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遠足っぽいんだが?

『食とは色々な体験ができるものの一つだ』

『生きること、楽しむこと、感じることは千差万別というものだ』

『彼もこれから数多の経験の中で色々な食を楽しむだろう』

『それでは、またどこかで…』

-翌日-


いつもより少し早く起きてしまい、まだ少し肌寒い夜明け前

二度寝しようと寝返りすると、昨日もらった木剣が入った布が目に入った。


そういえば、昨日ここに置いたんだった。

前世を含めるとかなりいい歳しているはずなのだが、実年齢がまだまだ子供のせいか、中々情緒のコントロールが難しい…。


外の様子を見るために窓から顔を出すと、まだ薄暗く虫の音以外はほとんど聞こえない。

二度寝するにも時間が悪いし、何より木剣の使い心地を確かめたいし、少し早いけど外に出ることにした。




厚手の服を着て外に出る。

吐く息はほんの少し白く、空気が澄んでいる気がする。

木剣を取り出して、それっぽく構える。

自分と同じか少し小さいが、両手でも少し重たい。


「やー、せいやー」


気の抜けた声が静寂に響く。

それっぽい動きで振っているけど、なんか違うなぁ。

んーむ…とりあえずこの重さに慣れるために頑張るしかないか。


だがまあ、急に達人レベルの剣術とかできるはずないか。

とりあえず、やれるだけやって、ダメならダメでどうにかすれば良いか。





「とー、そりゃー」

「ん…起きてたのか」


木剣を振り回していると後ろから父の声が後ろからしたので、少し汗を拭って振り返る。


「うん、少し早く起きちゃって」

「そうか…そろそろレイティも起きてくるから、汗を拭いてから家に戻るようにな」

「うん」

「それじゃあ、俺は山に行ってくるからレイティに言っておいてくれ」

「わかったー、いってらっしゃーい」




「それでね、お父さんあさからお山に行ったんだー」

「そうなの?お昼どうするのかしら…」

「うーん聞いてなーい」


あれから少しすると母とウィリース兄さんも起きてきたので朝ごはんの手伝いをしながら父の伝言を話す。


「それなら僕が山まで行って聞いてこようか?」

「そうねぇ…それだったらお昼前にお弁当持ってってあげちゃって?」

「昼前に出れば昼に山小屋に着くからそれが良いかもね」


山か…前世じゃ、山より海の方が近いからかあまり行った事がないんだよなぁ。

まあ、でも今世では海より山が近いというか山しかないから近いうちに行ってみたいんだよなぁ。


「ナディリスも一緒に来るかい?」

「え!?いいの!」

「行きたそうにソワソワしてたからね、良いかな母上?」

「そうねぇ…ウィリースと絶対に離れないって約束できる?」


母上はいつもより少しだけ強めの声で優しく聞いてきた。

まあ、流石に子供でチートもない俺が山で1人って確実に迷子になるし、


「うん!ぜったいはなれない!」


母上の問いに元気よくハキハキと返事をした。

それを聞いた母上はまたいつもの声に戻って、


「約束よ?ウィリースも危ないと思ったらすぐに逃げるか隠れて怪我なく帰ってくるのよ?」

「分かってるよ、うん、絶対に怪我なく帰ってくるね」


ウィリース兄さんは母上の目を見てしっかりと返事をした。


いつも遠目からしか見ない山に初めて行くと思うと、少しだけ興奮が収まらなかったせいか、少しウズウズが止まらなかった。




「それじゃあ、行ってきます」

「いってきまーす」

「気をつけて行ってきるのよー」


ウィリース兄さんが弁当の入った袋を持ち、腰には護身用として腕より少し短い剣を二本挿している。

俺も俺で、木剣だが剣道の竹刀を持ち運ぶように背中に背負った。




「山…というより森の中で歩く時はいくつかルールがあるけど、この森はよく狩人(ハンター)が巡回しているから、動物とかと間違われないように時折り、歌を歌ったりこの笛で音を出す必要があるんだ」


そう言って、首にかけた少し形が変わっている笛を吹くと、少し高い変な音が鳴った。


「へー…でも、おとで動物はよってこないの?」

「まあ、大抵の動物は人に近づかないよう動くらしいけど、繁殖時期だと危ないから、その時は…」

「その時は?」

「森に入らない事だね、繁殖時期の動物は竜も喰らうって言うから」

「竜も!?」

「まあ、ものの例えだけどね…っと、あれが山小屋だよ」


そう言ってウィリース兄さんの指の指す方向を見ると、少し拓けた場所に簡素な家とその横にはいくつかの束になった薪が置かれていた。


近づいていくと、小屋の扉が開き、父が出てきた。

驚いていないけど、何故きたのか少し疑問を浮かべている。


「ん、ウィリースにヴェスも来たのか…散歩か?」

「違うよ父さん、はいこれ母上からのお弁当」

「ん…ああ、そうか、ありがとな」


そう言って弁当を受け取って、ウィリース兄さんと俺の頭を少し乱暴に撫でた。


「いいよ、久しぶりに森に来たかったし」

「あれ?クラレイさん、お子さんですか?」


小屋の中から父さんより少し背の低い男性が出てきた。

服装からしてこの人も狩人(ハンター)なのだろうか?


「ん?ああ、そうだ、紹介するよ、

こっちが次男のウィリースで、こっちが末っ子のカティース=ヴェス=メデラ=ナディリスだ」

「ん?え?…………え?」


まあ、誰だって混乱するよな。

この前、家にご飯のお裾分けに来た人も混乱してたし…


「まあ、どこ取ってもヴェスはヴェスだ」

「そ、そっすか…と、とりあえず、俺っちの名はジャッチ!

人呼んで、隠密のジャッチとは俺っちのことっす!よろしく!」

「はい、よろしくお願いします、ジャッチさん」

「よろしくおねがおします!あんみつさん!」

「あ、そっちは二つ名の方っす、あとジャッチが名前です」


まあ、お約束?てやつっすよ…なんてね。

にしても二つ名持ちってことは、結構上の方なのかな?

見た目からして年齢はまだ20後半ちょい手前くらいか…。

武器を見るに、暗殺系か狙撃手かな?


「にしても、いい匂いっすね!」

「あんみつさんも食べる?」

「そうだな、一緒に食べるか?」

「いいんですか!?いゃ〜最近携帯食料ばっかで、温かみのある料理が恋しかったんですよ〜」

「とりあえず、中は狭いし、外で食べるとするか」


父の提案で外にある、ベンチとテーブルが一体化したやつで食べることとなった。

前世では遠足とかでしか、外で食べる事はなかったが、自然に囲まれた中で食べるのって良いなぁ……。

設定メモ

二つ名について

狩人(ハンター)以外にでも言えることだが、その人の特徴を捉えたものから、噂に色々追加されてできたものまで様々ある。


もちろん強さの基準としては高く。

勇者や英雄、聖女に神の加護から関連するものについては二つ名の中でも一際すごい存在である事がわかる。


ただし、二つ名はいい意味だけで使われているものではない、その逆もあるのだ。



では、また次回もゆっくりお待ちください。

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