のんびりと、それでも努力はしているんだが?
『人の成長はそう簡単ではない』
『それは彼も例外ではない』
『しかし、過程をしっかり踏むことで力は確実に身につくのである』
『さて、彼はどこまで成長できるのだろうか…それでは、また』
ー1年後ー
ようやく4歳か…あっという間と言ったらあっという間だったなぁ。
まあ、毎日本読んで、日向ぼっこして、仙力鍛えて、日向ぼっこしてたらあっという間か…。
そういえば、つい先月くらいに母上が妊娠した。
いやぁ…やっと俺にも弟ができるのかぁ………絶対名前だけは短くしてやらねば…。
…というよりさっきからシーラス兄さんと父が慌ただしく動いているが一体なぜ?
んー…とりあえず隣で一緒に読書しているウィリース兄さんに聞いてみるか
「ウィスにーちゃ?」
「ん?何かわからなことでもあったのかい?」
「うー…ラスにーちゃいそがしい?」
「?…ああ、なるほど。
ラス兄さんは明日から王都の学校に受験しに行くんだよ」
「がっこう?じゅけん?」
「ああ、そうだね…ちょっと待っててね」
そう言うとウィリース兄さんが本棚から青い本を持ってきて、一緒に見やすいように近づいた。
タイトルは………えっと、前の文字は読めないがどうやら観光日誌というのはわかった。
「かんこうにっし?」
「その通りだね、これは有名な旅人のテリア=シリウスが書いた日誌でこれにはここの国で見て知って体験した事を書いたものなんだ」
「ほぇー、すごいね!」
「ああ、っとあったあった、これが王都の学校だよ」
開かれたページを見ると、まず目に入ったのは大きな建物の絵である……どっかでみた気がするが、多分有名な外国の映画で出てきたやつに似ているからなのであろう。
…というか、学校って言うから大きい建物だと思っていたが想像より大きく、その後も5、6ページにわたって学校について書かれていた。
「それでこの学校って言うのは10歳になる子供に学校に受験しに行くんだよ」
「ウィスにーちゃんもじゅけんする?」
「ああ…と言っても受験の内容は筆記と実技らしいから、僕の場合は実技の特訓しないと危ないかなぁ」
「そうなんだ…がんばってね!」
「ああ!」
受験…受験かぁ……高校の時にしただけであんまりピンとこないけど、そうか…筆記と実技かぁ……。
俺も今から頑張らないとな……とりあえず言葉を覚えるしかないよなぁ…。
にしても、この本には他にも様々な風景の絵が描かれている。
だだっ広い草原に、雲を突き破るほど高い山、そして色々な建物……ああ…早く…早く大人になりてぇ!
今からワクワクが止まんねぇーよー!!
その日はずっと観光日誌を見てワクワクで夜少しだけ寝付けなかった。
ー2週間後ー
シーラス兄さんと父が王都に行って、はや1週間は経った。
この村から王都まではウィリース兄さんによると5日…もちろん天気がずっと晴れであるならである。
まあ、幸いこっちは晴れが続いている。
今日も朝から玄関先でのんびり日向ぼっこしながら文字を覚える。
未だに仙力のみを扱うのができない。
前よりはポカポカしなくなったが、それでも父は
「まだそれじゃあ、狩人だけで食っていくには厳しいな」
という厳しいが、それだけ危険な仕事なのだから俺も頑張るしかない。
ちなみに魔力の方は全くダメ…というわけではない。
最近はゆっくりと言えばしっかり発音できるし、魔力はポカポカを意識すれば自然とできるはずだ……多分。
時間はまだあるとは言え、両方を平均的に伸ばすよりはコツがかなり掴めている仙力を鍛えた方が今後のためになるだろう。
その日もゆっくり流れる雲の下で、時に寝て、時に勉強し、そしてゆっくりと日々を過ごしていた。
設定メモ
今更ながら時間設定
光月
光土月 土月 闇土月
光風月 風月 闇風月
光火月 火月 闇火月
光水月 水月 闇水月
闇月
であり、時間は地球と同じであるものの、正確な時間は誰も知らないので、結構曖昧である。
もちろん、時計など時間を測っているのもあるが厳密に分かっていないので、月が真上に来た時を0としている。
(そこまで考えていないともいう)
では、次回もごゆっくりお待ちください。