白かったらブックマーク、高評価、感想等よろしくお願いします!
他にも短編小説などをいくつか投稿しているので、そちらも見ていって下さると嬉しいです!




