第1話 竜戦2
「痛ー。やるじゃん。」
俺は水竜の尻尾をもろに食らい吹っ飛ばされた。
「先手はとられたが……エレメンタルフルバースト!」
赤・緑・青・茶の四条の光が水竜に襲い掛かる。
エレメンタルフルバーストは煉獄魔法・水流魔法・暴風魔法・大地魔法の複合魔法だ。
土煙が晴れるとそこには”無傷”の水竜がいた。
「っな! いくら魔法防御が高くても少しくらいはダメージがあるはずなのに!」
俺は無傷の水竜に驚いていた。
一番威力がある訳ではないが、そこそこ自信がある魔法だったのに……
「おそらくスキル竜鱗の効果だと思われます。効果は魔法妨害です。」
魔法妨害おそらく無傷のところを見るとこの妨害は術式そのものに影響を与えるのだと思う。
術式本体を変えてしまえば、威力をなくすことも可能だ。
要は魔法は効かないということだ。
厄介極まりない。
「アストレア流剣術 神速ノ一閃・連」
二本の剣で挟み込むように連続で素早い攻撃を繰り出す。
だが何度も何度も切っても鱗が固すぎてダメージが通らなかった。
「くそ! 魔法も無意味なのに物理防御も高いとかふざけてんのかよ!」
俺は本気で悪態をつく。
これだけ鱗が固いとなると簡単には鱗の防御を突破できないだろう。
そんなことを考えてると水竜が口を大きく開け息を吸い始めた。
「? 何をしてるんだ?」
「っ!! マスター逃げてください! 死にます!」
今まで大賢者から死ぬという警告は聞いたことがなかった。
そんな大賢者からの初めての警告。
なにかあることは間違いないだろう。
「転移!」
ブオオオオオオオオ!
辺り一面が焼野原になるような咆哮がボス部屋全体に巻き散らかされる。
俺は間一髪のところで転移にて水竜の頭上に来ていた。
少しずつ竜の頭がこっちに向いてくる。
まだ咆哮は続いている。
「っ!」
転移していたことによって完全に油断していた俺に向かって容赦のない暴力の嵐。
竜の咆哮は俺を巻きんだ。
再生、崩壊、再生、崩壊を繰り返す。
超再生がある事によってかろうじて生きていた。
「はあ、はあ、はあ、危な……かった。まだ生きてる。」
俺の体は上半身を残しそれ以外の部位は、咆哮によって消されてしまったが、再生が始まる。
再生しているその姿は気持ち悪かった。
それはもう気持ち悪かった。
あんまし見たくない。
ズタン、ズタン。
竜が俺めがけて走ってくる。
「エレメンタルフルバースト! エレメンタルフルバースト! エレメンタルフルバースト!」
効かないのは分かってるが足止めのつもりで、放つ。
だがそれを見向きもせず俺に突っ込んできた。
勿論竜に魔法が当たる。
だが竜鱗によって威力を減らされた魔法に竜を止めることなどできるはずはなかった。
「転移!」
俺は竜から離れた所に転移する。
「パーフェクトヒール」
パーフェクトヒールは聖魔法で死者蘇生を除く、レベルの高い魔法だ。
だがその魔法のおかげでなくなっていた下半身は復活する。
「転移! 鬼神ノ一閃!」
俺は竜の真後ろに転移して、一番攻撃力のある剣術を放つ。
ザクっと鈍い音が鳴る。
あの固い竜鱗も少し切れていた。
本当に少しだけだが切れるということだけ分かったのは良好だった。




