よくわからないが一歩前進したんだが?
『人は目標が定まっていなければ、もしくは他人と比較しなければ自身の成長を実感できない生き物なのだ』
『彼もその人間の1人であり、目標を持つ事で初めてスタートラインに立てるのだ』
『さてさて、彼の目標が一体何なのか……それは本編を見るしかないだろう…それではまた』
ー1週間後ー
このポカポカする力をかなり長く維持できるように目が覚めたらすぐに瞑想して、起き上がる。
まあ、実際は寒いのを少しでも緩和するためなんだがな。
最近は少しだけ味が濃い食べ物も食べさしてくれるし、今日のご飯はなーにかなー。
「おいひー」
いやー、今日のご飯はも美味しいなあ!
これで肉類が入ってたら最高なんだけどなー。
「…?」
「?どーたの、おとーさん?」
「……ヴェス、その仙力は自分でやっているのか?」
「せんりょく?」
「……また、夜話そう」
「?あーい」
むむむ…父は何かこの力について知っているのか?
…というか、これ魔力じゃないのか…ガーンだな。
でもまあ、なんかすごそうだしいっか!
そんな事を思いながら父をみんなで見送ると、そこで階段となった。
とりあえず夜まで瞑想……よりもそろそろ文字を読む特訓しなくては…。
えっとなんか読みやすそうな本……
「ははうえー」
「あらあら、カーティスどうしたの?」
「えほんとってー」
「絵本?そうねー…これなんかどうかしら?ウィリースが読んでいた本よ」
と言って本棚から海が描かれた本を渡された。
パンフレットより少し分厚いがそこまでページはなさそうだ。
本を開くとタイトル?と海と空が綺麗に描かれていた。
「?なんていうのー?」
「あらあら、そうだったわね。
この文字は『世界』って書かれているのよ」
「ん?母上にナディリス、何してるんですか?」
「ちょうど良かったわ、ウィリース、カーティスに絵本を読んであげて?あなたが小さい頃に読んでいた本よ」
「…ああ、その本ですか、分かりました。
ナディリス、こっちで読もうか」
「あーい」
ウィリース兄さんが椅子に座ったのを見て横に椅子を押して座る。
読み聞かせか…まあ、そうしないと読めないしありがたい。
「じゃあ、読むね…むかしむかし、この世界にまーーーー…」
ー2時間後ー
「おしまい…どうかな?面白かったかな?」
「うん!」
「それは良かった…そうだね、ちょっと待っててね」
「?」
ウィリース兄さんがそう言って兄達の部屋に行き、すぐに戻ってきた。
右手には少しボロボロになった紙?が握られていた。
「これはね、兄さんや僕が字が読めるようになるために母上が作ってくれたものなんだ」
なるほどお手製の…んー……あ、見たことある形がある!
「これ!」
「うん、それはナディリスの名前にもあるね」
ほぉーこれはすごい!これはすごいぞ!!
日本語みたいに五十音のような感じの文字じゃないけど、なるほど…お!これは確か村長さんの持ってた板の紙にあった文字だ!
「これすごいね!」
「ああ!それでね、これ僕も覚えたからナディリスにあげるね」
「いいの!やったー!」
「ふふ、喜んでもらえて良かったよ…あ、でも破かないでね?」
「うん!」
「後、本を読んでて何か分からないことがあったらいつでも聞いてね?
…と言ってもここにある本はそこまで難しいものはないだろうけど…」
「うん!ありがと!うぃりーすにぃ!」
こうして、多分日常的に使える文字が書かれた紙を手に入れた!よーし、今日からこれを覚えるぞー!
ー12時間後ー
むーふー…大体3割覚えれたかな?
結構使えそうなものが多いし、これも魔法を使うための一歩だ!
「ただいま」
「「「おかえりなさい」」」
「今日はディザイボが狩れたから、明日には使えるようターテオに頼んだから昼くらい尋ねてくる」
「分かったわ、今日もお疲れ様、お湯はもう少しでできるからカーティス達と入ってきて」
「分かった」
父さんが帰ってきたし、今日はこれくらいにして今は風呂だ風呂!
いやー、まさか異世界で風呂に毎日入れるとはなぁ…まあ、魔法が一般的に広まってるっぽいし、父さんも元狩り人てのもあって浴槽も他の家具と違って綺麗に作られている。
家の殆どが父さんが作ったらしいが、それでもかなり丈夫だし俺の揺かごも自作なんだからびっくりだ!
「お湯沸いたよー」
「良し、それじゃあ入るぞ」
「「はーい「あーい」」」
父の言葉に俺たちは返事をする。
にしても親子水いらずって言うのも前世ではあまり思い出に残らなかったが、こうして子供になったからこそ、そういう事が今世では思い出になればいいなと思う。
ちなみに風呂場は子供3人に大人1人だと少し狭いが、まあ広い風呂は落ち着かないし、性に合わない。
ふぅ…いい湯だ……。
風呂から出て夕食を取り、またそれぞれのしたい事のために動き出す…そういえば夜に父に今も使っているこの力について聞けるっぽいし、ちょっと行ってみるか。
父は寝室(母と今は自分が寝るところ)に行っていたのでそちらに向かうと、父は今日狩りで使った狩猟道具(弓矢やショートソード?)を手入れしていた。
「おとーさん、いまいい?」
「ん…少し待っていてくれ、今は危ないものがあるから…」
「あーい」
そう言われては仕方ないので近くにあった椅子に座って待つ事20分くらいで手入れが終わった。
「おわたー?」
「ああ…こっちにおいで」
「あーい」
父が膝をポンポンっと叩いて呼んだので、とてとてと歩いて父の膝によじ登り座ると、父は優しく頭を撫でながら話し始める。
「…ヴェスは…大きくなったら何になりたい?」
「?おおきくなったら………いろんなばしょにたんけんしたい!」
「そうか…そうだな……ヴェス?」
「んー?」
父が優しい声で俺を呼んだ。
顔を見るために上を見上げると、少しだけ嬉しそうな表情だった。
「外はな、色んな人や色んな景色…時には思い出がたくさんあるんだ。
でもな、外はその分危険がたくさんあるんだ」
「きけん…じゃあ、いくのだめ?」
「いやダメなことはない…今、ヴェスが仙力を意識的に使っているようだが、まだまだ未熟だ」
「みじゅく…どうしたらみじゅくじゃない?」
「そうだな…一つ言うのであれば…今の仙力が少し魔力が混ざっているからそれを仙力だけ出せれたら半人前…って難しいか」
マジか!?魔力出てた!?
よく分からないけど魔力出てたんだ!?
これは幸先いいぞ…っと、まあ、その前にその仙力とやらをマスター…とは言わないが使えるようにせねばな!
「わかったよ、おとーさん!僕がんばる!」
「そうか…良し、頑張るんだぞ!ヴェス!」
「あーい!」
とりあえずの目標も決まったし!頑張るぞ!!
設定メモ
仙力について
この世界において全ての生物が持っている力の一つであり、体を動かすことにおいて仙力を意識的に使用するしないではかなりの差がある。
なお、仙力に体が暖まる効果はない。
次回をゆっくりお待ちください